制御不能な男子2人の育児は苦労も喜びも2倍!? 予想ナナメウエの「ツラたのしい」日々に元気がもらえる

出産・子育て

公開日:2020/9/10

愛むすこは予想の斜め上!~ドタバタ兄弟育児日記~
『愛むすこは予想の斜め上!~ドタバタ兄弟育児日記~』(うえだしろこ/日本文芸社)

 子育てというのは、はじめは誰でも不安でいっぱいなものだ。ましてや生まれた子が「男子」だった場合はなおさらのこと。ママとは性別が違うだけにわからないことも多かったり、思いもよらない行動にハラハラさせられたり、育児書の中でも「男子の育て方」系の本は定番になっている。

 とはいえあんまり心配ばかりしているよりは開き直って楽しむくらいのほうが面白いかも…ライブドア公式ブロガーであるお絵かき好き主婦・うえだしろこさんのコミックエッセイ『愛むすこは予想の斜め上!~ドタバタ兄弟育児日記~』(日本文芸社)は、男子育児ならではの驚異の日々に笑うことで、前向きなパワーをもらえる1冊だ。

 ズボラでインドア派、おまけに朝も弱いという30代主婦のうえださんは、およそ育児に向かない性格と自認しているにもかかわらず、現在二人の男子育児真っ最中。長男・桃太郎くんと3つ離れた次男・金太郎くんにふりまわされながら、ドタバタと楽しい毎日を送っている。そんな日常をうえださんはブログ「桃金兄弟と母の日常」で連載しており、子育てママからの大いなる共感を呼んで大人気に。本書はそのブログの内容に加筆修正し、描き下ろしも40ページ加えてまとめられたもの。0歳×3歳から年ごとに数年後まで、二人の成長を軸にしているので、成長段階の各年齢における兄弟の関係変化もわかりやすく、男女問わずいわゆる「二人育児」を知る上でも参考になりそうだ。

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 最初こそママを振り回していたのは3歳児の桃太郎くんだが(ゼロ歳の金太郎くんはママにおんぶされていてあまり自由に動き回らない)、金太郎くんも成長するごとにその行動は予測不可能で制御不能に。ママがお兄ちゃんにかまっているうちに弟のおむつがおしっこでパンパンになっていたり、と思えば弟にママがかまっていたらお兄ちゃんのトイレが間に合わなかったり…。性格も興味もそれぞれ違う二人だから巻き起こすハプニングもさまざまで、ひたすら翻弄される一方のママ。ひとつひとつは「子育てあるある」でも、それがダブルになるとかなり大変そうで、少々ぐったり顔のママに同情しつつもなんだか笑ってしまう。

 とはいえやっぱり二人いるからこそ喜びが倍になることもある。なんだかんだ喧嘩が絶えなくても仲の良い二人は、弟がおもちゃを友だちに取られたらお兄ちゃんが悔しがったり、お出かけ前のお兄ちゃんの着替えを弟が手伝ってあげたり、お互いを大切にする瞬間を何気ない日常で見せてくれる。そんなときに実感する「子どもの成長」はかけがえのない喜びにちがいない。

 それにしても男の子というのは、「おちんちん」にやたら興味を示したり、わけのわからないいたずらをしたり、笑っちゃうほど変な未知の生き物。そんなナチュラルな男子のおかしさを母目線で観察し、自分の失敗も一緒にネタにして笑いにしてしまううえださん。とかく育児は大変とか辛いとかいわれがちだが、そうはいっても実は楽しくて。うえださんを見ていると、育児は「ツラたのしい」くらいでちょうどいいと思えてくることだろう。

文=荒井理恵