「白井悠介のなんとかなるさ」⑭『ターニングポイント』

小説・エッセイ

2020/7/14

 やっと、やっとの想いで勝ち取った『美男高校地球防衛部LOVE!』の鳴子硫黄役。これで声優・白井悠介をもっと知ってもらえるはず! 作品にかける想いは相当強いものでした。

 とはいえ、プレッシャーはそれほど感じていなかったんです。「おい、白井! 緊張しろよ!」とお叱りを受けそうですが、そもそも『美男高校地球防衛部LOVE!』のメインキャストはほぼ新人の声優ばかり。たとえばぼくがいきなり主役に選ばれ、他のキャストがみんなベテランばっかりの現場だったら震え上がるくらい緊張したと思います。

 でも、『美男高校地球防衛部LOVE!』の現場では同じようなキャリアの声優陣がメインを張っていたので、プレッシャーを感じるというよりも、みんなで力を合わせて頑張ろうぜ、という雰囲気だったんです。

 ただし、もちろん緊張する場面はありました。新人声優ばかりの5人のメインキャストに対して、敵役の3人を演じるのは神谷浩史さん、福山潤さん、寺島拓篤さんといった超実力者たち。

 さらに一話ごとに登場するゲストキャラクターも、石田彰さんなどの大御所が声をあてられていました。そんな先輩たちと並んでの収録は、頭が真っ白になるくらい緊張するもので、自分の役柄のことを考えるだけで精一杯。さすがに「なんとかなるさ」とは思えませんでした。

 でも、そんなぼくの様子を見て、とある先輩が「これは君たちの作品なんだよ」と言ってくれたんです。

 そのとき、ハッと目が覚めました。主役に選ばれたからには、キャリアなんて関係ない。いかに観てくださる方々を楽しませられるか。遠慮なんてせず、「これは自分の作品なんだから、自分が面白くしなければいけないんだ」と自覚することの大切さを知ったんです。

 それからは徐々に緊張もほぐれ、メインキャストとしての自覚とともに作品に向き合えるようになったと思います。いやぁ……、初めての主演は本当に得るものが多かった。

 そして、『美男高校地球防衛部LOVE!』のおかげでぼくの知名度も少しだけ上がりました。「あの作品に出ていた白井さんですか!?」と声をかけていただくことも、新しいお仕事につながるチャンスも格段に増えたんです。すごい! 着実にステップアップしてるじゃん!!

 そんな流れで、声優人生のターニングポイントになるような作品とも巡り合うことができました。そのひとつが、『アイドリッシュセブン』です。

 TVアニメ1期の放送は2018年のこと。7人いるメインキャストのなか、ぼくだけが当時無名の存在でした。でも、ぼくはそのチャンスを無駄にしたくない一心で、がむしゃらに演じたんです。

 結果、2期の放送(新型コロナウイルスの影響で放送再開スケジュールは調整中)も決定し、ぼくのなかでかけがえのない作品になりました。

 そしてもうひとつ、ターニングポイントになった作品があります。

 もちろん、正直にお話すれば、一つひとつどの作品に思い入れがあるんです。どれだけセリフの少ない端役だったとしても、そこから得られるものは大きい。どれひとつ、無視できません。

 それでも、「やっぱりこの作品だけは欠かすことができない」というものがもります。それは、『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』で演じさせて頂いている飴村乱数(あめむら・らむだ)です。

 声優がラップを披露するという前代未聞の音楽コンテンツでしたが、結果は社会現象とも言えるほどの大ヒット。それにより、ぼく自身も広く知ってもらうこととなりました。ヒプマイには本当に感謝しています。

 というわけで、次回はぼくがヒプマイに参加することになった経緯についてお話ししますね!

今週の一言:声優は作品やキャラクターとともに成長していける
本当に素晴らしいお仕事です!

構成協力=五十嵐 大 写真=干川 修 スタイリング=小林かおる ヘアメイク=川口愉里恵

第15回につづく

しらい・ゆうすけ
1月18日、長野県生まれ。2011年に声優デビュー。2015年に出演した『美男高校地球防衛部LOVE!』で注目を集め、以降、『アイドルマスター SideM』『アイドリッシュセブン』『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』などの話題作への出演が相次ぐ。「理想の緑」をブランドアイコンとする、オリジナルアパレルブランド【MIDORI】も立ち上げたほか、YouTuberとしての活動もスタートし、「しらいむチャンネル」で自由気ままな動画も投稿中。
公式Twitter:@shirai_universe
公式YouTubeチャンネル:しらいむチャンネル
MIDORI公式サイト:アパレルブランド