好きになったのは、天然タラシの“クズ男”。学生同士のもどかしい恋愛を描く韓国ドラマ『わかっていても』

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更新日:2021/9/5

わかっていても
Netflixシリーズ『わかっていても』独占配信中

 かつて、ダメな男ばかりを好きになってしまう、見る目のない女性のことを「だめんず・うぉ~か~」と呼んだ、倉田真由美氏の同タイトルの漫画が流行し、ダメな男を「だめんず」と称することが一般化した時代があった。10年以上前の話ではあるが、ダメな男ばかりを好きになってしまう女性は、今も健在であろう。

 そんな女性と、まさに“だめんず”な男の恋愛模様を描いた韓国ドラマ『わかっていても』が先日最終話を迎えた。

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 主人公は、23歳で美大に通うナビ(ハン・ソヒ)。彼女は周りからもお墨付きの美人でモテる女性だが、ずっと付き合っていた恋人はモラハラ気味かつ浮気もしていた最低な男。他の女性とキスをしている現場を見てしまい、ようやく別れる決意をする。

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 そんな破局のあと、バーでひとりでお酒を飲んでいると、周囲の女性が思わず声をあげてしまうほどの色男、ジェオン(ソン・ガン)に声をかけられる。最初は人違いだったが、その後ジェオンは他の女性との会う約束を取り消して、正式にナビをナンパする。ナビは彼の美しい容姿や、さりげないボディタッチ、甘い言動に目が離せなくなってしまう。

 ナビの流されやすい感じや、ジェオンのあまりにも自然な距離の詰め方は、とてもリアルだ。悪い男から解放されたと思ったら、また悪い男につかまってしまった。さすがのナビも、彼は危ないと思って一旦は離れようとするが、実はジェオンは同じ大学の後輩であることが発覚し、その後どんどん縁を切り難い関係になっていく。

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 とにかく全編通して、もどかしい作品である。夜だけ彼女の部屋に遊びに来て、なんども身体を重ねながらも、恋愛をする気はないジェオン。彼が誠実な男性ではないとわかりつつも突き放すことができずに、だらだらと都合のいい関係を続けて苦しむナビ。他の女性とも簡単にキスをしたり、多くの女性に気を持たせるような言動をしたり、それでいて深入りはしないように壁を作ったり、ジェオンは本当に好きになったら傷つくタイプの男性なわけだが、果たして彼と彼女の関係性はどのように変容するのか(もしくはしないのか)、最後まで目が離せなかった。

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 普通に考えれば、この手の相手は本気で好きになる前に別れるべきなのだ。女タラシの男が「俺が好きなのはお前だけだ」と性格が変わったように一途になるとしたら、それはファンタジーの世界だけの話である。そう、だから目が離せなかった。現実だったら「さっさと別れな」と言いたくなるようなふたりが、このファンタジーではどのような結末を迎えるのか、それが気になって仕方なかったのだ。

 また、ナビとジェオン以外にも、ふたりの友達であるオ・ビンナ(ヤン・ヘジ)とナム・ギュヒョン(キム・ミングィ)の凸凹コンビによるほっこりとする恋路や、ユン・ソル(イ・ホジョン)が長年の親友に対して抱く秘めた恋心など、学生同士のさまざまな恋愛模様も微笑ましく、見ていて楽しい。

 飲み会や宅飲み、合宿や課題の協力など、学生時代だからこその恋愛が描かれていて、見る人によってはちょっと昔が懐かしくなるような作品かもしれない。

文=園田もなか

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