成功体験から生まれる自信や喜び。炭治郎に学び「できた」「できる」と意識すべし!/『鬼滅の刃』流 強い自分のつくり方④

ビジネス

公開日:2020/5/28

マンガ『鬼滅の刃』の炭治郎、禰豆子、善逸、伊之助が、どんどん強くなれるのはなぜか…。大切な人を守るため、敵を倒すため。思い通りにならないことがあっても、投げ出さずに立ち向かう。『鬼滅の刃』から学べる強い心のつくり方を、印象的なセリフとともにご紹介します!

『『鬼滅の刃』流 強い自分のつくり方』(井島由佳/アスコム)

たったひとつの成功体験から生まれる自己効力感

 みなさんは、「自己効力感」という言葉を聞いたことがありますか?

 これは、自分の能力を信じることができる感覚を意味する心理学用語で、『鬼滅の刃』には、登場人物たちが成功体験を積むことにより、自己効力感を高めていくシーンがたくさん出てきます。

 自己効力感が高まると、達成した喜びや満足感を得ることができ、次はどういった行動をとろうかとか、どんな努力をしようかといった選択に良い影響を与えるようになり、相乗効果で自分の能力をどんどん高めていくことができます。

 達成したことが大きいほど自己効力感の高まりも増しますが、小さくても「成功した」という体験はとても大切です。そして、親や先生、上司などから認められたり、褒められたりすることも、自己効力感を高めてくれます。

 炭治郎の場合は、鱗滝のもとでの修行でさんざん苦労を重ね、亡霊である鱗滝の元弟子の錆兎と真菰の協力を得て、絶対に斬れないと思っていた岩を斬ることができたのが、最初の大きな成功体験だったといえるでしょう。この出来事によって、炭治郎の自己効力感は大幅に上がったと思います。

 そして、これをさらに後押ししたのが、師匠・鱗滝の言葉です。

 真っ二つに割れた岩のそばで、自らが成し遂げたことになかば驚いて茫然と立ち尽くす炭治郎の頭をなで、鱗滝はこうねぎらうのです。

「よく頑張った 炭治郎 お前は 凄い子だ……」
(1巻 第6話「山ほどの手が」より)

 このシーン、自分に置き換えて想像するだけで涙が出そうになりますよね。本当は炭治郎を最終選別へ行かせたくなかった鱗滝の気持ちを考えると、なおさらです。

 超がいくつもつくほど厳しく、そして怖い師匠、立ち向かっても歯が立たなかった師匠に、こんな優しい言葉をかけられた炭治郎の心は、安堵と歓喜の感情が混ざり合い、良い意味でぐちゃぐちゃになっていたことでしょう。

 自分にできたという自信。

 信頼し、尊敬する人から褒められたことに対する喜び。

 炭治郎の自己効力感が飛躍的に高まった瞬間であり、1人の剣士としてひと皮むけたターニングポイントだったと考えられます。

 その後炭治郎は、いくつもの成功体験を積み重ね、人間としても、剣士としても、どんどん強くなっていきます。

 成功を自覚することも、自己効力感を高めるポイントのひとつです。

 なにかを成し遂げたとしても、「できた」という自覚がなければ、自己効力感は高まりません。

 小さいことの積み重ねの例でわかりやすいのは、学校の宿題です。先生から、期日を決められて宿題を出されると、たいてい、期日に間に合うように、提出することでしょう。

 大事なのは、このときの意識です。

Aくん:宿題だからしなくちゃいけない。期日までに提出しなくてはいけないから、出した。

Bさん:今回も期日を守って提出することができた。自分はそれを継続できている。

 仮にこの2人の学力が同じで、宿題の量も種類もむずかしさもまったく同じだったとしましょう。最初は両者に差はありません。

 しかし、一定期間が経過すると、2人の学力には差が生じ始めることがあります。

 では、どちらのほうが伸びるでしょうか?

 答えはBさんです。

 Bさんは、一つひとつの課題をクリアするたびに、「できた」「できる」と成功を自覚しています。これによって、自覚がないAくんよりも自己効力感が高まり、それに連動するかたちで勉強にも好影響が及ぼされるのです。

 先生や両親から褒めてもらう機会があれば、Bさんの学力はさらに上がっていくことでしょう。

 鬼を倒したとき、あるいは誰かに認められたとき、その都度「できた」「できる」と自覚できる炭治郎は、これ以上ない模範的な存在です。

 どんなに小さなことでも、なにかを成し遂げたとき、「勝手にそうなった」「できて当たり前」と考えるのではなく、炭治郎を見習って、「自分でやった」「できて良かった」と強く意識するようにしましょう。

 意識しないよりも、はるかに成長することができます。

<第5回に続く>