セックスを拒否する真の理由は、性欲のタイミングのすれ違い『中高年のための性生活の知恵』④

恋愛・結婚

2019/7/8


「セックスを避けられるようになって…もう愛されていないのかもしれない」そうした寂しさをひっそりと抱えている中高年の男性や女性は多いようです。男性は、中高年期の女性の心と体の変化を知らない。女性は、中高年期の男性の心と体の変化を知らない。そのことが、寂しさの根っこに存在しています。気持ちのすれ違いは、お互いの心と体の変化を知ることで解決するはず。中高年期ならではの豊かで穏やかな性を楽しみ、愛で満たされた毎日となるように――。

セックスを拒否する「真の理由」(金子和子)

■「自分の全てが否定された」わけじゃない

「拒否されたということは、もう自分のことが好きじゃなくなったんだ」

カウンセリングをしていると、こうした悩みを持つ方が非常に多いと感じます。

 実際、長年連れ添った中高年夫婦の間でも、相手からセックスを拒否された方は「自分の人格全てが否定された」と思い込んでしまいがちです。

 しかし、セックスを断る理由には、「ただ面倒なだけ」とか「疲れている」「痛いから」など、さまざまあります。

 つまり、多くの場合は単に「性欲のタイミングのすれ違い」にすぎません。相手が嫌いなわけでも、人格を否定しているわけでもないことがほとんどで、単に「今はセックスをしたくない気分」「今日は体調が悪いから」というだけです。それでも、例えば女性が「面倒だからイヤ」と言うと、男性は「俺の全てが否定された」と感じてしまいがち。そんなささいな心のすれ違いが積み重なり、女性の気持ちは硬くなり、男性は怒りをため込み、お互いに素直にセックスに誘い合うことができなくなってセックスレスに至る……というケースも少なくありません。

 では、このような面倒なすれ違いを起こさないためにはどうすればよいのでしょうか?

 一つは、日頃からセックスについて、「わたしはできればこの時間帯にしたいのだけどあなたはどうかしら?」

「君がこうしてくれるとお互いにもっと楽しめると思わない?」

 など、率直に希望を伝え合える関係性を築いておくことです。

 日常からお互いのセックスに対する理解が深まっていれば、「今日は疲れているからセックスはできそうもないけど……一緒に早く寝ない?」

「最近、ちょっと痛いみたい。今度病院で診てもらおうかしら」

 といった具合に、「したくない」という希望とその理由も、相手に率直に伝えることができるようになります。そして、伝えられた側も相手のセックスに対する希望を受け止め慣れていますから、誤解をしたり無駄な不安感にとらわれたりすることなく、相手の状況を理解しやすくなれるのです。

「口に出さないけど分かってほしい」

 日本人はついそうした「空気を読む」ことを相手に求めてしまいますし、セックスについては気恥ずかしさもあって、余計にその傾向が強くなります。しかしそうした心の癖が、セックスに対する意識のすれ違いを生んでいるということは間違いありません。

■第三者が介入するカウンセリングのメリット

 前項の通り、特に中高年にとってはセックスについて話すことに抵抗があるため「今まで一度も性について真面目に話し合ったことがない」というカップルが珍しくありません。これまで何十年も連れ添った夫婦であるほど、セックスについて話し合ったことがないと、あらためて希望をすり合わせることがセンシティブで難しくなるでしょう。

 それで悩みがないのであれば問題ありませんが、もし一方が、もしくは双方がセックスについて解決したいことがある場合は、われわれのような「セックスカウンセラー」を頼るのも一手です。

 実際に、セックスレスや一方的なセックスに悩んでわたしのところへ訪れる方々も、パートナーと「話し合ったことがない」という方がほとんどです。

 お二人でみえた場合には、まず、お一人ずつこちらからお悩みについて詳しく伺い、「セックスに関して、実は、奥様はこういう不満を抱いていらっしゃいます」あるいは「ご主人は拒否されたと不満を抱き、人間性を否定されたように感じていらっしゃいますけど、どうお感じになりますか」と、第三者の立場でシンプルにすり合わせをすることができます。

 夫婦が一対一で話し合うよりも、カウンセラーである第三者が入ることで話し合いがスムーズに行われることが多々あります。

 お一人でいらした場合でも、「あなたはどう考えているか」「どう感じているか」を伺い、そのことを相手の方が分かっているかどうか確認します。もし伝えていない場合は、伝え方などをアドバイスしたり、ご本人が知らせにくいことであれば、カウンセラーからお伝えすることもあります。妻と夫、お一人ずつのカウンセリングを何度か行った後、ご夫婦一緒にお話を伺うこともあります。

 ただ、そろってカウンセリングにいらしたご夫婦で、わたしを含めた3人でセックスに関する話し合いをした後、その場では無事問題が見いだせたけれど、自宅に戻るとやはり話し合うことができなくなった、というケースも珍しくありません。ともすると、夫婦という密室的な関係性の中で、セックスとは関係のない別の不満まであふれ出てしまい、けんかになってしまうこともあるでしょう。

せっかく話し合いをしたのに余計に問題をこじらせてしまった、ということが起こらないように、わたしたちのようなカウンセラーが役に立つことがあります。

 お二人を公平に見られるため、お二人の代弁者、時には仲裁者にもなれるので、安心して本心を話せたり、けんかができたりするのです。

「カウンセリングの場だからこそ言える」という機会を生かして、お互いの本音に歩み寄ってみるのも一つの方法です。

<第5回「女性がセックスを断る理由」に続く>