57歳、還暦目前に婚活したら…「クソ老人」と罵られ!? せつなリアルな婚活ルポ

恋愛・結婚

公開日:2021/6/20

57歳で婚活したらすごかった(新潮新書)

著:
出版社:
新潮社
発売日:
57歳で婚活したらすごかった(新潮新書)
『57歳で婚活したらすごかった(新潮新書)』(石神賢介/新潮社)

 婚活市場が賑わっているとはよく聞くが、どうやらコロナ禍で状況が変わってきているようだ。

『57歳で婚活したらすごかった(新潮新書)』(石神賢介/新潮社)は、57歳の還暦近い著者が婚活に注力したリアルな体験を綴っている。

 著者は32歳で結婚、33歳で離婚を経た後はずっとひとり暮らし。フリーランス雑誌記者として仕事に忙しい日々を送ってきたが、60歳を前にしてふと「結婚したい」という思いに気付く。孤独死の不安もよぎる。

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 そこで、著者は本格的に婚活を始める。
(1)婚活アプリに登録。ネットを通して毎日必ず誰かにアプローチする。
(2)コストをかけて、結婚相談所に登録する。
(3)週末でも、平日でも、時間が許す限り婚活パーティーに参加する。

 2010年代から婚活に対する世間の見方が変わって活動のハードルが下がってはいるものの、57歳という年齢の枷は大きい。著者は文筆業の能力を活かし、婚活アプリから選んだ女性に送るメッセージの質にこだわった。

・自己紹介文よりやや長めに

・頻繁に改行する

・読みやすく、しかし、真剣にパートナーを求めていることを示す

・女性の顔に魅力を感じても「顔が好みです」と直接的には書かず、「お写真の表情から知性を感じました」「品のよさ、清潔さに魅かれました」などとする

・どんな女性を求めているか、どんな関係を築きたいか、などを明記

 熱意と努力のほどが、克明に記されている。

 しかし、57歳の婚活はなかなかうまくいかない。それでも、16歳下のきれいな女性と何度ものメッセージのやり取りを経て、実際に会うことができた。ところが、ライブを観る約束をして別れたものの、それからはメッセージへのレスポンスがなく、ついに女性から「しつこいです。もう連絡しないでください。無理です」との連絡が。「失礼しました。もう連絡はさしあげません」と送信して就寝した翌朝、女性から目を疑う辛辣な返信があった。

「連絡すんなって書いてあんの読めないのかよ。老眼鏡つけとけよ。てめーからLINEくるだけでゾッとして不眠になるわ。クソ老人!」

 57年間で初めて言われた「てめー」「クソ老人」という言葉に愕然とするも、著者はこれを前向きに勉強として捉え、さらに婚活を進める。

 さて、コロナ禍による婚活市場の変化は、婚活者にとってはよくない状況のようだ。婚活会場では、当然といえば当然だが、マスク着用が求められる。そもそも、婚活パーティーは、男女が至近距離かつハイテンションで会話を交わす濃厚接触があちらこちらで発生する場。マスク着用の“現代版仮面舞踏会”の状況では、素顔がわからず、顔を覚えづらく、また会話のテンションもなかなか上がらない。コストパフォーマンスがよくない、と参加者は徐々に減っているそうだ。

 オンラインパーティーが開催されるも、従来より割安なのはいいが、画面や音声が突然途切れるなどの不具合が散発し、ブチ切れ出す参加者も出始める。たとえ意気投合した相手ができても、「帰りに食事でもご一緒しましょう」という流れにはならず、メッセージで「コロナが落ち着いたら、会いましょう」などといった会話をしばらくは交わすも、いつまでも会えない状況で、やがて疎遠になっていく。

 著者は、本書中では目的達成には至っていないが、婚活を続ける中で、大きな気付きがあったそうだ。それは、「誰かと生きたい」から「誰かのために生きたい」という気持ちに変化したこと。当初は「誰かと生きたい」と願っていたが、そこには依存心が含まれている。依存心が強いと相手に期待し、それが大きいほどアテがはずれたときの失望も大きい。自分のことで必死の男女が、相手の期待に100%応えることは難しい。

 そこで著者は、「誰かのために生きたい」と思えるくらいの心のゆとりと、経済的なゆとりをもってこそ、婚活が成就すると考え直した。

 本書は婚活のリアルなドラマとともに、活動の具体的なノウハウも豊富に掲載されている。ひとりでいることに不安がある、婚活に興味があるといった人に、手にとってもらいたい。

文=ルートつつみ(@root223

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