どうしてもお客様の反応が薄い…? オンライン商談のむずかしさとその攻略法を徹底紹介

ビジネス

公開日:2020/11/18

『無敗営業 チーム戦略 オンラインとリアル ハイブリッドで勝つ』(高橋浩一/日経BP)

 ビジネスマンの営業活動は、コロナ禍でもっとも大きく変化した仕事のひとつだ。かつてはまず「顔を見せに行く」ところからのスタートだったが、今や直接会うことはむずかしい。緊急事態宣言が明けた後も、商談の主戦場はオンラインだ。「会えないから仕方なく」の段階は終わり、日常的にオンラインとオフラインが混在している。だが、オンラインツールの使い方には慣れてきても、商談の“勝ちパターン”を掴んでいる方はまだ少ないのではないだろうか。
 
 そこで紹介したいのは『無敗営業 「3つの質問」と「4つの力」』で4万部のヒットとなった著者・高橋浩一氏の新刊。タイトルは『無敗営業 チーム戦略 オンラインとリアル ハイブリッドで勝つ』(日経BP)だ。前著では独自の調査に基づいて営業とお客さんの意識の“差”を明確化。そこに8年間コンペで無敗だという著者の経験や、800件のコンサルなどで得た知見を組み合わせ、体系的に営業で勝つ方法を語り反響を呼んだ。本書は、そんな『無敗営業』をwithコロナ時代にアップデートした内容で、オンラインとオフラインが入り交じる現代の“勝ちパターン”を示す。

オンライン商談の決め手は「段取り」と「納得感」

 著者が代表を務めるTORiXの調査によれば、オンライン商談の決め手は、「段取り」と「納得感」だという。「段取り」は、事前準備のやり取りや、商談当日の進め方などの部分。「納得感」は、お客さんの疑問点を解消してきちんと腹落ちさせること。どちらもオフラインの商談においても大切なことであったが、オンラインの環境では差がつきやすい。

 たとえば、よくあるのがお客さんの反応の薄いケースだ。資料を読み終えた後「ご不明点はありませんか」とお客さんに訊き、疑問点を解消しようと試みる。だが、オンラインだと「はぁ、大丈夫です…」くらいしか返ってこず、うまく納得感を醸成できないことがある。本書によれば、資料をブツ切りにして質問の機会を増やしたり、「他社さまからは○○○のような声もいただきますが」とこちらから質問の切り口を与えることが大事だという。

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「10ミニッツ営業」で密なコミュニケーションを


 オンラインの商談が増えると、移動時間がなくなり効率的になる一方、コミュニケーションの量がどうしても減る。「とりあえず会う」がなくなった今、オンラインとオフラインをどのように使い分けていけばよいのだろうか。

 本書によれば、効率を求める場面ではオンライン、関係を深めたり感情に訴える場面ではオフライン。さらには、商談の間には電話とメールを駆使してコミュニケーションを深めていく“ハイブリッド営業”が必要だという。

 著者がすすめるのが「10ミニッツ営業」だ。不足しがちなお客さんとの接点を10分間の電話とメールで補う。電話のなかでお客さんの悩みや課題を訊き出し、その後のメールで役に立つ情報を送信。こまめに連絡をとりながら、“二人三脚”で納得感のある提案を作っていきたい。

 本書はその他にも、“勝ちパターン”を掴んだ後にチームで生かしていく方法や、組織として人材を育成するノウハウも紹介。現場の一個人の能力向上だけでなく、マネジメントの視点からも強い営業組織を作る方法を説く。withコロナで成果を上げたい営業担当者、そして彼らを率いるマネージャーにとっても必携の1冊になるだろう。

文=中川凌(@ryo_nakagawa_7