「小説家になろう」累計PV2億5000万超え! フルダイブ型VRゲームを舞台にした話題作『シャングリラ・フロンティア』が待望のコミカライズ!!

マンガ

公開日:2020/11/24

シャングリラ・フロンティア~クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす~(1)
『シャングリラ・フロンティア~クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす~(1)』(硬梨菜:原作、不二涼介:漫画/講談社)

 最近、アニメやコミカライズの原作として注目されているのが「小説家になろう」発祥の作品だ。「小説家になろう」とは個人が無料で自作の小説を投稿できるウェブサイトで、小説閲覧数は月間11億PV以上。その作品群は「なろう系」とも呼ばれ、『Re:ゼロから始める異世界生活』や『転生したらスライムだった件』など多くのヒット作が誕生、現在も『魔法科高校の劣等生』ほか人気作がアニメ放映されている。そしてコミカライズでは、累計2億5000万PVを突破したという話題作が『週刊少年マガジン』に連載され、単行本化することになった。それが『シャングリラ・フロンティア~クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす~(1)』(硬梨菜:原作、不二涼介:漫画/講談社)である。

 物語は、フルダイブ型のVRゲームが主流となった世界が舞台。ヘッドギアのようなVR機器を使ってゲームの世界へダイブするアレである。主人公である「陽務楽郎」はゲーム大好きな高校2年生だが、少し変わった嗜好を持っていた。彼はゲームの中でも「クソゲー」と呼ばれる、ヒドい作りのゲームを愛する「クソゲーハンター」だったのだ。そしてクソゲーの中でもとりわけ評判の悪い「フェアリアル・クロニクル」をクリアした陽務が次のゲームを思案していると、ゲームショップのお姉さんから勧められたのはなんとクソゲーの対極たる「神ゲー」であった。勧められるままそのゲームをプレイすることにした陽務。これが彼と「シャングリラ・フロンティア」──通称「シャンフロ」の出合いであった。

 他のゲームでも用いる自身のプレイヤーネーム「サンラク」を名乗り、ゲームを始める陽務。数多くのクソゲーをクリアし、その中でプロゲーマー相手にも善戦したプレイヤースキルを駆使して、序盤の敵を狩りまくっていく。気がつくと最初に寄るべき街「ファスティア」を大きく離れたため、サンラクは次の街「セカンディル」へ向かうことに。しかし、そこに待ち構えていたのは強力なエリアボスだった。毒を食らい瀕死の状態になるも、何とかエリアボスを撃破したサンラクは、ほうほうの体でセカンディルにたどり着く。

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 街で新たな装備を手に入れたサンラクは、試運転とばかりに敵が強くなるという夜に行動を開始。しかし、彼の前に恐るべき強敵が出現する。それは「シャンフロ」の世界に7体しかいないという「ユニークモンスター」の一体である「夜襲のリュカオーン」だった。豊富なゲーム経験を持ち、どこか慢心していたサンラクは、ここで初めて「シャンフロ」の深淵を覗くことになる。なす術なくリュカオーンに撃破された彼は、その身に「リュカオーンの呪い」を刻まれることに。そしてこのことが、「シャンフロ」の世界を大きく動かすきっかけとなっていくのであった──。

  フルダイブ型VRゲームが舞台の作品といえば、ログアウト不可能などの理由によりゲーム内世界で生活するものが割と多いが、本作は違う。あくまで「シャンフロ」はゲームであり、陽務の日常や別のゲームをプレイする姿なども描かれている。しかもそれが「シャンフロ」に関係してくるので、非常に飽きさせない作りだ。またユニークモンスターなどの設定も細かく作りこまれているので、そういう部分に注目するのも楽しい。さすが『週刊少年マガジン』の読者アンケートで、連載第一話から1位を獲得したのは伊達ではない。「次週がとても楽しみになる」──『シャングリラ・フロンティア』はまさにそのような作品なのである。

文=木谷誠