急いで5メートル退避。キレる人からは距離を置くべし/「もう怒らない」ための本②

ビジネス

公開日:2020/10/20

「ああ、また怒ってしまった」と自己嫌悪している方は、ご安心ください。怒りは3秒で収められるんです! 精神科医・和田秀樹氏著『「もう怒らない」ための本』(アスコム)より、精神医学に基づいた「怒らない」メソッドをご紹介します。

うるさい人から、急いで5メートル離れる

→話が通じない人から、とにかく逃げる

◇ ◇ ◇

「フラストレーション耐性」の低い人

場をわきまえずに、大声で騒ぐ連中は、とにかく迷惑千万です。「こいつら何を考えているんだ」と怒りが込み上げてきて、「静かにしろ!」と怒鳴りつけたくなってきます。しかし、いまの時代、ちょっとしたことでキレてしまう人がとても多くなってきています。

へたに怒りをぶつけると、ひどい目にあってしまうことにもなりかねません。最悪の場合、殺人事件に発展することもあります。

かつては、キレるのは若者だけでした。しかしいまは、中年であろうと、高齢者であろうと、女性でさえもキレやすくなっています。

先日も、ある私鉄の駅で初老の小柄な男性が、20代の大柄な男性に食ってかかっていました。初老の男性が電車を降りようとしたのを、若者が邪魔をしたという言い分のようです。若者は「意図的なことではない」と応じていました。私もそばにいましたが、正しい主張に見えました。ところが、その初老の男性は、えらい剣幕です。

「この若造が、何様だと思っているんだ!」

酔っているようではありませんでした。きっと、仕事で嫌なことでもあったのでしょう。見るに堪えない光景でした。

「フラストレーション耐性が低い」

キレやすいというのは、心理学ではそう説明されることがあります。自分の不満に耐えられない。つまりは、幼稚なのです。

我慢の学習が足りない人もいる

幼児が、ほしいおもちゃやお菓子を買ってもらえないとき、最初は、「ほしいよ、ほしいよ、買って、買って」と泣きながら訴えるだけです。しかし、それでも買ってもらえないときには、行動が過激になります。床に寝転がって手足をばたばたさせ、大声で騒ぎ立てます。テコでも動かないぞと、迫力が増します。一種のパニックです。

でも、普通の人間は成長して大きくなれば、そんなことはしてはいけないと学習します。しかし、すべての人とはかぎりません。その学習が十分になされていない人もいます。そんな人がキレやすい大人になってしまうのです。

職場とか近所にもいますよね。大人になりきれていない人たちです。知的な部分は、ある程度発達しているのですが、「認知」というものの受け止め方や理解の仕方という面の発達が十分ではないのです。

いまは、とても未熟な人たちが増えてきています。そういう人は、間違いなく「幼稚な人」です。キレる要素を十分にもっている人たちです。「静かにしろ!」と怒りたい気持ちはわかります。

しかしここは、そっとその場を去るのが得策です。

急いで5メートル離れましょう。それだけで、解決です。

「事」ではなく「人」にしか怒れない人

PTAや地域の会合でも、ちょっと自分の意見が通らないと、明らかに態度が豹変してしまう人はいませんか。プイッと席を立ってしまったり、思い込みが強くて聞く耳を待たず、すぐに周囲とぶつかってしまったりといった人も珍しくないでしょう。

キレる要素がたっぷりの人は、付き合い方にちょっと注意が必要です。

認知が成熟していない人は、ある特徴があります。まわりの人間を敵か味方かのどちらかに分けてしまう傾向があります。一度、敵だと見なしてしまえば、その人が何を言っても反対したり、無視をしたりします。主張が違うから反対されるならまだしも、同じ意見であっても、「あいつに賛成するわけにはいかない」という判断をします。

こういう人は、「事に怒る」のではなく、「人」に怒る人です。

こんな人に対しては「物事の是非」のコントロールがきちんとできているかどうかを観察することです。距離を縮めなければ、人当たりのいい人であっても、あるとき突然「キレられる=恨まれる」ということになりかねません。

「人を見たら泥棒と思え」的な生き方には賛成できませんが、世の中には「通じない人」がいることは否定できません。そんな人には怒りも通じません。怒る前に、3秒で距離を置く。そうすることで、自分の頭も冷やすことができますし、相手の怒りを買うこともありません。自分の身を守ることにもなります。

【次回に続きます】