一つ星のイタリアンシェフがサイゼリヤでアルバイトをする理由とは? そこで見つけた「成長の必勝法」

ビジネス

更新日:2020/9/9

なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか? 偏差値37のバカが見つけた必勝法
『なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか? 偏差値37のバカが見つけた必勝法』(村山太一/飛鳥新社)

 コロナで大打撃を受けた業界と言えば、飲食業界。大手飲食チェーンですら20年4~6月期の連結最終損益で7割が赤字(日経新聞他)という逆風の中、個人経営でありながら黒字化を実現させた、イタリアンレストランがあったという。

 それが、東京・目黒にある「ラッセ」だ。2011年にオープンするや、半年でミシュランの一ツ星を獲得。以来、9年間にわたり星を保ち続けているというこのお店。

 そのオーナーシェフを務めるのが、村山太一氏である。

ミシュラン店のオーナーシェフが、サイゼリヤのアルバイターになった理由

 なんとこの村山氏。ミシュラン店オーナーにもかかわらず、サイゼリヤ(五反田西口店)のアルバイターでもあるという、驚きの経歴の持ち主なのだ。

 いったいなぜ、ミシュラン店オーナーシェフはサイゼリヤで働いているのか?

 その理由、そして、コロナ禍のピンチをチャンスに変えた、村山氏の学びのすべてを、余すことなく伝えてくれるのが『なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか? 偏差値37のバカが見つけた必勝法』(村山太一/飛鳥新社)だ。

 はじめにお伝えすると、村山氏はサイゼリヤからのオファーや何らかのミッションを与えられて、アルバイトを始めたのではない。1975年生まれで今年45歳になる村山氏が自ら、高校生もいるサイゼリヤでのアルバイトへの応募を行い、面接を経て採用されたのだ。

 通常、40代でそれなりの経験や地位がある人なら、若年層の多い仕事場で下積みからのバイトをするという発想は、まず生まれないだろう。

 その点からして、村山氏の行動原理は、普通とは違う。それがサブタイトルにもある、いい意味での“バカ”ということなのだろう。

 その行動原理はと言えば、「より良い方向に変化し続けること」だと記す著者。そのための学びが得られるなら、サイゼリヤでバイトすることなど、なんでもないのだ。そんな本書は、飲食店関係者だけでなく、サラリーマンを含めて、「より良い方向へ変化し続けたい」と願う人なら誰もが読者対象となる、必勝法が学べる気づきの書なのである。

 そもそも著者がサイゼリヤでバイトしている理由、それは「人時生産性(従業員1人の時間当たり生産性)の向上」という課題を克服するためだったという。というのも、著者のお店は、「成功しているように見えたかもしれませんが、実際は長時間労働が常態化し、人間関係は最悪。経営もギリギリ」という状況だったのだ。

「このままじゃヤバイ」という危機感から、生産性が高いことで知られるサイゼリヤから「直接学べばいい」と、一流シェフのプライドを、ものの見事に投げすてたのである。

成長の必勝法、「サバンナ思考」と「マヨネーズ理論」

 本書では、そんなアルバイト経験もして体得した、ピンチをものともしない必勝法則として、「サバンナ思考」や「マヨネーズ理論」など、数々のオリジナル法則が詳述されていく。

 サバンナ思考とは、「危機感×気づき×即行動」のサイクルを超速で回すことで、危険を回避していくという法則だ。

 また、マヨネーズ理論とは、自分を成長させてくれるお手本を、「完コピ」してしまう方法で、超速で成長するための必須法則なのだ。

 他にもさまざまなメソッドはあるものの、基本的にはこの「サバンナ思考」と「マヨネーズ理論」の両輪で、「より良い方向に変化し続けること」が可能になるのである。

 本書に記された、「マヨネーズ理論」の極意をいくつか紹介しよう。

★すごい人のやり方を丸パクリすれば、最速最短で成長できる。
★「無」の状態になって、相手を信じて一体化し完コピする。
★何年かけてでも、この人から教わりたい! という師匠を探す。
★師事したい人に、僕の情熱はあなたより上だと熱意を見せる。
★丸パクリしたら四次元ポケットから取り出すように使いこなす。

 このように、著者のいう「完コピする」とは、じつはとても奥深い行動の積み重ねなのだ。特に、著者が本場イタリアの名門レストランでの修行中、いかに「無」の状態になりその店のオーナーシェフと一体化し、その所作を完コピしたかは、とても読み応えのある内容となっているので、ぜひ、その詳細を本書で確認してみてほしい。

 他にも、理想的なチーム作りや、成長に欠かせない読書術、著者の夢である「宇宙でレストラン開業」が現実化しつつある話題、さらには、サイゼリヤ経営陣との対談などを通して、「より良い方向に変化し続けること」を丸ごとサポートしてくれる本書。

 ピンチをチャンスに変えたいと願う、すべての人に熱いエールをおくってくれる1冊だ。

文=町田光

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