名言だらけ!毎日投げかけられる妻からの言葉をつぶやいた夫のTwitterアカウント「妻のパンチライン」待望の書籍化!

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更新日:2021/11/22

妻のパンチライン (幻冬舎単行本)

著:
出版社:
幻冬舎
発売日:
妻のパンチライン
『妻のパンチライン』(@wifeisking/幻冬舎)

 全角140字という文字数制限が、時に独特の表現を生み出すプラットフォーム・Twitter。コロナ禍でリモートワークや在宅勤務が当たり前となっていった2020年6月に、「妻のパンチライン」というアカウントが誕生しました。ご紹介する『妻のパンチライン』(@wifeisking/幻冬舎)は、アカウント運営の舞台裏がドキュメンタリー作品のようにまとめられた一冊です。

「妻のパンチライン」のツイートは、妻ではなく夫によってなされています。

やっと自粛モード明けてきたね、と街に繰り出そうとすると、妻が「たった3ヶ月のステイホームでしんどい顔してるけど、これ主婦の日常だからね。ママは職住近接ちゃう、職住一致や。移動できないって満員電車乗るより地味でしんどいやろ? 久しぶりに人と会えるありがたみの前に、日常にも感謝してな」。

 夫がこの言葉を妻に言われたシチュエーションがまざまざと思い浮かぶような一節ですが、「パンチライン」というのは、HIPHOPなどでよく使われる用語で「決め台詞」や「聴きどころ」を意味します。在宅勤務で専業主婦の妻と同じ空間で過ごす時間が激増した夫が、毎日自分に投げかけられるたくさんの鋭い言葉の重圧に耐えきれずにTwitter上にそれらをシェアするようになったというのが、アカウント開設の経緯です。

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 開設当初は「それ、私が言いたかったこと!」という妻側への共感から、瞬く間にフォロワーが増えていったそうです。筆者もフォロワーの一人で、どのようなきっかけで「妻のパンチライン」のアカウントに辿り着いたかは忘れてしまったのですが、二児の父として、「自分もこういうことを妻に言われるな……」という意味での共感を日々ツイートから感じ取っていました。ちなみに、ご夫婦の経歴(妻は美大卒、アパレル、PR会社を経てフリーランスの後、子育てのため専業主婦。夫は大手企業を1年で退職した後に起業)や家族構成(6歳の長女、3歳の長男、1歳の次男)は、今回本書を読んで初めて知りました。

「妻のパンチライン」がユニークなのは、毒っ気があってギクッとする言葉(妻から夫に対する文句)が連ねられているだけではなく、「夫婦は最小であり、最強のチーム」など、優しさのあるツイートも交えている点で、こうした「アメとムチ」的なリズムがフォローしていて飽きないポイントです。

「リモート会議終わったら公園に来て」と妻からLINEが。「夕方だしどうせもう帰ってくるでしょ?」と返すと、妻が「あなたが公園に来るだけで、子どもたちはディズニーランドでミッキーと遭遇したみたいに、わぁ~! って駆け寄ってくるやん? たった5分であんなに感動させられるのよ。そんな仕事ある?」

 このツイート単体でも、主婦の目線からすると「なるほど、こういう伝え方があるのか」と感じる方は多いかと思いますし、夫目線では「なるほど、たった5分の切り替えでそんな感動を子どもに与えられるのか」という発見になる可能性が高いと思います。本書の魅力は、そこへ更に妻からの補足が添えられています。冒頭で「ドキュメンタリー作品のような」という紹介をしましたが、夫によるツイートと、妻目線での補足(「妻談」と題されています)という二段がまえの構成は、複数の視点が織り交ぜられたドキュメンタリー作品を見ているかのような立体感があります。

 実際、上記の引用箇所については、「仕事よりも自分が優先されているということの価値を子どもは感じ取れるので、平日の公園に父親が登場するということは、父親が思っている以上に一大イベントになる。しかし母親はその促しを無意識下で諦めがちで、父親は自分の関与を過小評価しがち。妻が、子ども目線での新しい価値観を夫に吹き込むことは、優しさだと思う」という、マジメというか学術的な域にまで達している「妻談」が書かれていて、アカウント主と同じく、ワーク・ライフ・バランスや在宅勤務の方法論に日々悩む「夫」である筆者はとても勇気づけられました。

 リモートワーク・在宅勤務全盛時代におけるパートナーシップについて、深い洞察がちりばめられた本書は、妻の方にも、夫の方にも、子育てに悩む方にも、これから結婚を考えられている方にもオススメの一冊です。

文=神保慶政

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