大切なのは「怒らないこと」ではなく「後悔しない怒り方」! “アンガーマネジメント”を子育てに取り入れる方法

出産・子育て

公開日:2020/12/15

ママも子どももイライラしない 親子でできるアンガーマネジメント
『ママも子どももイライラしない 親子でできるアンガーマネジメント』(小尻美奈/翔泳社)

 子どもが大好きで子育ても楽しいのに、子どもに対してイライラしてしまうことがある。なんとか気持ちを抑えても、イライラが積み重なるとつい怒鳴ってしまう……。

 子育て中の方には、もしかしたらこんな経験があるかもしれません。

 例えば、何度言っても子どもが片づけをしてくれないときや、何かにつけてすぐに泣き出してしまうとき。募るイライラを溜め込めば、いつしか爆発するのは目に見えています。ですが、それで問題が解決するわけではなく、愛しい我が子を怒鳴ったことへの後悔が残るだけ。

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 どうすればこうした感情をコントロールできるようになるのでしょうか。その方法の一つとして注目されているのが「アンガーマネジメント」です。親が子育てでイライラするのは当たり前ですし、悪いことではありません。大切なのは、「怒らないこと」ではなく、子どもも自分も責めず、「後悔しない怒り方」ができることです。

ママも子どももイライラしない 親子でできるアンガーマネジメント

 アンガーマネジメントを子育てに取り入れる方法を提案しているのが、『ママも子どももイライラしない 親子でできるアンガーマネジメント』(小尻美奈/翔泳社)。

 本書では日本アンガーマネジメント協会認定のアンガーマネジメントコンサルタントとして活躍する小尻美奈さんが、「怒る必要のあること」と「怒る必要のないこと」を決めて、怒りの感情と上手に付き合うためのトレーニングを、家庭ですぐに実践できる形で解説しています。

 今回はその中から3つの手法をご紹介。子どもと接しているときにイライラを感じることがあれば、まずは試してみてはいかがでしょうか。

イラッとしたら6秒待つ

 イライラや怒りを感じたときに6秒間待って落ち着かせる「6秒ルール」は、アンガーマネジメントの代表的な手法です。イライラは湧き上がる瞬間が最も強い状態ですが、長続きするわけではないそう。反射的な言動をせず、深呼吸して6秒間やり過ごすことで理性的な判断や行動ができるようになります。

ママも子どももイライラしない 親子でできるアンガーマネジメント

 ただし、頭で理解していても反射的な言動を押さえるのは簡単ではありません。特に身近な子どもに対してはつい強い口調になってしまいがち。そこで著者の小尻さんは「とにかく6秒間待つことを、まず1か月続けてみよう」と提案します。6秒間待つうちに、実はそんなに怒るようなことではなかったと気づくかもしれませんし、「反射的に怒らないこと」が習慣にもなってくるでしょう。

 まず6秒待つこと、これがアンガーマネジメントを始めるうえで最初の一歩となります。

その場を離れよう

 本書では、6秒間をやり過ごすための様々な方法を「6秒マジック」として紹介していますが、その一つが「その場を離れる」です。

 子どもが泣き叫ぶ姿や何度注意しても態度が変わらない様子を見て、思わずかっとなったとき。子どもを外に出したり別室や押入れに閉じ込めたりするお仕置きは昔からありますが、大切なことはお仕置きではなく、次からどうすればいいかを子どもが理解できるように伝えること。すぐに冷静になれない場合は、いったん自分がその場を離れてみてください。

ママも子どももイライラしない 親子でできるアンガーマネジメント

 例えば、トイレにこもる、お風呂の掃除をする、ベランダに出る、買い物に行くなどすると気持ちを切り替えやすくなります。その際、子どもには必ず一言「○○に行ってくるね」と声をかけるようにします。親が怒った形相でその場を離れれば、子どもは置いてきぼりにされたと思い、不安や恐怖を感じてしまうからです。

 子どもとお互いに距離を取ることで、気持が落ち着いてきたら、何を伝えればいいのか整理してから、改めて向き合ってみましょう。

アンガーログをつける

「6秒マジック」はイライラした瞬間におこなう、いわば対症療法です。アンガーマネジメントには、繰り返し取り組んでイライラしにくい考え方を身につける体質改善的な方法もあります。

 イライラしたり怒ったりしたことは覚えていても、「何に対して怒ったのか」は意外と忘れていたりしませんか? 覚えていないから、同じような状況になるたびにイライラを繰り返してしまいます。自分がどんな状況にイライラしやすいのか、子どもの何に対してイライラしているのか、そうした傾向を把握するのに使えるのがアンガーログです。

ママも子どももイライラしない 親子でできるアンガーマネジメント

 アンガーログはイラッと感じたときに、その日時や場所、出来事、気持ち、そして感情の強さを記録する手法です。その場では分析せずに、ありのままの情報を書き出すことが大事だそう。そして内容を定期的に振り返ることで、外では怒らないのに家の中ではよく怒る、子どもが宿題をしないことによくイライラしているなど、「実はこんなパターンがあったんだ」と思わぬ自分の姿が見えてくるでしょう。

 漠然と「怒らないようにしよう」と思うのではなく、「こういう状況ではこうしよう」と具体的な対策を考えられるようになるのがアンガーログの特徴。紙の手帳やスマホのメモ帳など、書き留める手段は何でもOK。アプリもあるので、自分に合ったものを見つけると習慣化できそうです。

なんだかんだ、子どもは親のことが好き

 アンガーマネジメントは、大人だけでなく子どもが取り組むことも可能。本書では、子どもが実践するときのポイントも解説しています。

 親が子どもにイライラを感じたり、子どもが親に「嫌い」と言ったりすることもあります。それが本心であるはずもなく、子どもは親のことがなんだかんだ大好きで、親も子どものことを愛しているのに…というシーンも多いかと思います。イライラに振り回されず、感情に任せて反射的に判断・行動しないために、親子でアンガーマネジメントを取り入れてみてはいかがでしょうか。