自分も相手も“鬼”にしないための炭治郎の言葉。つい誰かを責めたくなったら…/『鬼滅の刃』の折れない心をつくる言葉 ⑦

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更新日:2020/12/23

「鬼滅の刃」がヒットした理由は、自分の弱さと向き合い、葛藤し、それでも立ち上がろうとするキャラクターたちの“折れない心”にあるのではないでしょうか。そんなキャラクターたちが放った“言葉の力”に注目した1冊から、『鬼滅の刃』で生まれた名言をご紹介します。

「鬼滅の刃」の折れない心をつくる言葉
『「鬼滅の刃」の折れない心をつくる言葉』(藤寺郁光/あさ出版)

「鬼滅の刃」の折れない心をつくる言葉

 冨岡義勇の「拾壱ノ型・凪」によって首を斬り落とされた、鬼の下弦の伍・累。累は自分が消えゆくとき、家族の思い出を回想していました。自分のことを大切にしてくれないと思っていた両親が、誰よりも自分のためを思って尽くしてくれていたことを……。

 しかし、自らの過ちで家族2人を殺めてしまった大きな後悔は、鬼になったあともずっとずっと累の心のなかにのこっています。義勇が「人を食った鬼に情けをかけるな」と炭治郎をたしなめたとき、累の悲しみを感じた炭治郎が言った言葉です。

 

 あなたはつい誰かを責めたくなり、相手を攻撃したことはありませんか。

 もちろん人間ですから、ついカッとなって怒ってしまうときもあります。いつまでも成長しない人を見ていると、イライラして注意したくなり、攻撃的な相手に対しては、つい反発したくなるでしょう。神や仏のような絵に描いたような人は少ないはずです。

 まだそのような人に出会ったことがなくても、これからの人生で、そういう人に出会い、ストレスを感じることもあるでしょう。

 

「物事には原因があり、原因に基づいて結果がもたらされる」という「因果の法則」があります。

 自分が不機嫌そうにしていれば相手も不機嫌になってしまうように、あなたが“鬼”だと思って誰かに接すれば、相手もあなたを“鬼”だと思って接してきます。つまり、すべての原因は自分にあり、接し方次第で自分の世界は良くもなれば悪くもなるのです。

 

 では、誰かに対していらだったり、責めたくなったりする自分を手放し、人と付き合うにはどうすればいいのでしょうか。

 それは、自分の過去の未熟だったときをふりかえることです。

 あなたもかつては、幼く、未熟なときがあったはずです。少しずつ努力を重ねて、やっといまの自分になったはずです。人の成長はそれくらい時間がかかるものなのです。

 

 こちらの感情をかき乱してくる人がいたとしても、相手は根っからの“鬼”でもなければ、一生成長の見込みがない落ちこぼれの人間でもありません。あなたの周りにいるみんなと同じ人間です。

 うまくいかないことに悩んでいるかもしれませんし、結果が出なくて焦りを抱え、自分なりに考えて行動しているかもしれません。

 表面に現れることだけが、すべてではないのです。

 

 だから、相手に対して優しくすることは、過去の未熟だった自分を受け入れること。そう思って、人と接するようにしましょう。

 炭治郎のような優しい心で誰にでも接することができれば、みんなが幸せになれるはずです。

<第8回に続く>

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