「『100万回死んだねこ』ってありますか? 」本のタイトル覚え違い集に、思わず笑っちゃう!

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更新日:2021/12/7

100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集

著:
編集:
出版社:
講談社
発売日:
100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集
『100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集』(福井県立図書館/講談社)

 さて、突然ですが、この本のタイトルをこの記事から目を離して、なにも見ずに声に出してほしい。

 一字一句間違いなくタイトルを言えただろうか。

 本書は福井県立図書館でのレファレンスサービスの中で、利用者の問い合わせを記録して、2007年から公開していた“覚え違い”をまとめた一冊。実はこの福井県立図書館の覚え違いは、図書館ホームページで公開されていて、以前から本好きの間では知る人ぞ知るものだった。

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http://www.library-archives.pref.fukui.lg.jp/tosyo/category/shiraberu/368.html

『滅びた後のシンデレラ』
『年だから解雇よ』
『普通のまま発狂したい』
『わたしを探さないで』
『人生が片付くときめきの魔法』

 これらはすべて覚え違いのタイトルだが、これらを図書館員は懇切丁寧に調べ、利用者が探している本の正解までたどり着く。

 正確な書名は知らなくても、なんとなく探している本が何かはぼんやりとでも見えてくるものだが、次のような覚え違いもある。

「『そのへんの石』ってあります?」という問い合わせの正解は、高校の課題図書にもよく選ばれる山本有三の『路傍の石』なのだが、字数が増えてるし、けどあながち意味は間違っていないしで、「どうしてそんな覚え方した?」と吹き出してしまった。

 間違ったタイトルの問い合わせは、以前書店員であった筆者もそれこそ毎日のように店頭で受けていた。しかしその覚え違いをはっきり記憶しているかというとそんなことはない。多くの知り合いの書店員に面白い覚え間いがないか聞いたことがあるが、大半の書店員はみな覚えていなかった。なぜならあまりに多すぎて覚えていないのだ。あくまで感覚だが、問い合わせのタイトルのほぼ8割は間違っている。かくいう書店員もけっこうタイトルは覚えていない。

 とはいえ図書館と同じく本を扱う業務の書店では、“買いたい・読みたい本”の問い合わせに限られ、正解前までの道筋は案外シンプルだ。しかし図書館のレファレンスサービスとは、利用者の探している“本”を探すだけではなく、例えば「ドッジボールの“ドッジ”ってどこから来たことばなんでしょう?」といった、利用者の知りたい“情報”までをも探し出す、かなり広範囲の事柄をカバーするものなのだ。

 国立国会図書館が全国の図書館等と協同で構築しているレファレンス共同データベース
https://crd.ndl.go.jp/reference/)ではその多岐にわたるレファレンスを見ることができる。「2018年度のベストセラーを知りたい」「本の奥付に押してあった検印はいつはじまり、いつなくなったのか」といった問い合わせから、「過去の宝くじの当選番号を新聞で探したい」など、その内容は本だけにとどまらず、利用者のたんなる疑問にまで回答していて、このサイトを見ているだけでも面白い。

 そのレファレンス業務を担っているのは図書館司書や司書補の人たちだ。データベースには問い合わせ事例の蓄積はあるが、あくまでそれは過去の事例であり、「『滅びた後のシンデレラ』って本ありますか?」という問い合わせに対して『滅びの前のシャングリラ』の正解へとたどり着くには、覚え違いのタイトルのモヤっとした“雰囲気”と、なにより司書や司書補の人々の経験によるところが大きいのではないか。

 本書はタイトルの覚え違いでおなかを抱えて笑いながらも、司書・司書補の人たちの日々の業務も垣間見えるのだ。

 さて、元書店員からタイトルの覚え方のコツをひとつお教えしましょう。それは本のタイトルを声に出して覚えること。普段、本のタイトルを見たときに、黙読だけで覚えようとすると9割は覚えられない。実は声に出して、“音”として覚えることで、間違いはかなり減るので、お試しください。

 最後に、ここで紹介した本のタイトルをもう一度思い出してほしい。正確に思い出せましたか?

 けれどもそのタイトルは『100万回生きたねこ』(佐野洋子/講談社)の覚え違いタイトルなんですよ。

文=すずきたけし

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