BOOK OF THE YEAR2020投票スタート!『キングダム』『凪のお暇』…実写化作品が次々にランクインした去年を振り返る!

マンガ

更新日:2020/9/4

 読者投票によって「今年、いちばんよかった本」を決める雑誌『ダ・ヴィンチ』のブック・ランキング企画「BOOK OF THE YEAR」。今年の投票が9月4日(金)よりスタートした。『鬼滅の刃』が大ヒットを記録した今年、どんなコミック作品がランクインするのだろうか。

 その前に、メディアミックス展開によって話題を集めた作品が続々とランクインした2019年のランキングを振り返ってみよう。

キングダム
『キングダム』(原泰久/集英社)

 1位に輝いた『キングダム』は言わずもがな。「映像化は不可能」とまで言われていた歴史超大作が、人気俳優・山﨑賢人主演で実写映画化され、2019年4月に公開。上半期に公開された邦画のなかでは2位の興行収入を記録する大ヒットとなった。『キングダム』は2018年のブック・オブ・ザ・イヤーでも7位にランクインしていたが、そこからググッと順位を伸ばしたのは、映像から入ってきたファンを大勢獲得したからだろう。

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きのう何食べた?
『きのう何食べた?』(よしながふみ/講談社)
凪のお暇
『凪のお暇』(コナリミサト/秋田書店)
かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜
『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』(赤坂アカ/集英社)

 8位の『きのう何食べた?』、9位の『凪のお暇』、46位の『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』もすべて実写映像化された作品。ストーリーの面白さを損なわない、再現度の高さでも話題になった。

鬼滅の刃
『鬼滅の刃』(吾峠呼世晴/集英社)
約束のネバーランド
『約束のネバーランド』(白井カイウ:原作、出水ぽすか:作画/集英社)

 その他、10位の『鬼滅の刃』や35位の『約束のネバーランド』などは、アニメ化され好評だった作品だ。ともに残酷さ漂うストーリーが持ち味だが、アニメを入り口に既存のファン以外にもアプローチできたと思われる。

ちびまる子ちゃん
『ちびまる子ちゃん』(さくらももこ/集英社)
海街diary
『海街diary』(吉田秋生/小学館)

銀魂
『銀魂』(空知英秋/集英社)
ばらかもん
『ばらかもん』(ヨシノサツキ/スクウェア・エニックス)
大家さんと僕 これから
『大家さんと僕 これから』(矢部太郎/新潮社)

 また、5位の『ちびまる子ちゃん』、『鬼滅の刃』と並び10位の『海街diary』、21位の『銀魂』、40位の『ばらかもん』、49位の『大家さんと僕 これから』など、完結した作品を推す声も多かった。共通するのは、「続きが読みたい」と切望する読者からの意見。なかには「寂しくなる」という声もあり、これほどまでに作品世界へ入り込ませるマンガという媒体の“底力”が感じられる。

さよならミニスカート
『さよならミニスカート』(牧野あおい/集英社)

 さらに、“声なき声”を届けようとする強い意志を持った作品も存在感を示している。先の『凪のお暇』では同調圧力に悩む女子が描かれ、41位の『さよならミニスカート』には、「このまんがに無関心な女子はいても、無関係な女子はいない。」というコピーがつけられ、そのメッセージ性の深さがうかがえる。

おじさまと猫
『おじさまと猫』(桜井海/スクウェア・エニックス)
俺、つしま
『俺、つしま』(おぷうのきょうだい/小学館)
猫恋人
『猫恋人』(イシデ電/KADOKAWA)

 そして、32位の『おじさまと猫』、33位の『俺、つしま』、50位の『猫恋人』と、2019年も“猫マンガ”が複数ランクインしたのが興味深い。猫とマンガはよほど相性がいいのかもしれない。

 今年はどのように順位が変動するのか。2019年を振り返りつつ、予想を立ててみては?

文=五十嵐 大