目標を達成するために必要なこととは? やる気を持続させるには後戻りできない状況を作れ/痩せない豚は幻想を捨てろ④

健康・美容

公開日:2020/6/22

数々のダイエットで挫折してきたダイエット難民たちへ。ブログとTwitterで話題のテキーラ村上による「テキ村式ダイエット」のすべてがここに! 『痩せない豚は幻想を捨てろ』より、テキーラ村上の魂がこもったダイエットメンタル強化法を紹介します。

『痩せない豚は幻想を捨てろ』(テキーラ村上/KADOKAWA)

 俺の経験から話そう。俺がまだ小デブだった頃、沖縄に行くことを決意し「今年の夏までに体を仕上げて、海に行った時にカッコいい体になっていたい」というモチベーションでダイエット及び筋トレに励んだ事があった。

 最初はよかった。自分で決めた目標だから最初の数日間はメンタルが継続する。お前らも痛いほどよく知ってる通り、やる気を出すのなんか、最初だけは実に簡単である。

 2日、3日と日が経つにつれて、だんだんと食の誘惑もエスカレートしてくる。今日のランチは、ラーメンが食べたい。もしくはパスタでもいい。カルボナーラなら最高だ。家で一人で映画を見ていたら、口元が手持ち無沙汰になり、なにかお供が欲しくなる。

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 お菓子はないか。一口なら大丈夫だろう。ああそうだ、そういえば引き出しにはポテチがあった。ポテチ。ポテチ。ポテチ。クソポテチが食べたい。いったん頭にポテチが顔をのぞかせてしまうと、ポテチが脳内を侵略するスピードはハンパではない。ポテチが使徒並みの速さで侵略してくる。数秒後にはもはや脳内は完全にポテチで侵される。

 こうなるとポテチ以外の事はもう考えられない。ポテチの封を開けようか、開けまいか、ここからは天使と悪魔の綱引きである。

 すると今度は

「ていうか、沖縄遠くね?」
「忙しいし行くのめんどくさくなってきた」
「日取りも決まってないしな」
「こんなに辛いならもうデブでいいかも」
「むしろ、食べられないストレスの方が体に悪いわ」

 という具合で、ズブズブと脳内がデブの泥沼へ沈んでいく。ここまで来るともうポテチから逃れられるわけもない。ポテチがしまってある引き出しの前を永遠とも思える時間ウロウロし、一度ポテチの封を開けると、一口だけだったはずが気が付けば全て平らげてしまっている。

 そんな甘ったれた日々が続いた。

 ところが数日後、当時付き合っていた嫁から「ねえ、本当に沖縄行く気あるの? もう今からJTBに予約しに行くから。問答無用で連れて行くから」と言われ、半ば引きずられるように旅行代理店へ行った。

 そして彼女のおかげで、突然沖縄旅行の予定が決まってしまった。もう後には引けない。今までのように、なんとな~く「日取りは決まってないけど多分海に行く」ではなく、「〇月〇日、彼女と一緒に三泊四日の沖縄の旅に行く」なのだ。

 ホテルの目の前にはビーチ、プールもあり、プールサイドには永遠に寝そべっていられそうな、シャレオツ過ぎるサマーベッド。そんなホテル概要の写真を見ると、嫌でも自分が裸体になっている光景が目に浮かぶ。

「胸板は厚く、腹筋は割れ、肩から腰にかけては逆三角形でなければ沖縄に行く価値はない。いや、沖縄に失礼」そう思った俺は、もはやだらしのない体で沖縄に行くという選択肢はなくなったのである。

 かくして、ものすごく曖昧だった「痩せてからやること」が具体化されたのだ。

 するとどうなるか。なんと、ラーメン屋の前を横切っても「①我慢して痩せる」「②ラーメン屋に行き明日から頑張る」という、二択そのものが頭に浮かばなくなったのである。そう、選択肢自体をツブすのだ。

 思い浮かんだとしても、「食べたい」という欲求が圧倒的に弱い。簡単に「痩せたい」の方が勝つ。もうゴールは決まったのだ。旅行の日付は刻一刻と近づいてくる。マラソンでいえば、スタートを切ってしまっている。マラソン中にどんなに疲れても「疲れたからベンチで休憩する」という選択肢があるわけもない事と同じように、「食欲に負けて明日から頑張る」という選択肢自体がなくなるのである。

 つまり目標を達成するために後戻りできない状況を作り、その状況に身を置くのが、最も確実にモチベーションが維持される方法なのだ。痩せたら着てみたいかわいい服があるのなら、その服を買え。痩せざるを得なくしてしまえ。そして毎日その服を眺めるんだ。

 モチベーションが維持できる人とできない人の違いは、目標が明確に定まっているか、イメージできているかの違いしかない。この方法はダイエットに限らず、行動を起こしたい場合の方法として勉強や仕事、全ての事にも利用できるだろう。

まとめ
「痩せたらやりたい事」の予定を、明確に決めろ。
そしてその環境に身を委ねろ。

<第5回に続く>