ハイスペックだけど史上最悪のモラハラ夫に妻はどう反逆するか? ダークな甘さに満ちた白泉社新レーベル「黒蜜」配信開始!

マンガ

公開日:2020/12/9

ギルト ~君の未来を奪う罪と罰~
『ギルト ~君の未来を奪う罪と罰~』(カルビ佐藤/白泉社)

 夫がクズすぎてちょっとびっくりしてしまったマンガ『ギルト ~君の未来を奪う罪と罰~』(カルビ佐藤/白泉社)。11月に創刊された白泉社の新レーベル「黒蜜」――ダークな甘さに満ちた作品をそろえ、電子書籍サイト「まんが王国」で先行配信。12月9日より他サイトでも待望の配信が開始されたが、なかでも注目なのがこの『ギルト』。読めば読むほどぞわぞわして胸が痛くなり、でもなんだか読むのをやめられないという不思議な中毒性をもっている。

 そもそも1話の冒頭からして不穏である。夫・正貴の社員旅行についてきた和香に、いきなり始まるモラハラ。「上司の前でぼーっとしやがって」「これ以上醜態さらす前に部屋に戻ってろ」「お前と結婚したの後悔してるよ」とさんざんないいよう。自宅タワマンに帰ってくると、自分が竜田揚げを食べたいといったくせに「旅行でくたびれてんのに んな脂っこいもん食えるか そんくらい考えれば分かるだろ バカ」。体調が悪くても、妻の務めだと夜は襲いかかってくる。いくら経済的に恵まれていても、地獄である。

 そんな和香を癒してくれたのは、社員旅行で出会った三味線弾きの青年・けい。実は学生時代に通っていた音楽教室の仲間だったと思いだし、その再会に和香が心を弾ませたのは、けいがイケメンだからでも、不義のときめきを覚えたからでもない。つかのま、“正貴の妻”ではなく、“ピアノを弾くのが大好きな和香”に戻れたからだ。

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 けれどせっかく誘われた教室のイベントも正貴は参加を許してくれず、ストレスで倒れた和香を心配するそぶりも見せないどころか、若い男にうつつを抜かした罰としてとんでもない非道に出る。その非道ぶりはぜひご自身で読んでみていただきたいのだが、けれどこれが、妙にリアルで、納得してしまった。

 正貴は、今なお和香を愛している。だからこそ自分の支配下に置いて、自分だけのものにしておきたい。傷つく和香、泣く和香を見て、そのつながりを確かめ悦に入っているのだろう。……こういう男、絶対、いる。そしてたぶん誰も、結婚するまでその本性は見抜けない。そのリアリティに読めば読むほど夢中にさせられてしまうのである。

 おそらくこの先、和香と恋に落ちるのであろうけいの影は、3話時点でまだ薄い。けれど我慢の限界を迎えはじめた和香が、今後、どんな反逆を見せるのか。簡単には手放してくれないだろう正貴はどんな妄執を見せるのか。次回の配信が待ちきれない。

文=立花もも

黒蜜
12月9日(水)白泉社e-net!ほか主要電子書店配信開始
「まんが王国」では11月11日(水)より独占先行配信
雑誌売り450円(税別)
各ばら売り150~180円(税別)