ノウハウ本の教えは現場で通用しない? 使えない営業マンだと思われる“あの理論”/ヨイショする営業マンは全員アホ①
公開日:2020/12/10

ヨイショする営業マンは全員アホ 1%だけが知っている禁断の法則
- 著:
- 宋 世羅
- 出版社:
- 飛鳥新社
- 発売日:
- 2020/11/26
きれい事一切なしの超実践型、現場営業論! 「最初の雑談はすっ飛ばしてもいい」「お客様の信頼を失う行為」など、著者が営業マンとして現場で気づいた“売れる”人間力を生み出す39の法則から、一部を抜粋してご紹介。
それ、現場でやったらただのアホ
営業について書かれたビジネス書や新人研修で教えられるノウハウは、現場と乖離していることが少なくありません。行動心理学などをもとに「こうするとよい」と言われる営業スキルの中で、私のこれまでの経験から現場で絶対にやってはいけないことが五つあります。
オウム返しは、アホだと思われる
まず一つ目は、オウム返し。
たとえば、「この前、なんか変なセールスが来たのよ」と言っているお客様に対して、「大変な思いをされたんですね」「大変な営業マンに会われたんですね」と、同じ内容で返すようなことです。
オウム返しすることでお客様が落ち着き、親密になれると推奨されていますが、これは間違い。こんなことをやってる優秀な営業マンは一人もいない。それ「俺が言ったことやん!」と、お客様から頭の悪い奴に思われてしまう可能性が高いので、絶対やってはいけません。
似たようなことで、ミラーリングというものがあります。
たとえば、お客様がお茶を飲んだタイミングで自分もお茶を飲んだり、お客様が顔を搔いた時に同じように顔を搔くなど、お客様の行動を真似るというものです。
しょうもない本には、これをすることで「親近感が湧く」とか「敵意がなくなる」と書いてありますが、これも全部ウソ。そんなことをしていたら営業の本質から外れていきます。
実際の営業の現場でこんなことやっている人はいないので、このオウム返しやミラーリングのような理論はガン無視してください。
取ってつけた雑談はすぐにバレる
野村證券に入った時のマナー研修での話です。どこかの家のリビングの写真を渡されて、「目についたもので雑談するとしたら?」という授業がありました。
横に座っていた奴が手を挙げて、「このリビングには絵があります。絵に興味があるかどうかを聞いて、それで雑談をします」と言ったら、研修の先生が「よく気づいたね。素晴らしい」と褒めるような茶番劇があったんですけど、こんなもの実際の現場では全く役に立ちません。
アイスブレイク(本題に入る前に緊張をときほぐすための手法)のために雑談にもっていくということなんですが、これを真に受けて、実際にお客様の家に飾ってある壺を見つけて「壺とかお好きなんですか?」と切り出しても、まず上手くいかないでしょう。
自分が本当に壺に興味があるのならいいですが、ただ雑談のきっかけとして、取ってつけた話をしてもお客様にすぐバレます。
お客様もバカではないので、そんな見え見えの雰囲気づくりの会話をするくらいなら、雑談なんてしないほうがマシ。
「分かりません」はあり得ない
三つ目が、正直に「分かりません」と言うこと。これ、実際、めちゃくちゃ多いと思います。
新人だからお客様に聞かれて分からない時は、正直に「分かりません」と言えと教える人が結構います。私も1年目は分からないことが多かったので、「分からないことは正直に分からないと言います」と、ドヤ顔で言ってたんですが、これめっちゃ間違いなんです。
まず、自分の専門分野であれば、「分かりません」はあり得ないということが大前提にあります。
私は今、保険の営業マンをしていますが、保険のことを聞かれて「分かりません」と言ったら、負けです。自分の専門分野で「分かりません」と言うのなら、仕事をしないほうがいい。
もし、それが不動産についての質問ならば、私は保険営業マンなので正直に「分かりません」と言いますが、保険のことを聞かれて「分かりません」と言うのは、ただの勉強不足。一瞬で信頼を失うので、アウトです。
とは言っても、むちゃくちゃ細かいことを聞かれたケースや、ド新人で何も分からないまま現場に出ていることもあるでしょう。なので、本当に分からないことを聞かれた時の対処法というのもあります。
それが、「それは分からないですね」という言い方。
これをやるには雰囲気が大事です。「(私はプロだから基本的に全部分かるけど、そんな細かいところを質問してくる人はあなたしかいないから、どんな保険マンでも分からないので)それは分からないです」という、ニュアンスをどうにか出してください。
どうしてもというのであれば、「持ち帰って調べておきます」という感じでお答えしておけば、次に繫げることができます。分からないことは正直に「分からない」と言え、という教えを真に受けてはいけません。
一度断られたら、次はない
四つ目は「営業は断られてなんぼ」というもの。断られても断られても何回もアプローチしまくれといったわけの分からん格言ですが、営業マンは断られたらダメなんです。
営業マンが商品を提案して断られたら、そこでもう終わり。
お客様にとっても、断ることは気持ちいいことではないのでストレスがかかります。
商品を提案して断られるというのは、営業マンもお客様も、両方にとってアンハッピー。ましてや、そのアンハッピーな状況から、断られてなんぼなのでもう一回ゴリゴリに提案しますなんていうのは本当にアホな話で、ノーはノーなのだから、そこで終了です。
経験上、一度ノーを出したお客様がイエスに変わることはほとんどありません。
好きな女の子に告白してフラれた時に、「どうしても好きだから、なんとしてでも俺と付き合ってくれ」と、もう一度告白したところで「熱意が伝わりました。じゃああなたと付き合います」とはならない。
断られたらそこで終わり。なので、断られないために色々と考えて行動すべきというのが私の持論です。
「小さなイエスの積み重ね」も×
五つ目は「小さなイエスを積み重ねて、お客様のイエスを引き出せ」というもの。どういうことかというと、営業マンがお客様に答えやすい質問をしてお客様のイエスを取っていき、その小さなイエスを取り続けているうちに、最後に契約という大きなイエスが取れるという教えです。
営業のノウハウ本やセミナーなんかに、こういうわけの分からんこと言う奴がたくさんいるようですが、こんなものは通用しません。意味不明を通り越して、ギャグを通り越して、もはやオカルトの域。
たとえば、営業マンが喫茶店でお客様と面談しているシチュエーションを想定してみます。
営業マン「今日は暑いですね」
お客様「はい」
営業マン「アイスコーヒーでよろしいでしょうか?」
お客様「はい」
営業マン「面談時間は1時間ですが、お時間よろしいでしょうか?」
お客様「はい」
営業マン「今、ここでヘッドスライディングしてください」
お客様「はい」
……ってなるわけがない。
こんなの、小学生がよくやる「ピザって10回言って」「ピザピザピザ……」「(肘を指差して)ここは?」「膝」「ブブー! 肘でした〜」っていうゲームのノリと全く同じ。
お客様もそんなにバカじゃない。営業マンと対面して商品を買うかどうかシビアな判断をする時に、「ピザって10回言って」のノリで「イエス」と言うわけがないのです。
実際はそんなに簡単な話ではないし、営業の本質を全くとらえていない戯言です。
そんなことは、お盆で帰省した時に親戚の姪っ子にやればいいことで、それを営業に当てはめるというのは、茶番にもほどがある。
この記事で紹介した書籍ほか

ヨイショする営業マンは全員アホ 1%だけが知っている禁断の法則
- 著:
- 宋 世羅
- 出版社:
- 飛鳥新社
- 発売日:
- 2020/11/26
- ISBN:
- 9784864107921
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