子どもが「スマホに使われる」状態から抜け出すために親子でできること

出産・子育て

公開日:2021/9/9

賢い子はスマホで何をしているのか
『賢い子はスマホで何をしているのか(日経プレミアシリーズ)』(石戸奈々子/日本経済新聞出版)

 スマホは私たちの生活に欠かせない物になった。連絡する、調べる、遊ぶ、作る。多くのことができるため、必然的に、スマホの操作に生活のかなりの時間を費やしている。子どもにとっても、スマホは身近な物になりつつある。しかし、いまだに湧き上がる議論は「子どもにスマホを触らせる是非」だ。

 スマホは子どもにとって善か悪か。『賢い子はスマホで何をしているのか(日経プレミアシリーズ)』(石戸奈々子/日本経済新聞出版)に、考え方のヒントを探ってみる。

 著者は、巷で議論されている「使ってもいい or ダメ」の2択で語られていることに違和感をもっている。子どもも大人も同じで、いかにすればデメリットを極限まで減らし、メリットを極限まで増やせるか、という議論に時間を割くほうが生産的だと述べている。

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 教育界では理数教育を意味する「STEM教育」が注目されている。

・サイエンス(Science)=科学
・テクノロジー(Technology)=技術
・エンジニアリング(Engineering)=工学
・マセマティクス(Mathematics)=数学

「STEM教育」とデジタル教材は親和性がよく、タブレット端末が重宝されるのだが、本書ではこれに「アート(Art)=芸術」を足して「STEAM教育」を推奨している。アートで情緒を養えることに加え、「作りながら学べる」ことにも意義を見出しているからだ。これからの先が読みづらい時代では、試行錯誤しながら答えを模索していく姿勢がより重要になるといわれており、一部の学校では、音楽の授業で作曲をする、短歌をアニメにする、同音異義語クイズを作るといったことが、デジタルデバイスを用いて行われているという。情報を受け取ることに終始するのではなく、能動的に活用できること、そしてスクラップ・アンド・ビルドを繰り返せることが、デジタルデバイス活用によるアート教育の魅力のようだ。

 スマホもデジタルデバイスだ。子どもが「スマホに使われる」のではなく能動的に使うために、家庭では親が「(子どもと)ともに学ぶ仲間」になってみると良さそうだ。例えば、子どもにゲームの遊び方やアプリケーションの使い方を教えてもらう、一緒に使い方や遊び方を模索する、遊びながら学べるゲームで競い合うなどフラットな関係で付き合えば、「親に教えたい」「一緒に遊びたい」「勝ちたい」と思った子どもが、スマホの活用を工夫するだろう。

 本書が数多く紹介しているのは教育現場の最新状況だが、考え方や事例にふれることで、家庭でのスマホとの向き合い方を良い方向に変えるきっかけにできそうだ。

文=ルートつつみ (@root223

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