「仕事ができないくせに自信満々な残念な人」を心理学で説明すると? 【ビジネスにすぐ効く心理学】連載第2回

ビジネス

2018/12/17

『ビジネス心理学 100本ノック』(榎本博明/日本経済新聞出版社)

 仕事そのものは嫌いじゃないけど、職場の人間関係や、お客さんとのやり取りが億劫で、会社に通う足取りが重くなる…。そういう気分になったことはありませんか? ビジネスでも中心となって動いているのは人間ですから、そこにはいろいろな心の働きが絡み合います。実際にビジネス分野で急速に“心理学”の存在感が増しています。

「ちょっと理屈っぽい?」と思っていた心理学を、ビジネスでの「あるある」な場面に重ね合わせてわかりやすく解説してくれるのが『ビジネス心理学 100本ノック』(榎本博明/日本経済新聞出版社)です。本書から、あなたが今すぐ役立てられそうなトピックをご紹介します。

■どんなときにも自己満足をもたらす心の働き【下方比較】

 あまり仕事ができない人がいつも自信満々なのに対して、成果を挙げているのに自信なさげな人もいて、不思議に感じたことはありませんか? その心理学的な理由は、前者は下方比較するクセがあり、後者は上方比較をするクセがある、ということがあります(本書100ページ)。

 下方比較とは、自分より劣る人と比べること。比較対象が劣っているせいで優越感や満足感、一時的な自信が得られます。悪い言い方をすれば、努力をせずに自信を保とうと思えば、下方比較するのが一番かもしれません。一見自信満々で「仕事ができる風」な人は、この心理戦略を無意識のうちに使っているそうですが、地道な努力が抜けているので残念な印象は否めません。

■優れた人と比較することで向上心を刺激する【上方比較】

 一方、上方比較というのは自分より優れた人と比べることを指します。優れた比較対象は、「いつかあんなふうになりたい」という目標としての意味もあるので、意識するたびに「自分はまだまだだ。もっと頑張らないと」と向上心を刺激する効果があります。

「あの人より自分のほうがマシだ」と考えることが多い人は、自分に下方比較のクセがないかどうか、振り返ってみましょう。周りの人たちから「残念な人」とレッテルを貼られてしまわないように…。

 本書は、ビジネスだけではなく生活の折々でも気になる心理学の基本と、それを活かした実践的ヒントを紹介します。心理学の正しい知識は、ビジネスや仕事であなたの武器となり、疲れた心にはそっと寄り添ってくれるもの。本書のページをめくって、そんな心強い相棒を得てみませんか。

文=田坂文