「どうしていつも謝るの?」夢の中の禰豆子が伝えたかったこととは…/『鬼滅の刃』の折れない心をつくる言葉 ⑤

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更新日:2020/12/23

「鬼滅の刃」がヒットした理由は、自分の弱さと向き合い、葛藤し、それでも立ち上がろうとするキャラクターたちの“折れない心”にあるのではないでしょうか。そんなキャラクターたちが放った“言葉の力”に注目した1冊から、『鬼滅の刃』で生まれた名言をご紹介します。

「鬼滅の刃」の折れない心をつくる言葉
『「鬼滅の刃」の折れない心をつくる言葉』(藤寺郁光/あさ出版)

「鬼滅の刃」の折れない心をつくる言葉

 鬼の上弦の陸・堕姫と妓夫太郎との死闘で、仲間の宇髄天元、伊之助、善逸、さらには妹・禰豆子まで瀕死の状態になり、絶望的な状況に直面する炭治郎。気を失っている間に見た夢に出てきた禰豆子は、敗因を自分のせいにする兄に対して、すべての責任を背負い、自分の力だけで皆を救おうとする考え方を改めてほしいと訴えかけます。禰豆子の言葉の裏側には、兄妹、家族だからこそ理解してほしいという兄への願いがありました。これは妹から兄へ、力を注ぎ込むかのような愛が込められた言葉です。

 

 あなたはすぐに謝ってしまう癖がありますか。

 日本人はつい謝ってしまいがちですが、そもそも謝るとはどんな行為なのでしょうか。

 

「謝」という字には、「放つ」「挨拶をする」という意味がありますが、「捨」と同じ音を持つので「捨てる」という意味もあります。

 謝るのは、本来は相手との関係を続けていくための行為です。しかし、謝るのが癖になっているのなら、それは謝るという言葉を「何かを捨てる」ために使っているのではないでしょうか。いつも謝っていてばかりの人は、謝る意味や価値そのものを捨ててしまっているかもしれません。

 また、「謝る」ことは「気づく」ことでもあります。なぜなら、何かに気づかなければ謝らないからです。たとえば、自分からぶつかってきても謝らない人がいますが、これはぶつかったことに気づいていないか、謝るべき行為だということに気づいていないのです。

 

 だから、謝るのが癖になっている人は、謝る前に、自分が本当は何に気づいているか、謝って何か大切なものを捨てていないかを考えなければいけません。

 

 たとえば、あなたが高い目標を持っていたとして、それを達成することができず誰かとの約束がはたせなかったとします。この場合、あなたはどのような行動をとるでしょうか。目標を達成できなかったとしても、そこまで努力してきたことは無にはなりませんよね。

 そして、自分を信じ、挑戦し続ける限り、達成するチャンスは何度でもあります。

 誰かに謝ってしまうと、自分のこれまでの努力まで否定してしまうことになるのです。

 

 何かを達成できなかったときや失敗したときは、謝るのではなく、挑戦できたことをありがたいと思う。どんなときでも“いま”を大切にして前に向かっていくことが大事です。挑戦できる「いまがある」ということは、幸せなのではないでしょうか。

 私たちはちょっとしたことでも不幸せに感じたり、幸せに感じたりする生き物です。結局は自分のさじ加減なのです。

 だから、いっしょに頑張ろうと言ってくれる仲間がいるならなおさら、“いま”を突破するために戦いましょう。

<第6回に続く>

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