無駄使いはもったいない! 怒りのエネルギーは有効活用しよう/「もう怒らない」ための本⑤

ビジネス

公開日:2020/10/23

「ああ、また怒ってしまった」と自己嫌悪している方は、ご安心ください。怒りは3秒で収められるんです! 精神科医・和田秀樹氏著『「もう怒らない」ための本』(アスコム)より、精神医学に基づいた「怒らない」メソッドをご紹介します。

日々の怒りはスキルアップのエネルギーにする

→他人から軽く扱われた時こそがんばれる

◇ ◇ ◇

自分を軽く見る人への怒りがフツフツと

私自身、実感していることですが、非正規社員やパートで働く女性の中には、とても能力が高い人がいます。そんな人のスキルを有効に使わないのは、会社や組織にとっては大きな損失です。もちろん、女性にかぎったことではありませんが……。

たとえば「ブラック企業」と呼ばれる会社や組織、あるいはそこで働く正規社員は、変なプライドなのかもしれませんが、非正規社員やパートで働く人を下に見る傾向が少なからずあるようです。

ですから、明らかに作業の効率化に役立つプラン、業績にプラスになる企画などを提案しても、スンナリと採用されることがないかもしれません。

「言われたことを、やってくれればいいから」

「パートという立場の範囲でお願いします」

そんな言い方で門前払いをされたら、ムカッときてしまいますよね。そこでムキになって、自分の意見がいかに優れているかを訴えても、余計に煙たがられるだけです。

「昔は、ここよりももっと大きな会社で、もっと能力のある人たちと一緒に仕事をしていたのに、どうしてこんな目に遭わなければならないの」

そんな怒りも湧き上がってきます。さて、この怒り、どうやって静めたらいいでしょうか。感情というのは、放っておくと、どんどんとエスカレートしていきます。

最悪、怒りから殺人が起こったりもするわけです。

怒りはやり方次第でエネルギーに変えられる

怒りには、相当に強烈なエネルギーがあるのは間違いありません。

けれども、エネルギーというのは使い方次第で役に立つものです。

要は怒りのエネルギーを、人を攻撃したり、やけくそになるというマイナスではなく、もっとプラスに使えばいいのです。そのときに役立つのは、冷静さと理性です。

感情が暴走しそうになったとき、冷静さや理性はブレーキやハンドルの役割を果たします。パートのくせにと軽く見られたとき、冷静さや理性を使って、どういう方向にハンドルを取ればいいでしょうか。

その怒りのエネルギーを自分のスキルアップの原動力にするのです。

たとえば、資格を取ってみたらどうでしょうか。ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士、宅建、医療事務、簿記、行政書士……。ステップアップに役立ついろいろな資格があります。

会社にとどまったままでも、資格を取れば、もっと重要な仕事につける可能性も生まれます。パートだとバカにした社員たちを見返すこともできます。その会社に見切りをつけて、自分のスキルを十分に生かせる転職ができるかもしれません。

また、興味のある資格を取って、まったく違う道でがんばってみる手もあります。

エネルギーの無駄使いはもったいない!

大切なことは、怒りのエネルギーを外に向けることです。それ以外の道もあるのだということを知ることです。これまで、あなたは受験や就職試験などを突破して、仕事でも性別に関係なくがんばってきたのではありませんか。そんなあなたが、資格の一つや二つ、取れないはずがありません。

選択肢を、日ごろからシミュレーションしておくといいでしょう。腹の立つことを言われても、「私にはいくらでも別の道があるんだ」という思いが怒りの防波堤になります。冷静で理性的でいられます。

いま、家庭で廃棄された使用済みのてんぷら油を精製して、そのオイルでクルマを走らせる技術があります。これと同じです。ただ怒りをぶちまけていても何の役にも立ちません。もったいないじゃありませんか。怒りは冷静さと理性があれば、エネルギーに変えることができるのです。

一度、資格試験の通信講座のパンフレットでも取り寄せて、どんな資格があるかを調べてみるといいでしょう。「こんなのがあるんだ」「自分にはこれが向いている」「この資格を取ったら独立できるかもしれない」……。具体的目標を見つけることは夢を現実にする第一歩です。

そうすれば、自分を蔑(さげす)んだ相手に感謝する日が訪れるかもしれません。「この、てんぷら野郎!」という心の言葉をひそかにスキルアップのエネルギーにしましょうよ。

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