ある日突然、ベランダに美少女が!? 天使×高1男子の同居ラブコメ!

マンガ

公開日:2021/5/1

ワンルーム、日当たり普通、天使つき。
『ワンルーム、日当たり普通、天使つき。』(matoba/スクウェア・エニックス)

 コロナ変異株の波が押し寄せ、先日3回目となる緊急事態宣言が発令された。コロナ前、この文明が発達した時代にこんな世界規模のパンデミックが起こるなんて誰が考えただろうか。世の中、まだまだ何が起こるか分からない。そしてどうせ分からないならば、せっかくなら「こんなことがあったらいいな」と夢のある方向に思いを馳せるのも一興だ。「絶対にない」なんて、誰も証明はできない。例えばそう、『ワンルーム、日当たり普通、天使つき。』(matoba/スクウェア・エニックス)のような――。

 本書の主人公は、親の仕事の都合でひとり暮らしをしている男子高校生・徳光森太郎。ひとり暮らしをしていること以外はいたって普通の16歳だ。しかしある日森太郎が目を覚ますと、ベランダに天使の格好をした女の子が眠っているのを発見。風邪気味でぼーっとする中、泥棒? 家出少女? コスプレ? と混乱する森太郎。とりあえずどこから来たのかと問うが、その女の子・とわの答えはまさかの「天界です」。そして「私 天使のとわと申します」と真面目に自己紹介を始めるのだった。

 森太郎は、直感的にこの女は関わっちゃいけないと察知。一時は家から追い出すことに成功する。しかし、街でとわが知らないおじさんに絡まれているところに出くわし、助けたところで風邪が悪化して倒れてしまう。そうして気が付くと、2人で森太郎の家に戻っていたのだった。そこで仕方なく森太郎が「…本当に行く所がないならうちにいれば?」と尋ね、ここから2人の同居生活が始まっていく――。

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 まず結論から言うと、とわは本当に天使だった。家に戻ったあと、倒れた森太郎を家に運んだ話からとわが翼を出して宙に浮き、本物の天使であると証明したのだ。始まりはそんな突拍子もないものだったが、とわと過ごす毎日はまるで恋人との同棲生活。牛乳とお砂糖たっぷりのミルクパンがゆで看病され、コンビニやショッピングモールで一緒に必要なものを揃え、とわが作ったおいしいご飯をともに食べる。掃除や洗濯は森太郎が学校に行っている間に済ませてあり、お弁当も作ってくれるし出迎えもしてくれる。今のところ、特に危険が降りかかる様子もない。ピュアな男子高校生と天使の生活は、見ているこちらも頬がゆるむほど微笑ましくあたたかいのだ。とわが天使であるという秘密を共有しているのもまた良い。

 さらに後半では、森太郎を気にかけるクラスメイト・堤つむぎやアルバイト先の新人・和泉のえるなど、とわのライバルになりそうな女の子たちも登場。しかものえるには、家族以外の誰にも言っていない“ある秘密”があって――。森太郎の非日常な日常は、今後ますます賑やかになっていきそうだ。

 コロナで退屈な毎日を送っている人も、ひとり暮らしで孤独を抱えている人も、そんな環境を逆手にとって、本書を読みながら理想の生活に思いを馳せるのもアリ。もしかしたら、この『ワンルーム、日当たり普通、天使つき。』のように可愛い天使が舞い降りるかも!? そんなことがあったらいいな。

文=月乃雫