西京焼きに挟むとおいしくなる食材は? 「いつもの和食」がお店の味になるプロのワンポイント! 【作ってみた】

暮らし

公開日:2021/11/30

ムズカシイことぬき! きほんの和食。
『ムズカシイことぬき! きほんの和食。』(村田明彦/講談社)

 SNS映えする料理や奇をてらったメニューもたまに楽しむ分には魅力的だが、普段食べる料理は安心できる、馴染みのある味がいい。名前を聞いた通り、想像した通りの味が口に広がるとほっとするし、「そうそう、この味!」と欲求も十分に満たされる。でも、やっぱり「おいしさ」は追及したいというのが本音で、だからこそ普段食べる「いつものごはん」のレベルを上げていきたい。

『ムズカシイことぬき! きほんの和食。』(村田明彦/講談社)は、そんな願望を叶えてくれる1冊。ミシュラン1つ星を7年連続で獲得したシェフが手掛けるレシピ本だ。誰もが想像する味や見た目を維持しつつ、プロならではのワンポイントを取り入れている本書のレシピは、「簡単なのにお店の味」を実現させてくれるらしい。「プロならではの」と言っても決して難しいことではなく、知っていれば誰でもできるものばかり。これならすぐに実践できそうだ。ということで、早速いくつか作って試してみることにした。

チーズを挟む!? 「サワラの西京焼き」(p.44~45)

ムズカシイことぬき! きほんの和食。

 1つめは、「サワラの西京焼き」。下処理をしたサワラを観音開きにし、とろけるスライスチーズ2分の1枚を挟んで白みそ、みりん、酒、一味唐辛子とともに密閉保存袋に入れて15分~30分漬け込む。あとはみそを軽く拭き、クッキングシートをひいたフライパンに皮目を下にして入れ、ピーマンも一緒に並べて蓋をして弱火で蒸し焼きにする。4~5分程度経ったらひっくり返して1分ほど焼き、火を止めて余熱で3分ほど火を入れれば完成。

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 このレシピを最初に見た時は「西京焼きにチーズ?」と驚いたが、よく考えればチーズとみそは相性がいいし、それならば……! と試してみたらやっぱりおいしい! とろけるチーズを使うことでみそとチーズが一体となり、強いうまみとなってサワラのふわっとほどける食感とともに口の中に広がる。もちろん、サワラの味も負けていない。丸ごと焼いたピーマンとの相性も良く、1品目からプロの実力を見せられた気がした。

挟むだけでねっとり食感♪ 「タイの昆布締め」(p.52)

ムズカシイことぬき! きほんの和食。

 2つめは、「タイの昆布締め」。キッチンペーパーに酒を含ませて昆布をしめらせ、タイの刺身に塩をふってキッチンペーパーで水気を取る。昆布にタイの刺身を並べ、上に昆布をかぶせて挟み、ラップでしっかりと包んで20分~一晩置く。あとは昆布から外して盛り付ければ完成。わさび醤油や柑橘などと一緒に食べる。

 切り身の状態で昆布の上に並べることで、短時間でも昆布のうまみと風味がしっかりとタイに移り、まるで料亭で出てくるような本格味。ねっとりとしたタイの食感も刺身好きにはたまらない。使用した昆布もおいしく食べられるので無駄も出ず、これなら家庭で気軽に昆布締めが楽しめる。

むき栗を使って時短! 「栗ごはん」(p.108)

ムズカシイことぬき! きほんの和食。

 最後は、「栗ごはん」。米をとぎ、30分ほど浸水させて水気を切っておく。油をひいたフライパンに皮目を下にして鶏肉を置き、焼き色をつけたらひっくり返す。炊飯器に米、水、醤油、酒、蜂蜜を入れ、食べやすく切った鶏肉、「甘栗むいちゃいました」を入れて早炊きモードで炊飯。炊き上がったらバターを加えて混ぜ、器に盛って黒ゴマを散らせば完成。

 下処理が面倒くさい栗も、「甘栗むいちゃいました」のような市販のむき栗を使えばあっという間。鶏肉のうまみと栗の甘味が嬉しい秋ご飯があっという間に完成した。バターの風味がまた、味に深さを出してくれる。おいしい……っ! お菓子のむき栗を使うなんて邪道では、なんて気持ちは一瞬にして消え去った。自然にできるおこげも炊き込みご飯の魅力だ。

 どの料理も、決して難しいことはしていないし、むしろ「え、それでいいの?」というようなお手軽さでありながら、おいしく作るポイントはしっかりと押さえられている。また、いずれも詳しい手順写真つきで、料理初心者で文章だけでは不安……という人にもぜひオススメしたい。

 この『ムズカシイことぬき! きほんの和食。』には、ほかにも「ポテトサラダ」や「鶏肉の照り焼き」、「卵焼き(甘い味)」など、普段の味と比べてみたいレシピが多数掲載されている。本書のレシピでいつもの和食をランクアップさせれば、きっと毎日の食事が一層楽しみになるはず。

調理、文=月乃雫

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