人気声優の4年間がぎゅっと濃縮! 青年と大人の男の端境期にある梅原裕一郎の魅力が詰まった2ndフォトブック

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公開日:2021/4/9

梅原裕一郎フォトブック 梅ごよみ ~観梅~
梅原裕一郎フォトブック 梅ごよみ ~観梅~』(梅原裕一郎/主婦の友インフォス)

『天地創造デザイン部』の食欲旺盛な好青年、木村。『2.43 清陰高校男子バレー部』の策士なバレー部副主将、青木。『SSSS.DYNAZENON』『ましろのおと』も好評放映中の、ひと癖ありげなキャラクターを演じさせたら天下一品の人気声優・梅原裕一郎さん。そんな梅原さんが、誕生日である2021年3月8日に2冊目となるフォトブック『梅原裕一郎フォトブック 梅ごよみ ~観梅~』(主婦の友インフォス)を刊行した。

梅原裕一郎フォトブック 梅ごよみ ~観梅~

 月刊誌『声優グランプリ』(主婦の友インフォス)で、2017年5月号から足かけ4年間連載された人気連載「梅ごよみ」の全43回分を収録。“ものづくり”が得意な梅原さんが、色々なものづくりを体験する姿を文章と写真で捉えたもので、25テーマもの多岐にわたって挑戦している。

 名前にちなんでの梅シロップと梅酒づくりは、このフォトブックだけに掲載される連載特別編。連載本編は「風鈴」からスタートし、「藍染め&機織り」「キャンドル」など定番のものから、「うどん打ち」「和菓子」「お魚さばき」といった食関連。連載後期ともなると「モカシンシューズ」に「はんこ(篆刻)」と、初心者にはなかなか手の出しにくい分野にまで進出。梅原さんのDIYスキルの上達ぶりが伝わってくる。

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梅原裕一郎フォトブック 梅ごよみ ~観梅~

 連載時に紹介しきれなかった未公開カットもたっぷりと掲載されて、各回を振り返って思い出や反省点、作ったものがその後どうなったかを語り下ろしたコメントが付いているのも嬉しい。

 とりわけ印象的なのは、2018年に病気を患い、復帰後の第1回目となった「メッセージカードづくり」の回だ。発病、入院と療養中の詳細と、仕事を休まなければならなくなった当時の心境が切々と綴られている。この期間で、自分がどれほど多くの人たちに支えられているのかを実感するとともに、復帰後は声優という仕事の面白さも改めて感じ、自分自身を見つめ直すことができたと梅原さんは告白している。

 一問一答企画のページにも、こんな文章がある。

「(病気になったことは)自分にとってはマイナスなことばかりではなかったなと今は思っているんです。一度倒れて、立ち止まって考える時間がもらえたという点では(後略)」

 病になったことで得たこと、気づいたことが、たくさんあったのだろう。そう感じさせる内容となっている。

 3バージョンある撮り下ろしカットがまた豪華極まりない。

「和ごよみ」編では、古民家にて着物の上に半纏を重ねた姿でくつろぐ梅原さんを撮影。ヒイラギの赤く色づいた実を背景にしたものや、日射しを浴びて縁側で寝転ぶ姿、ひとり物思いにふける表情など、隠居した若旦那か、はたまた明治時代の書生を思わせる。

梅原裕一郎フォトブック 梅ごよみ ~観梅~

梅原裕一郎フォトブック 梅ごよみ ~観梅~

「洋ごよみ」編は、旧前田侯爵家の別邸であった鎌倉文学館に、梅原さんがフォーマルな洋装で佇んでいる。紅葉が美しい鎌倉の秋と、端整な風貌の美青年の組み合わせは実にフォトジェニックで、まるで映画のスチール写真のようだ。

 そしてトリとなる巻末の「梅ごよみ」編は、梅の花と梅原さんの2ショット。匂やかに咲く梅と、20代から30代に差しかかろうとする著者の姿が重なり、声優・梅原裕一郎の魅力を余すところなく映し出している。

 ちなみに表紙カバーを外すと、サプライズな1枚が現れる仕様になっている。実にサービス精神があふれんばかりに詰まった1冊だ。

文=皆川ちか