御曹司とスタントウーマンの魂が入れ替わる!? 「不時着」ヒョンビンと人気脚本家がタッグを組んだ韓国ドラマ「シークレット・ガーデン」

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更新日:2020/11/21

シークレット・ガーデン
(C)SBS & SBS Contents Hub. All rights reserved.

 最近Netflixで「キム秘書はいったい、なぜ?」の配信がスタートし、常にランキング上位に君臨している。イケメン御曹司と苦労人の女性が、何度も価値観の相違から喧嘩を繰り返しながらお互いに惹かれ合っていく…というのは、ラブコメの王道ストーリーだ。そんな定石はおさえながらも、ひとつのトンデモ設定により一気にダイナミックな展開の物語を実現した韓国ドラマ作品が過去にある。

 言わずと知れた名作「シークレット・ガーデン」である。主人公は、ハ・ジウォン演じるスタントウーマンのキル・ライム。相手役の御曹司キム・ジュウォンは最近大きな話題を呼んだ「愛の不時着」にも出演していたヒョンビンが演じている。

 物語は、ある日キル・ライムがスタントウーマンとして働いていた現場で、ジュウォンに女優と勘違いされるところから始まる。彼は従兄弟からとある理由でその女優を足止めすることを頼まれ撮影現場に行き、間違えてキル・ライムを連行してしまう。それがふたりの出会いだった。

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 両親がおらず貧しい生活を送るキル・ライムだが、決して卑屈にはならない。その凜とした態度に、ジュウォンは無意識のうちに惹かれていく。しかし、彼は財閥2世でデパートの社長であり、金持ちであるプライドもある。そのせいで失礼な態度をキル・ライムにとるたびに切り捨てられ、しかしそれでも彼女を諦めきれずにつきまとう…というのが、ドラマ序盤のふたりのやりとりだ。

 ジュウォンを演じるヒョンビンの、ナルシストで盲目的な御曹司の演技はぴったり合っていて、酷い言動も度々見られるのだがどこか憎めない愛嬌がある。そんな彼にまったくなびかないキル・ライムという役もいい。ここだけでも十分にラブコメとしておもしろく観ることができるのだが、このドラマはそれだけでは終わらない。

 中盤から、ふたりは唐突に数奇な運命にさらされることになる。ある朝、ふたりが起きると、お互いに魂が入れ替わってしまっていたのだ。鏡に映る自分ではない姿にパニックになるが、ふたりはなんとか取り繕いながらお互いの生活を維持しつつ、問題を解決していこうと協力し合う。

シークレット・ガーデン
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 この魂の入れ替えは、戻ったり、また入れ替わったりと何度も繰り返す。そのたびに周囲はふたりの言動に違和感を抱き、ふたりはそれを払拭するためにお互いになりきろうとする。そんな繰り返しの中で、ふたりの距離は急速に縮まっていくのであった。

 一見トンデモ設定ではあるが、魂が入れ替わった理由や条件、そしてふたりの過去が少しずつ解明されていくにつれて、物語と見事に調和していることに驚く。ふたりの魂が入れ替わっているときの演技も、なんだか笑ってしまうが、それでいて見事で、ずっと飽きさせない。

 設定を最大限に活かし、物語をダイナミックに展開させていくのは、さすがキム・ウンスク脚本というところである。キム・ウンスク氏といえば、「太陽の末裔」や「トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜」、「相続者たち」など、数々の作品で知られるヒットメーカー。お金持ちの男性と庶民の女性の王道ラブコメだったはずが、気がつけば壮大なスケールの世界観に飲み込まれていて驚く。

 コミカルな場面が多いものの、それが余計に物語の暗い部分を際立たせる。王道ラブコメはもうお腹いっぱいという人でも十分に楽しめる名作である。

文=園田もなか