ヤバイ奴ほど人のガマンに気付かない。しんどいときは言葉に出そう/ほっといて欲しいけど、ひとりはいや。 寂しくなくて疲れない、あなたと私の適当に近い距離⑤

暮らし

公開日:2021/2/23

オトナになるほど複雑になっていく人間関係。近すぎても疲れるし、遠すぎても寂しい。重すぎてもしんどいし、軽すぎても不安。そんな面倒くさい心の存在を認めて、自分の感情を自分で尊重してあげよう。疲れた心のお守りになる一冊から厳選してご紹介します。

ほっといて欲しいけど、ひとりはいや。 寂しくなくて疲れない、あなたと私の適当に近い距離
『ほっといて欲しいけど、ひとりはいや。 寂しくなくて疲れない、あなたと私の適当に近い距離』(ダンシングスネイル:著、生田美保:訳/ CCCメディアハウス)

ほっといて欲しいけど、ひとりはいや。 寂しくなくて疲れない、あなたと私の適当に近い距離

ほっといて欲しいけど、ひとりはいや。 寂しくなくて疲れない、あなたと私の適当に近い距離

 かつて「ヤバイ奴質量保存の法則」という言葉が流行した。どこにでも必ず一定の割合でヤバイ奴が存在し、既存のヤバイ奴がいなくなると、それまでまともだった人が突然イカれたことをしだす、というもの。もし、いくら考えても自分のまわりにはそんな人はいないというのなら、ほかでもない自分自身がそれである可能性が高い。

 

 この笑い話は、集団内での関係において私たちの心理がどのように働くかを説明している。人はたいてい、自分の立場から世の中と他人を見ている。だから、気を遣われることに慣れている人ほど、相手のガマンを見落としがち。単純に、自分が楽だから相手も楽だろうと感じてしまうのだ。反対に、気を遣ってばかりいる人は、自分がしょっちゅうガマンしているので、相手のガマンにも敏感になり、自ずともっと気配りをするようになる。だから、俗に「ヤバイ奴」と呼ばれる自己中心的な人であるほど、他人の気配りにも、ガマンにも気づかない。

 どうせ「ヤバイ奴」のために犠牲になり、配慮をしなきゃならないのなら、わざとらしくアピールもして、つらければつらいと言おう。言葉に出さずにわかってもらおうとするより、そのほうがお互いに気を遣える近道になるだろうから。

<第6回に続く>