コロナ禍が「ゴマするだけの調子のいい人間」を排除する!? アフターコロナの生活習慣と仕事

ビジネス

公開日:2020/7/22

新型コロナはいつ終わるのか?
『新型コロナはいつ終わるのか?』(新型コロナ研究班/宝島社)

 今なお世界中で猛威をふるい続けている新型コロナウイルス。2020年7月17日には東京都内で1日あたりの新規感染者数が最多となる293人を数えるなど、いまだ終息の気配はみえない。
 
 緊急事態宣言が解除されてからは、「アフターコロナ」や「ウイズコロナ」といったキーワードも頻繁にみかけるようになったが、今後、世界はどう進んでいくのか。医療関係者をはじめ複数の識者による書籍『新型コロナはいつ終わるのか?』(新型コロナ研究班/宝島社)をたよりに、この先のそう遠くない未来を考えたい。

収束には「短期的」と「総合的」の2種類がある

 先述した東京都の事例にもあるように、ふたたび新規感染者数が増えつつある新型コロナウイルス。すでに“第2波”だと指摘する声も目立つが、本書にある神戸大学病院感染症内科診療科長・岩田健太郎氏のコメントをみると、世界はいまだ終息までの“道半ば”にいることがわかる。

 岩田氏は、感染症の収束には「短期的な収束」と「総合的な収束」があると解説する。短期的な収束とは「一地域において感染者がいなくなるという状態」を差し、世界的にも早期に終息のきざしをみせて、感染対策モデルが注目された台湾などがあてはまる。

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 一方で、総合的な収束は「第二波、第三波の感染が起きない状態」であるが、岩田氏は「一度収束したようにみえたとしても、無症状の感染拡大が再燃する可能性」は残ると懸念する。加えて、国ごとや地域ごとの移動制限、不要不急の外出自粛はなおも続いているが、「新型コロナウイルスのなかった時代に戻ることはできません」と述べつつ、「総合的な収束は、半年や1年といった短い期間では、難しい」と指摘する。

仕事では「調子よく言っているだけの人」が評価されない時代に

 世界は少しずつ「ウイズコロナ」や「アフターコロナ」に向かって動いている。医療関係者以外の意見も綴られている本書だが、そのうちのひとり、第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト・熊野英生氏は「デジタル化の中で結果を出せる人が生き残れる」と見通す。

 コロナ禍では、職場のリモート化やテレワークの必要性が強調されてきた。ただ、変化の中では従来と異なる働き方にとまどった人たちも少なくないだろう。熊野氏は、「上司にゴマをすって、会議でもハイハイと調子よく言っているだけの人は評価されなくなる」と指摘する。

 テレワークは仕事の価値観にさまざまな影響を与えるが、人事評価が変化するのもその一例。熊野氏は、家にいてもアウトプットできる(結果を出せる)人の時代がやってきたと述べるが、一方で、日本ならではの「集団主義」が個人の裁量権を奪い、その足を引っ張る可能性についても危惧している。

 これはすなわち“成果主義”への移行とも呼べそうだが、今後は「ピンチをチャンスに変え、自分の有り様も変えていく人が勝者になるだろう」と本書は未来を予測している。

 さて、たとえ完全な終息を迎えたとしても、新型コロナウイルスによる影響は社会のいたるところに残りそうだ。本書は、さまざまな見地から“私たちの今後”の世界を見通す1冊。今を生きるためのヒントとしてぜひ役立ててもらいたい。

文=カネコシュウヘイ

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