孤立させ、誹謗中傷し、被害者面をする…他人を思い通りに操ろうとする「マニピュレーター」への対処法

社会

更新日:2022/1/14

他人をコントロールせずにはいられない人 (朝日新書)

著:
出版社:
朝日新聞出版
発売日:
他人をコントロールせずにはいられない人(朝日新書)
『他人をコントロールせずにはいられない人(朝日新書)』(片田珠美/朝日新聞出版)

 あなたは次の要素をいくつかもっているだろうか。

・他人の話を真に受けやすい
・人に嫌われたくないという思いが人一倍強い
・波風を立てたくない
・周囲からいい人に見られたい
・自分にいまいち自信がもてない
・周囲に頼れる人がいない

『他人をコントロールせずにはいられない人(朝日新書)』(片田珠美/朝日新聞出版)によると、コロナ禍が加速させた近年の厳しい雇用情勢などが影響して、他人を思い通りに操ろうとする人が増えており、上記のような要素を複数もつ人がターゲットにされやすいそうだ。あなたは、誰かに思い通りに操られていないだろうか。

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 昔から「人を操ろうとしたがる人」は一定数いた。誰かを操る理由は、何か得することがある、強い支配欲求がある、自分の影響力を誇示したい、などが挙げられるが、近年はコロナ禍が加速させた厳しい雇用情勢によって、自分の立場を守るため…つまり自己保身のためという理由も膨らみ、「人を操ろうとしたがる人」が増えてきているという。

 本書によると、「人を操ろうとしたがる人」のことを海外では「マニピュレーター」と呼ぶそうだ。マニピュレーターは「人を追い詰め、その心を操り支配しようとする者」と定義される。

 マニピュレーターの厄介な点は、人を追い詰めてコントロールするだけに留まらない。潜在的攻撃性をもちつつも、うわべは穏やかで、人当たりが柔らかい場合が少なくない。ヒツジの皮をまとったオオカミのように、意図を押し隠し、さまざまな手段を用いてターゲットを操ろうとしてくる。ターゲットが正体を見抜くのは困難だ。

 本書は、マニピュレーターの手口を紹介している。例えば、次のような方法だ。

孤立させる
「〇〇さんが悪口を言っている」など嘘、大げさを吹き込むことによってターゲットを孤立させ、マニピュレーターに依存させる

当てこすり
「スポーツをしない人には…」「子どもがいない人は…」などと、目の前の相手が属しているジャンルの人間をけなしながら、ターゲットの価値を遠回しに否定する

誹謗中傷
ターゲットのネガティブ情報をその周囲に流し、ターゲットを自分より一段劣った立場に留めようとする。時には事実からかけ離れた情報、事実無根の情報も流す

被害者面
自分が被害者であるかのように装い、ターゲットを悪者に仕立てる。さらには罪悪感をかき立てる場合もある

微妙な脅し
例えば「厄介な仕事でも嫌がらずにやる人が出世するよ」など、遠回しにそれをしなければならないよう脅す

 ここまでで、知人や身近な人の中に、思い当たる人がいたかもしれない。

 本書は、マニピュレーターへの対処法も紹介している。まず、マニピュレーターの正体に気付くことが肝心だ。「この人、何となくおかしい」と思ったり、一緒にいるとしんどい、息が詰まるような感じがしてイライラする、などを感じたら、それがサインかもしれない。正体に気付いたら、孤立しないよう味方をつくったり、距離を置いたり、マニピュレーターが「〇〇が~と言っていた」と言ってきても「じゃあ、一度〇〇さんに聞いてみます」と答えるなど“面倒くさい奴”だと思わせたりするとよさそうだ。

 やり返そうとしたり戦ったりしようとするのは避けるべき、と本書は釘を刺す。マニピュレーターの嗅覚は鋭く、強い人をターゲットにはしない。よほどの勝ち目がない限り、戦うのは合理的ではなさそうだ。

 また、正義心から戦ってもし勝ったとしても、相手は改心しない。マニピュレーターの多くは「ゲミュートローゼ」である、と著者は述べる。ゲミュートローゼは「思いやりや良心、羞恥心や同情心といった高等感情をもたない人」を指してドイツの精神科医が名付けた。罪悪感を覚えることを徹底的に拒否し、反省せず後悔もしない、決して謝罪をしない、他人を道具としかみなさない、といった特徴をもつ。裏返せば、意志が非常に強く、他人の屍を越えて進むことも躊躇しないため、政治家や実業家、芸術家などの社会的成功者にも少なくないのだという。戦ったところで、得られるものは少ない。

 本書によると、マニピュレーターは実は“びびり”であり、それを周囲に知られることを極端に恐れる。なぜなら、他人をひそかにコントロールするためにこれまで行使してきた手口が使えなくなるし、逆に同じ手口で復讐されるのではないか、という不安をもっているからだという。

「思い通りに操られていたかもしれない」「操られそうになっていた」と心当たりがある人は、本書でマニピュレーターの特性や対処法を知るところから始めてみてほしい。

文=ルートつつみ (@root223

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