2020年コミックランキングは有終の美を飾った「完結作品」が目立つ結果に。昨年のBOOK OF THE YEARをおさらい!

マンガ

更新日:2021/9/7

『鬼滅の刃』
『鬼滅の刃』(吾峠呼世晴/集英社)

『ダ・ヴィンチ』の年末恒例大特集「BOOK OF THE YEAR」。今年の投票期間がいよいよスタート! ぜひあなたの「今年、いちばん良かった本」を決めて投票してみてほしい。

 2020年のコミック部門ではどんな本がランクインしたのか振り返ってみることにしよう。

コミック部門2020年ランキング

1位『鬼滅の刃』吾峠呼世晴

2位『きのう何食べた?』よしながふみ

3位『SPY×FAMILY』遠藤達哉

4位『ONE PIECE』尾田栄一郎

5位『ミステリという勿れ』田村由美

6位『名探偵コナン』青山剛昌

7位『進撃の巨人』諫山創

8位『3月のライオン』羽海野チカ

9位『女の園の星』和山やま

10位『ハイキュー!!』古舘春一

11位『キングダム』原泰久

12位『ゴールデンカムイ』野田サトル

13位『銀の匙 Silver Spoon』荒川弘

14位『夏目友人帳』緑川ゆき

15位『宇宙兄弟』小山宙哉

16位『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~』赤坂アカ

17位『大奥』よしながふみ

18位『約束のネバーランド』白井カイウ・出水ぽすか

19位『ブルーピリオド』山口つばさ

20位『ちはやふる』末次由紀

21位『転生したらスライムだった件』伏瀬/川上泰樹

22位『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』泰三子

23位『薬屋のひとりごと』ねこクラゲ

24位『乙嫁語り』森薫

25位『AGRAVITY BOYS』中村充志

26位『五等分の花嫁』春場ねぎ

27位『MIX』あだち充

28位『100日後に死ぬワニ』きくちゆうき

29位『水は海に向かって流れる』田島列島

30位『二月の勝者』高瀬志帆

31位『呪術廻戦』芥見下々

32位『図書館戦争(別冊編LOVE&WAR)』弓きいろ/有川ひろ

33位『違国日記』ヤマシタトモコ

34位『私たちはどうかしている』安藤なつみ

35位『ダンジョン飯』九井諒子

36位『百姓貴族』荒川弘

37位『ドラえもん0』藤子・F・不二雄

38位『おじさまと猫』桜井海

39位『BEASTARS』板垣巴留

40位『七つ屋 志のぶの宝石匣』二ノ宮知子

41位『僕のヒーローアカデミア』堀越耕平

42位『文豪ストレイドッグス』朝霧カフカ/春河35

43位『丁寧な暮らしをする餓鬼』塵芥居士

44位『Dr.STONE』稲垣理一郎

45位『チェンソーマン』藤本タツキ

46位『宝石の国』市川春子

47位『鬼灯の冷徹』江口夏実

48位『来世は他人がいい』小西明日翔

49位『映像研には手を出すな!』大童澄瞳

50位『夢の雫、黄金の鳥籠』篠原千絵

50位『北北西に曇と往け』入江亜季

 2020年のランキングで首位に輝いたのは、やはり『鬼滅の刃』だ。まさに2020年は「鬼滅ブーム」の年だった。2019年に放送されたテレビアニメが評判を呼び、人気に火がついた。2020年10月に公開された映画は、初日から24日間で興行収入200億円を突破。単行本の累計発行部数も1億部を記録し、まさに国民的マンガに上り詰めたといえるだろう。

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 2位にランクインしたのは『きのう何食べた?』。こちらも2019年に放送された実写ドラマが大ヒットした。それを入り口に原作を手に取った人が多かったと予想される。ちなみに、31位『呪術廻戦』、34位『私たちはどうかしている』、49位『映像研には手を出すな!』などは2020年に映像化された作品。メディアミックス展開により新たなファン層を開拓した好例だ。

『きのう何食べた?』
『きのう何食べた?』(よしながふみ/講談社)

 また、2020年のランキングでは「完結作品」が非常に目立つ。『ダ・ヴィンチ』2021年1月号発売時点で、まだ最終巻が発売されていなかったものも含めると、1位『鬼滅の刃』、10位『ハイキュー!!』、13位『銀の匙』、18位『約束のネバーランド』、26位『五等分の花嫁』、29位『水は海に向かって流れる』、39位『BEASTARS』、47位『鬼灯の冷徹』と、こんなにもランクインしている。投票したファンの声を見てみると、ずっと追いかけてきた作品が見事に完結したことを祝福するようなものが多い。ひとつの物語の終わりを見届けるのは寂しさもありつつ、どこか晴れやかな気持ちでもあるのだろう。

『ハイキュー!!』
『ハイキュー!!』(古舘春一/集英社)

 SNS発の作品もランクインしている。28位『100日後に死ぬワニ』は「死へのカウントダウン」という残酷な設定を柔らかなタッチの絵柄で包み込み、読み手の心に深く届けた。余白も残した展開はドラマを感じさせ、ラストを考察する人が多かった。43位『丁寧な暮らしをする餓鬼』は対照的な作風で、餓鬼が丁寧に暮らす様子をただ淡々と描き続けたことで話題に。外出自粛が続き、人々の意識が「毎日を丁寧に過ごすこと」へ向いていたのも追い風になったのかもしれない。

『100日後に死ぬワニ』
『100日後に死ぬワニ』(きくちゆうき/小学館)

 新星は9位『女の園の星』。作者の和山やまさんは短編集『夢中さ、きみに。』で第23回文化庁メディア芸術祭マンガ部門 新人賞と第24回手塚治虫文化賞 短編賞をダブル受賞した若手実力派。待望の初連載である『女の園の星』がいきなりトップ10入りしたことから、近い将来大ブレイクするのは間違いなさそうだ。

 2020年は「完結作品」のランクインが多かった分、2021年は入れ替えで新顔が増えるはず。一体どんなマンガが登場するのか、いまから楽しみだ。

『女の園の星』
『女の園の星』(和山やま/祥伝社)

文=五十嵐 大

初出(ダ・ヴィンチ2021年1月号)