セックスの悩み、パートナーに正直に伝えられますか? コンプレックスだらけの男女が「本当に気持ちいいセックス」を模索したら

マンガ

公開日:2021/3/27

カラダ、重ねて、重なって
『カラダ、重ねて、重なって』(iko/講談社)

 セックスをしなければならないというプレッシャーが苦しい。昔、恋人と付き合う中で、そんな気持ちになったことがある。

 求められないと、それはそれで悲しくなるくせに、いざ求められると相手が喜ぶように演じなければというプレッシャーに押しつぶされそうになり、体を重ねる時間が苦痛だった。「本当は気持ちよくない」というひと言を素直に言えたら、どんなに楽かと何度思ったことだろう。

 そんなあの頃の自分が、もしこの漫画と出会っていたら、もっとお互いが幸せになれるセックスを見つけられたのかもしれない。『カラダ、重ねて、重なって』(iko/講談社)は、そう思うほど心に刺さる作品だった。ここにはセックスに悩む男女の、不器用で温かい恋が描かれている。

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セックスに抵抗がある男女が「心とカラダを満たし合う方法」を探して

カラダ、重ねて、重なって

「おまえのセックス、ホントつまんねえ」そんな言葉を吐かれ、彼氏にフラれた岡本みすずはずっと心に傷を抱え続けてきた。

 ひどい別れから時は経ち、気づけば29歳に。同じ会社で働く菩薩のようなイケメン・御影匠真のことは気になるものの、「付き合う=セックスありき」と思うと、一歩踏み出す勇気が持てずにいた。

 そんな時、なんと御影から「好きです」と告白され、2人は両思いに。初めての夜を迎えることになった。

 だが、御影はなぜか途中でセックスをストップ。みすずはやはり自分とのセックスがつまらないのが原因だと思い、泣きながら何が悪かったのかを尋ねた。すると、御影から思いもよらぬ返答が。なんと彼もセックスに対して長年、悩みを抱えていたのだ。

カラダ、重ねて、重なって

カラダ、重ねて、重なって

 セックスしようとすると緊張して勃たなくなってしまう…。そう素直に、自分の苦しみを打ち明け、頑張るからチャンスをくれないかと懇願する御影。その姿にみすずは、これまで自身が相手に全てをゆだねてセックスしてきたことに気づかされ、自分も頑張ると宣言。不器用すぎる2人の恋は、こうして始まっていく――。

 本作にはスポットがあたりにくい男性側のセックスの悩みも丁寧に描かれているため、女性が学べることも多い。今日は勃つだろうかという不安や、それを悟られまいとする男心、セックス中に萎えてしまった時の焦りなど、御影の心理描写は、どれも普段、女性側からは知り得ないものであるからこそ、胸に刺さる。特に、好きな人を目の前にしているのにどうして勃たないのかと焦る姿は切なく、思わず、御影を抱きしめたくなった。

 セックスにまつわる悩みは十人十色。デリケートな話題であるため、パートナーと話し合うことはなかなか難しい。けれど、セックスは本来、大切な人とより心を通わせるために行う、最大級の愛情表現のはず。だから、どちらか一方が苦しんだり頑張ったりするのではなく、共に努力し、歩み寄って体も心も気持ちよくなれる方法を見つけていきたい。

 もしかしたら、自分とはまた違ったプレッシャーと闘いながら相手もセックスに挑んでいるのかもしれない…。そう考えることは、大切なパートナーの心を救うことにも繋がる。かつての自分はそれができず、セックスが苦痛になり、パートナーとの間に歪が生まれてしまった。だから、今度添い遂げるパートナーには勇気を出して、自分の気持ちを伝えていきたいと思う。

 焦らずゆっくり、本当に幸せを感じられるセックスを見つけようとする、みすずと御影。2人を見ていると、セックスをすることの意味も改めて考えたくなるだろう。本作は、新しい形の純愛物語でもある。

文=古川諭香

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