ラーメン屋で麺の硬さが選べるのは何故? 現代の生き残り戦略

ビジネス

公開日:2024/5/1

「あれだけ流行ったタピオカ屋はどこへ行ったんだろう?」
「餃子の無人販売ってなんで儲かるんだろう?」

ふと、こんな疑問を抱いたことはありませんか?
皆さんの日常の半径10メートル以内にも、実は知られざる“儲けの仕組み”が存在します。

タピオカ屋はどこへいったのか? 商売の始め方と儲け方がわかるビジネスのカラクリ』は、開設わずか1年で登録者数約50万人超の税理士YouTuber脱・税理士スガワラ君による、ビジネス成功のヒントがギュっと詰まった一冊。

ビジネスの裏側を見てきた有名税理士が、今日から始められる商売のカラクリを解説します!

※本記事は書籍『タピオカ屋はどこへいったのか? 商売の始め方と儲け方がわかるビジネスのカラクリ』(菅原由一/KADOKAWA)から一部抜粋・編集しました。

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タピオカ屋はどこへいったのか? 商売の始め方と儲け方がわかるビジネスのカラクリ
『タピオカ屋はどこへいったのか? 商売の始め方と儲け方がわかるビジネスのカラクリ』(菅原由一/KADOKAWA)

1-4 ラーメン屋はなぜ麺の硬さが選べるのか?

▶ 個人の心をつかむとファンが増える

 多様性が重視される社会になりました。多様性は、簡単にいえば「みんな違って、みんな良い」ということです。

 個人の好みに合わせた商品やサービスの提供は、消費者の満足度を高める効果があります。

 例えば、スターバックスはミルクの種類や量などを変えることによって自分好みの飲み物にカスタマイズすることができます。

 カレーチェーンのCoCo壱番屋は、ルーの辛さを甘口から20辛まで選べます。ライスの量も変更でき、好きなトッピングもできます。

 ラーメン屋も好みの具材をトッピングでき、油の量や麺の硬さを指定することができます。これらはいずれも多様性への対応です。

 このようなカスタマイズ対応は手間と時間がかかります。また、見返りとしての利益も決して大きくありません。

 ラーメンを例にすると、売値100円、利益50円の煮卵をトッピングしてもらうために時間をかけるよりも、回転率を上げて1人でも多くお客さんを入れた方が売上は増えます。

 それでもカスタマイズにこだわる理由は利用者の満足度が高まるためです。自分好みの味をつくれる(つくってくれる)ことがリピートしたい気持ちにつながり、それが中長期で通うファンづくりになるのです。

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▶ 競合店との差別化になる

 カスタマイズ対応は競合店との差別化にもなります。例えば、最近はグルテンフリーやビーガンなどに対応した料理を提供する店があります。

 これらはフードダイバーシティといわれ、細やかに対応することによって顧客層が広がり、店の特徴をつくることができます。

 言い換えると、多様性への対応は、大量生産と大量消費からの脱却につながるということです。

 モノ不足だった時代と違い、今は良質なモノが安く買えます。その環境に慣れたことで、消費者は大量生産されたありきたりなものでは満足しなくなりました。安くて良いものは相変わらず人気がありますが、高くても良いのでさらに良いものを求める人もいます。モノの質だけでなく、モノが提供される環境にこだわる人もいます。

 そのニーズに応える手段がカスタマイズであり、大量生産と大量消費によるマスプロダクションに対して、個人の好みをより深く捉えるパーソナルマーケティングが求められるようになったのです。

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▶ 商品が生み出す3つの価値

 さらに一歩掘り下げると、商品やサービスには3つの価値があります。

 1つ目は、ユーザーにどのように役立つかを示す「機能的価値」です。

 多機能なスマートフォンは機能的価値が高い商品です。事業としては、安くて美味しい牛丼やハンバーガーなども機能的価値が高いといえますし、あらゆるサービスに対応するコンビニも機能的価値が高い店といえます。

 2つ目は、ユーザーの感情に訴えかける「情緒的価値」です。

 例えば、店の雰囲気や接客などが良い高級レストランは、味だけでなく利用者の感情も満たすという点で情緒的価値が高いといえます。ディズニーランドなども情緒的価値が高い施設といえます。

 3つ目は、ユーザーそれぞれの価値観に合うかどうかを意味する「自己表現的価値」です。カスタマイズやパーソナルマーケティングはこの領域で価値が高いといえます。

 前述したマスプロダクションからパーソナルマーケティングへの流れを踏まえると、モノが十分に行き渡るようになったことで、世の中には機能的価値、情緒的価値が高い商品とサービスが浸透しました。

 その結果、新たな価値が求められるようになり、自己表現的価値が高いカスタマイズや、カスタマイズ可能な店の人気が高まるようになったということです。

 カスタマイズ可能なラーメン店は、その方法で成長しています。これは他の業種でも応用できる方法で、多様性時代のビジネスの成功を支えるためのポイントともいえるでしょう。

タピオカ屋はどこへいったのか? 商売の始め方と儲け方がわかるビジネスのカラクリ

サムネイル画像提供:PIXTA
<第3回に続く>

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