【ネタバレあり】『呪術廻戦 15』渋谷事変クライマックス! 虎杖×真人の最終決戦! 釘崎は? 五条が封印された世界の行く末は

マンガ

公開日:2021/3/5

呪術廻戦15
『呪術廻戦15』(芥見下々/集英社)

※本文にはネタバレを含みます。

 釘崎野薔薇(くぎさき のばら)は思い返す。住んでいた田舎、残してきた親友のふみ、近所の沙織お姉さんのこと。そして呪術高専の仲間たちを。

 頭が弾け飛び倒れる釘崎、という衝撃的なシーンから『呪術廻戦15』(芥見下々/集英社)は始まる。

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 人の感情から生まれる“呪い”と、呪術師との戦いを描く本作。TVアニメ化もされ、ついに15巻の初版は150万部を発行、シリーズ累計は3600万部を突破(電子版含む)。盛り上がりはとどまる所を知らない。

 10巻から始まった“渋谷事変”編もいよいよ佳境だ。一般人の命が無慈悲に奪われ、術師は倒れ、呪霊が祓われていく。そんななか、現代最強の呪術師・五条が、夏油(げとう)によって、獄門疆(ごくもんきょう)に封印されてしまった。

 前巻では、両面宿儺(りょうめんすくな)が、集められた宿儺の指を大量に食べたことで一時的に復活。伏黒の式神・八握剣 異戒神将 魔虚羅(やつかのつるぎ いかいしんしょう まこら)を倒した。ただその際に大量の一般人も巻き添えに…。

 そんな宿儺の行動にも苦しみながら向き合い、虎杖悠仁(いたどり ゆうじ)は特級呪霊・真人(まひと)を祓おうとしていた。だが七海の死、そして釘崎の倒れる姿を目にしてついに立ちすくむ。

 その隙を逃す真人ではない。虎杖に黒閃からのラッシュを浴びせる。「平均で通常時の2.5乗の威力」である黒閃を呪霊が…? 「黒い火花は微笑む相手を選ばない」のだ。終わった…。

「パンッ」

 そこで手を叩く音。まさか来たのか? 誰もがそう思った。

 とどめを刺そうとした真人の前から突如、虎杖が消える。ではなく、位置が入れ換わっていた。「不義遊戯」(ブギウギ)だ。聞きなれた声がその場に響く。

起きろ虎杖(ブラザー)!!
俺達の戦いはこれからだ!!

 めちゃめちゃ強くてちょっと笑える、それが東堂だ。五条を取り戻すことから、味方を1人でも救う戦いに切り替えた東堂は言う。

俺達は呪術師だ
俺とオマエと!!
釘崎!!
Mr.七海!!
あらゆる仲間
俺達全員で呪術師なんだ!!
俺達が生きている限り
死んでいった仲間達が真に敗北することはない!!

 真人に殺された七海の言葉を思い出す虎杖。

後は頼みます

 ここでまず泣けるし、思わず叫びたくなる。「ファイティングポーズをとれ悠仁!」

 虎杖は、東堂の連れてきた新田の術式を施され、傷の悪化は治まる。「あっちの子(釘崎)にも同じ処置をしました。助かる可能性は0じゃない」その言葉も後押しになった。立ち直った虎杖は東堂とのコンビネーションで真人に黒閃をキメる。そして東堂もまた同じく黒閃!

 東堂と虎杖のタッグバトルは読んでいて本当にワクワクするし、気分をアゲざるをえない。

 ただこのタイミングでスッと挿入される京都呪術高専・三輪のエピソードは“ずるい”。東堂に遅れて渋谷へ向かう京都高専一行には涙腺崩壊必至である…。単行本で一気に読むと間違いなく“くる”。読者は死んでなお渋谷で戦った、メカ丸こと与(むた)を思い出すだろう。

“狙って出せる術師は存在しない”はずの黒閃を経て、120%のポテンシャルを引き出した特級呪霊と2人の呪術師。3者の呪い合いはクライマックスを迎える。

 五条がみせた0.2秒の領域展開を発動した真人に、左腕を吹き飛ばされる東堂。さらに魂の本質、本当の形を掴んだ真人は「遍殺即霊体」(へんせつそくれいたい)に変化。別次元の存在になり、勝利を確信した相手に虎杖が放ったのは、逕庭拳(けいていけん)。

 速すぎる身体の動きに呪力の流れが追いつけず2度の衝撃を生む、黒閃を覚える前に使用していたあの技だ。もろにくらった真人が見たのは、東堂が立ち上がって叫び左腕と右手を叩く姿だった。

腕なんて飾りさ
拍手とは
魂の喝采!!

「ズチュ」

 音はした。魂にこだわってきた真人はひるむ。が、当然、東堂のブラフだ。入れ換わらない。

 虎杖の最大呪力出力の黒閃が炸裂する――。

 2人は自然の理に従い、逃げる弱者と追う強者になる。

 その前に現れたのはもう1人の強者、夏油。五条を手に入れたにもかかわらず、逃げずに姿をみせたその目的は何か。

 その頃、虎杖を後一歩のところまで追い詰めた脹相が「虎杖が弟である」存在しない記憶に悩み、動き出していた。ただこの記憶は本当に“真実ではない”のだろうか?

 そもそも自分自身を「彼」という夏油の正体は何者なのか?

 そして高専の仲間たちと呪術師たちの生死は?

 謎が少しずつ明らかになっていく、五条のいない世界の話はまだ、これからである。

文=古林恭

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