子どもの才能を伸ばす習慣とは? 長所を深掘りすると苦手分野も伸びだす!?/子どもの長所を伸ばす5つの習慣⑦

出産・子育て

公開日:2021/6/21

石田勝紀著の書籍『子どもの長所を伸ばす5つの習慣』から厳選して全7回連載でお届けします。今回は第7回です。これからの時代、特に子どもに必要とされる「個性」を伸ばすために必要なこと、長所を伸ばす子育てとは何か? その意義と具体的な方法について、わかりやすく指南してくれる一冊です。

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子どもの長所を伸ばす5つの習慣
『子どもの長所を伸ばす5つの習慣』(石田勝紀/集英社)

ささいなところに長所のかけらが隠れている

 前章の終わりで、子どもの長所は必ずしも才能や能力と結びつくのではなく、「心のありかた」にヒントがあることをお伝えしました。

 第3章では、いよいよ、子どもの長所が見つかる5つの習慣をお伝えします。この習慣を実践すると、あなたが子どもを見る目に変化が起きます。そして、今までは見えなかった(いや、短所として見ていたかもしれません)意外な長所が見えてきます。

 ただし、あなたはすべてを実践する必要はありません。「ピンときたものだけやってみる」というくらいの軽い気持ちで大丈夫。8割程度実践できたなら、花マルがもらえると思ってください。

 先ほどもお話ししたように、子どもの長所は学校の主要科目だけではないことを忘れないでください。

・おしゃべりが好き → コミュニケーション能力が高い
・人の話をじっくり聞ける → 他人の意見を尊重できる
・工作に熱中する → 集中力がある
・お花に水をあげていた → 生き物にやさしい
・電車の名前をよく知っている → 得意分野に強い
・あれこれたくさん質問する → 問題提起力がある
・人に教えるのがうまい → 指導力に秀でている

 という具合です。

「え、これもそうなの?」と思えるような、よくある子どもの特徴。これらだって、長所のかけらなんです。大化けして子どもの才能に結びつくかもしれません。ささいなところに隠れている、子どもの長所の断片を見逃さないことです。

子どもの長所を伸ばす5つの習慣

子どもの長所が見つかる5つの習慣

[第1の習慣]短所をいじらない

「長所進展」が子育ての大事なポイントだと言いましたが、それだけでは不十分です。

「長所を見つける」と「短所をいじらない」

 このふたつをセットにしなければなりません。

 

 念押しするわけは、「長所は伸ばす、と、同時に短所も正す」の両方をやりたがるお母さんが多いからです。しかし、これでは車のブレーキとアクセルを同時に踏むようなもの。短所いじりで自信を奪ってしまっては、せっかくの長所進展が帳消しになってしまいます。

 短所をいじらなければ、長所が顔を出し、長所をいじるうちに、やがて短所はなくなる。

「ニワトリが先か、タマゴが先か?」のような因果関係のジレンマですが、私は「短所をいじらないこと」が、子育ての「いちばん重要なキモ」だと確信しています。

 短所をいじらない、怒らない、叱らないで、スルーすると、子どもの心から恐怖や嫌悪が消えていき、本来持っている長所が顔を出し始めます。その長所を認めてあげると、子どもの心は満たされていく。すると、気持ちに余裕が生まれて、自分の身のまわりを点検し始めます。

 こんな順序をたどって、子どもは、だんだん自覚している短所の修正を進めていきます。徐々によい感じのループができていくのです。

 短所に関しては、どうしても指摘したいときは感情的に伝えるのではなく、冷静に教えてあげてみてください。

 

 ここで、もうひとつこだわりたいのが「長所深堀りのすすめ」です。子どもの「得意」や「好き」をただ認めるだけでなく、その道を極められるよう導くのです。

 

〈長所深掘りの方法〉

 英語が得意科目だけど、数学が苦手な子どもなら、

△ 英検で3級を目指す
◎ 英検で2級や準1級を目標に設定する

 子どもがやりたいことや長所は天井(限界)をつくらずに、いけるところまで進んでしまっていいのです。場合によっては頂点まで上り詰めてしまってもよいでしょう。ただし、子どもに「やりたい」という気持ちがある場合のみです。親の指示や命令で無理にやらせようとしても、「やりたい」という気持ちがない子どもにとっては義務になってしまい、長所は一定水準以上に伸びていきません。

 

 先ほどお話ししたように、好きな科目を徹底的に追求するうち、不思議なことに苦手な数学の点数もじわじわと伸びていきます。

 このようになることがなかなか信じられず、途中で親のほうが我慢できなくなって短所是正モードになる場合があります。しかし、長所を伸ばし続けることで苦手分野が伸びだすことは、これまでに実例がたくさんあります。

 子どもたちの「得意」や「好き」のエネルギーを、苦手分野ではなく、得意分野に存分に注ぎ込むことが、長所を伸ばすいちばんの近道なのです。

 

 実は東大生が「長所進展×深堀り」で育てられているというデータがいくつもあります。

 これが人間を育てる上での最大定理だということを、ぜひ知っておいてください。

<続きは本書でお楽しみください>

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