新庄剛志はメタルを超えた!/メタルか?メタルじゃないか?⑦

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公開日:2021/3/20

 “新しいメタルの誕生”をテーマに“BABYMETAL”というプロジェクトを立ち上げ、斬新なアイディアとブレること無き鋼鉄の魂で世界へと導いてきたプロデューサー・KOBAMETAL。そんな彼が世の中のあらゆる事象を“メタル”の視点で斬りまくる! “メタルか? メタルじゃないか?”。その答えの中に、常識を覆し、閉塞感を感じる日常を変えるヒントが見つけられるかもしれない!!

メタルか? メタルでないか?
Photo by Susumu Miyawaki(PROGRESS‐M)

 メタル一筋でスポーツには疎いワタクシだが、この人のことはジャンルを超えて気になって仕方がない。

 新庄剛志さんだ。

 阪神タイガース、ニューヨーク・メッツやサンフランシスコ・ジャイアンツといったメジャー球団を経て日本ハムファイターズで華々しく引退。その後は、タレント、俳優、アーティスト、プロデューサーなど幅広く活躍されている、文字通りスーパースターだ。

 その新庄さんが、2019年、自らのYouTubeチャンネルで突如、日本のプロ野球に現役復帰するために1年後のトライアウトを受けると宣言。その時に放ったコメントがしびれる。

「みんな、夢はあるかい? 1パーセントの可能性があれば、必ずできる。きょうからトレーニングを始めて、もう一回、プロ野球選手になろうと思います。みんなも何か挑戦しようぜ」

 トライアウトの結果、NPBの球団からは声がかからず、断念することになった。しかし、トライアウトでは打点を上げる活躍をするなど、きっちりとマスコミにネタを提供したあたりはさすがの一言に尽きる。

常識を超えた発想こそメタル力

 ワタクシが新庄さんのどこにメタルを感じるかと言うと、プロ野球選手というぶっとい軸がありながらも、プロ野球選手では到底収まらない紆余曲折を自ら起こすという点だ。野手でありながら投手に挑戦したり、無謀と言われながらもメジャーに移籍したり、引退に際してはその年の4月に、なんとヒーローインタビューの最中に今季限りでユニフォームを脱ぐと宣言するなど、いちいち常識を打ち破りまくるスタイルが、ほんとメタルだなぁと思わずにはいられない。

 野球をやめた後の新庄さんも会社を設立したりバリ島に移住したりと、誰にも予測のつかない人生なのだが、中でもワタクシが驚き、かつ大好きなエピソードが、美容整形に関するものだ。

 テレビ番組だったか、何かの記事だったか忘れてしまったが、なぜ美容整形をしようと思ったのですか? と尋ねられた新庄さん。当時億単位の金銭トラブルに巻き込まれ、望まない形でワイドショーなどに追いかけられ、街を歩くとよく顔をさされたそうだ。そうした背景を説明した後に、事もなげに言った理由がイカしている。

「街を歩いてたら美容整形のクリニックがあって、整形しよう!って思ったんですよ」

 整形しよう!って……。サウナ行こう!というのとはワケが違うのだが、新庄さんが言うと不思議とカジュアルに、かつ、不思議な説得力を持って響くからすごい。

 エピソードはさらに続く。

「それで手元に110万円あったんで、それを握り締めて『めっちゃブサイクにしてください!』『新庄だってわからなくしてください!』ってお願いしたんです」

 自分でない自分になるというメタルの奥義を開陳しつつ、本当に顔を変えてしまうっていうのは、もうワタクシ、話のすごさにまったくついていけないのだが、ただただ素敵だ。なんだそのピュアさ加減は。たまたまエレキギターがあったから誰よりも速く弾いてみたかった、誰よりもデカイ音を出してみたかった、みたいな。いや、もうそれでは追いつけないほど新庄さんのエピソードは突き抜けてしまっている。

 

 もしや新庄さん、メタルを超えてしまっているのか?

 そう言えば、新庄さんの行動に筋書きや緻密さは一切感じられない。その場で自分の心が赴く方に全力で向かっている、そんな印象だ。その感じは、メタラーというよりもどちらかと言えばユーチューバー的な感じがしなくもない。実際YouTubeやってるしな。

 いやしかし――。

 ただ単にハプニング的に行き当たりばったりな感じ、では決してないんだよな〜。

 緻密に計算しているわけではない。だからパッと見、ノリが勝っているように感じてしまう。でも新庄さんは自らの純粋な気持ちに従って起こした行動ひとつひとつに対して、確実にオチをつけている。先程の美容整形のエピソードもそうだし、1年がかりのトライアウト挑戦もそうだ。ナチュラルにやってはいるけど宿命的に起承転結のエンタテインメントになっちゃってる。それが新庄剛志という人なのではないだろうか。

 

 結論を言うと、新庄剛志という生き方は、新しいメタルの形、なのかもしれない。

 いったいどんなサウンドなのだろう。

 気になりつつ、新庄剛志さんの公式応援歌「%1」を聴きながら、新庄さんの波乱万丈エピソードがふんだんに書かれた著書「わいたこら。 ――人生をポジティブに生きる僕の方法」を読むとしよう。

メタルか? メタルでないか?
Illustration by ARIMETAL

<第8回に続く>

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KOBAMETAL(コバメタル)〇プロデューサー、作詞家、作曲家。音声SNS「Clubhouse」でメタラーの輪を増やす活動をもスタート。