これぞ「憧れの家族」! インスタでも人気の「三本家」コミックエッセイがすっきり笑えて心地いい

マンガ

更新日:2020/9/20

ご成長ありがとうございます~三本家ダイアリー~
『ご成長ありがとうございます~三本家ダイアリー~』(三本阪奈/新潮社)

 皆さんに憧れの家族像はあるだろうか。ハイセンス? オシャレ? セレブ? そのどれでもないがきっと憧れる家族を描いた作品、それが『ご成長ありがとうございます~三本家ダイアリー~』(三本阪奈/新潮社)である。

 描かれるのは、濃いキャラの5人家族の生活だ。2019年1月より家族の日常を描いたエッセイ漫画をInstagramに投稿し始めた三本阪奈(みもと はんな)さんが作者。今やフォロワー36万人超(2020年9月現在)の大人気インスタグラマーだ。

 子育て、家族エッセイはそれこそ星の数ほどあるのだが、本作の魅力はいわゆる「あるあるでほっこり笑える」ではなく、「しっかりツボをとらえて笑わせにくる」ところだと感じた。関西人だから、なんて言うつもりはなく、ただただ笑いのセンスがすごいのだと思う。

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 またこれは本稿ライターの妻に聞いたのだが、「子育て! 辛い! 大変! ワンオペ気味!」そんな“辛めの”あるあるコミックエッセイが多くて(共感する作品も多いそうだが)、ただ単純にすっきり笑える「家族もの」は見つけにくいそうなのだ。この意見に深く頷くあなたには、ぜひ読んでもらいたい。では発売された単行本をレビューしていく。

4人ボケに1人ツッコミ! 濃すぎる三本一家

 関西在住の阪奈さんは“濃厚な”4人の家族と暮らすアラフォー主婦だ。とにかく3人の子どもに毎日てんてこまい。ほぼノンフィクションということだが、まずキャラクターと、その言動が濃い。そして4人全員がボケてくる。毎回阪奈さんはそこに冷静なツッコミを入れる(ほぼ心の中で)構図だ。では三本家のメンバーを紹介しよう。

・ケイ
 長女、小学4年生で10歳(単行本発売時)
いろいろと変わり者(本編でご確認を!)。風呂のお湯を飲む。名言(のようなもの)を連発する。妹のフミにこんな姉は嫌だとわめかれて言い返す。

なんてこと言うん! 姉も結構大変なんやで!
フミはいいやん真ん中やから
上も下も経験できて!
人生一度きりやもんなぁ!!
お得やなあ

「何の名言モード?」(阪奈さん心のツッコミ)

・フミ
 次女、小学1年生で6歳(単行本発売時)
マイペースの鬼。というかぼんやりしていて周りに心配されている。幼稚園で遅刻しても堂々としていて「社長」と呼ばれていた。感情を表に出すのが苦手。授業参観でも熟睡をかます。よくランドセルを忘れて登下校する。

今日のおやつなにかなーって考えてたら
学校にランドセル忘れて取りに帰っててん

「マイペースが進化している…」(阪奈さん心のツッコミ)

・ユキ
 長男、3歳(単行本発売時)
かっこつけだがメンタルよわよわ。ドラゴン●ールのカードと“若いおねえさん”(他人)が大好き。ママ友と一緒に会うと、もじもじしながら何かしらアピールする。幼稚園面接では、数えることができず、絵を見て何か判断できず、色も説明できなかった(家ではできることもある)。

「ウソみたいだろ4月生まれなんだぜ」(阪奈さん心のツッコミ)

・ダンナ
 ツイてない、愛すべきポンコツ感。旅行で毎回パンツを忘れる。財布は4回落とした。好きなメニューやコンビニスイーツは高い確率で消える。広い公園で同じ子どもに2回ブーメランをぶつけられる。人に興味がない(ようにみえる)が、逆に誰でも受け入れられる度量がある。

「私にはちょうどいいです」(阪奈さん)

 皆キャラクターが濃くてかわいくて、すっとんきょうな言動は当然おもしろい。だがそのうえで繰り出される、阪奈さんのクールなツッコミが秀逸だ。

 また他の笑えるポイントは会話。フキダシを重ねて言葉をかぶせ気味にしてるところや、関西弁の早口でしゃべっているのが想像でき、どのエピソードもリズミカルに笑いのツボを連打されている感じで、とにかく笑い続けてしまった。

 個人的に一番笑った話は「学校ごっこ」だ。何回も読み返してニヤニヤしてしまう。

単行本限定の描き下ろしも追加! 憧れの家族のかたちとは?

 本作はWebマンガサイト「くらげバンチ」に掲載していたものをまとめ、描き下ろし3編を追加。三本家ファンならぜひ手に入れるべきだろう。

 この3編がとてもイイのだ。ハートフルな「理想と現実」。良すぎて泣いてしまった「フミという人」(本稿ライターは自分の家庭とリンクさせてしまいました…)。そしてすでに逝去された阪奈さんの実父のキャラが強い「ダンナのこと」は、めちゃめちゃ素敵エピソードである。

 ハイセンスだったりオシャレだったり、もちろん余裕のある生活ができるセレブファミリーは理想だろう。ただ、本稿のライターは三本家に憧れる。何てことない日常が、とにかく明るい(リアルはもっとピリピリすることもあるかもしれないし、阪奈さんはイライラしているかもしれないけれど)。家族でワーワー言い合える日常は、本当に楽しそうで、眩しい。

 自由気ままでマイペースな3人の子どもが、これからどのように成長していき、どう笑わせてくれるのか、今後も楽しみである。

文=古林恭

この記事で紹介した書籍ほか