菅総理が愛読する「最強のビジネス書」。元米国国務長官コリン・パウエルが書いたその内容とは

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公開日:2020/10/15

リーダーを目指す人の心得
『リーダーを目指す人の心得』(コリン・パウエル、トニー・コルツ:著、井口耕二:訳/飛鳥新社)

 菅義偉内閣がいよいよ発足した。支持率は調査メディアによっては70%を超え、世間は祝福ムード。縦割り行政打破やデジタル庁創設、不妊治療の保険適用化などの新しい政策を打ち出しているが、菅総理はこれからの日本をどのように創り上げていくのか。多くの人がその政治手腕に期待を寄せている。

 そんな菅総理の愛読書として知られる本が今注目を集めている。その本とは、『リーダーを目指す人の心得』(コリン・パウエル、トニー・コルツ:著、井口耕二:訳/飛鳥新社)。黒人としてはじめて米国4軍を率いる統合参謀本部議長に就任、2001年から2005年までは国務長官を務め、4つの政権で政府の要職を歴任したコリン・パウエル氏が自らの仕事の流儀を記した1冊だ。2012年の単行本発売以来ロングセラーを続けてきたが(2017年に文庫化)、菅内閣が誕生したことで再び話題となり、累計発行部数は14万部を突破するなど、大きな話題を呼んでいるのだ。

 菅総理は、安倍政権時代、官房長官就任前後にこの本を読んだといい、「会見に対して気が楽になった」と語っている。菅総理は、パウエル氏の言葉から何を感じ取ったのか。「最強のビジネス書」として世界的にも話題のその内容を少しご紹介するとしよう。

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なにごとも思うほどには悪くない。翌朝には状況が改善しているはずだ。

 パウエル氏は、状況がどれほど悪い時も自信を失わず、楽観的な姿勢を保つように心がけているという。自分は勝利に向かって歩んでいると思えば、周囲にもよい影響が与えられる。部下にもその姿勢が伝わり、どのような問題でも解決できると信じさせることができるのだ。

 厳しい会議や不愉快な事態、敵対的な記者会見などに臨まなければならない時、パウエル氏は、準備の仕上げとして、洗面所にたって顔と手を洗い、鏡の中の自分を見ながら「さぁ、始めようか」とつぶやくという。どんな時も決してあきらめることはしない。楽観的でありつづければ力は倍増するに違いないのだ。

小さなことをチェックすべし

 物事の成否を左右するのは、数々の小さなことだ。リーダーは小さなことが起きる組織の最深部がどうなっているか把握しておく必要があるとパウエル氏はいう。そのために、パウエル氏は、時に非公式に部下の仕事場を見に行っていたという。兵舎の視察では、寝棚やロッカー、洗面所のトイレットペーパーの不足まで確認。また、国務省内で職員から直接話を聞くこともあった。こちらが国務長官だと気づいていない様子の女性に話しかけて、フレックスタイム制について教えてもらったことも。そのように現場の情報を得て、現場の改善に活かしていたのだという。

 菅総理は自らのことを細かいことも気になるタイプだといい、特にこの本でもこの流儀に共感を覚えたのだという。パウエル氏と同様、菅総理も小さなことにも注目し、ぜひともさまざまな国民の声を吸い上げていってほしいものだ。

 菅総理は、この本で得たことを元に日本をどのような未来へと導くのか。日本の未来に期待しつつ、ビジネスパーソンとして、私たちもこの本で学びたい。パウエル氏の言葉は、どの言葉も私たちを勇気づけるものばかり。人の上に立つ立場ならば、必読。菅総理が魅了されるのも納得の1冊だ。

文=アサトーミナミ