「早めに結婚したあの子は賢かった…」結婚と出産のタイミング/『すべてを手に入れたってしあわせなわけじゃない』③

暮らし

公開日:2020/1/29

女の生き方に正解なし! 恋愛、結婚、キャリア、子作り、不倫…。どっちの道を進んでも、どっちも案外つらいもの。A子とB美、どっちが幸せ? 生き抜くためのヒントが見つかる、女たちのリアルな本音対決!

『すべてを手に入れたってしあわせなわけじゃない』(鈴木涼美/マガジンハウス)

【子作り】
早く産むか遅く産むかで、女の人生は引き裂かれる

B美 3人産んだら女同士の温泉は絶対無理

・34歳
・専業主婦

 20代前半の頃の友人の結婚式というのは結構よく覚えている。その頃はまだ友達の結婚式、というのがちょっと物珍しいし、こちらとしても余興に力を入れ、プレゼントを真剣に選び、バージンロードを歩く姿にじわっと涙ぐんだりもする。これが30代にもなるともう結婚式なんてどんなパターンの式も経験済みで受付やスピーチもすでに何回も頼まれているし、お祝儀を取られるわ、休日を潰されるわ、基本的に早く終わらないかなぁと思うだけのものになる。

 ただ、式ではなく、結婚したことそれ自体については30歳過ぎてからの方が純粋に羨ましいだとかおめでとうだとか祝福する気持ちは大きくなる。30歳過ぎた友人が結婚したということは30歳過ぎて独身で残っている私たちにもチャンスがあるってことだし、本当によくやったよかったねと今まで独身で残っていた者同士の熱い絆(きずな)にかけて思うし、私もぜひぜひ次に続きたいと願う。

 若いうちの結婚式なんて、表面上ははしゃいで涙ぐんでいかにも祝福しているように歌を歌ったり、VTRを作ったりするものの、内心、「私はまだしたくないな」とか「よく決心したな」とか思っているものだ。要するに、おめでとうとは思えど全然羨ましくはない。だって20代なんてでかいお腹で一人の男と過ごすより、独身で友人や彼氏と過ごした方が絶対的に楽しい気がしてたから。正直、いくら将来的には結婚した方がいいなんて思っていても、まだまだそんな選択肢を狭める決断なんてできないし、そんな決断をした友人の気持ちなんてわからない。よくやるなぁとか早まってんなぁとか、そんな感想が頭をよぎって、むしろ若干同情すらする。

 そうやって微妙な祝福をされて早めの結婚・出産をした女の子たちが脚光を浴び出すのは早めに産んだ子供が小学校に入って少し時間がたち、気持ち的にも時間的にも余裕ができた頃である。その頃、遅めの結婚のハードルの高さを痛感して婚活に邁進(まいしん)している、あるいは遅めの出産の辛さと格闘している、同年代独身の私たちは、「早めに結婚したあの子はなんて賢かったんだろう……」と彼女を再評価し、結婚式で「私はまだ無理~」なんて笑っていた自分の愚かさを憎み、若いうちに出産しておけば子供が育ってからまだまだ遊べるという当たり前のことにようやく気付く。そして周囲がまだまだ楽しい20代にしがみついていた頃、楽しい時間に見切りをつけて子供を二~三人作って育て上げた女を心から賞賛する。

<第4回に続く>

この記事で紹介した書籍ほか

すべてを手に入れたってしあわせなわけじゃない

著:
出版社:
マガジンハウス
発売日:
ISBN:
9784838730766