誰にでもある「不安」。ネガティブな気持ちを切り替える方法とは?/努力の習慣化

ビジネス

公開日:2021/10/6

努力の習慣化

著:
出版社:
KADOKAWA
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 「Vプレミアリーグ最優秀新人賞」など、数々の記録をもつバレーボール選手・柳田将洋さんが、努力の習慣化する秘訣を公開。自然と努力を行えるようになったキッカケや思考法は何か? 目標設定、コミュニケーション、メンタルなど、あらゆる角度から「努力の習慣化」の方法論を説きました。

苦しいだけの努力は、もう終わり。誰でも「継続は力なり」を実感できる1冊です。

※本作品は柳田将洋著の書籍『努力の習慣化』から一部抜粋・編集しました。

努力の習慣化
『努力の習慣化』(柳田将洋/KADOKAWA)

問題を整理して「不安」を減らす

誰にでも不安はある

 誰にでも不安はあります。僕が考える不安とは、「現時点でわからないことを知ろうとしていることで感じるストレス」を指します。

 不安を減らす第一歩は、いつ不安というストレスを感じているのか、それに対して自分は何をしようとしているのか、それを明確にして整理することです。

 もちろん、バレーボールをする中で多少の不安を感じることもありますが、大きな不安を抱えながらプレーをすることはあまりありません。

 たとえば、来季の契約に対する不安や、次の試合でいいプレーができるのかという不安は、自分で払拭できます。きちんと練習をすればいいだけですし、今できることをひとつひとつやっていくしかありません。

 ただし、周囲から聞こえてくる話で、「これは意味のない不安だな」と感じることもあります。ここ数ヶ月耳にするのは、「東京オリンピックはやるの?」ということ。東京オリンピックに関しては、自分が開催するかしないかに関わることはできません。思い悩んだり、エネルギーをかけたところで力は及ばないのですから、無益な労力になってしまいます。

 このように、不安は、大概自分の力が及ばないことなのです。

 スポーツの世界では「チームの不安要素」という言い方がありますが、これは実際には不安ではありません。ウィークポイントをなぜか不安要素と言い換えているだけで、ウィークポイントである以上改善の余地があります。

 ストレスを溜めるのは、自分に影響を及ぼす毒のようなもの。下手をすると、不安なことだけを考えて一日過ごしていたりすることもあるのではないでしょうか。そんな時は、冷静になって、問題点、自分で改善できること、できないことを整理する。そうすれば、ストレスを感じる必要がなかったなということが意外に多かったりします。

過去と未来から、不安を手放す

「不安」とあえて口にする人もいます。問題点が整理できていればメンタルに悪影響が出ることはなく、不安を力に変えて戦える人もいるのです。

 バレーボール日本代表の福澤達哉選手(パナソニックパンサーズ)が、その一人。「自分が不安に思うから戦えるし、練習で追い込める」「これではまだまだだと感じることが、成長の源になる」と彼は言います。

 福澤選手が言う不安は、僕が言う目標みたいなことなのだと思います。福澤選手は不安に思える課題が次々と出てくるし、僕はひとつクリアしたら次の目標が出てくる。

 あえて不安を持つことで、ハングリー精神をずっと持ち続けられる人はとてもポジティブですよね。まさにファイターという印象を受けます。

 では、不安を手放したい人が、不安を感じないようにするにはどうすればいいのか? 僕は「今までやってきたこと」と「これからやること(やりたいこと)」の2つだけを掘り下げています。

 何を不安に思っているか洗い出し、それに対してこれまでやってきたことを考えれば、おのずとこの先のプロセスは見えてくるはず。すっと不安はなくなりますよ。

 不安がなくなればストレスから解放されますし、コンディションを整えることもできるはずです。

自分に集中すると、ストレスは減る

他人に期待するより、まず自分で動く

 まわりを動かそうとしても動かないことってありますよね。勝手に相手に期待して、期待通りに動かないと失望してしまう……。だいたいの場合は思った通りには動いてくれないのだから、他人に期待しないで、自分が動けばいい。自分が一生懸命にやっていれば、仲間が動いてくれることもあります。

 相手にベクトルが向いた状態で過剰に期待していると、思い通りにいかない時にストレスを溜めてしまいます。逆に、常にベクトルが自分に向いていれば、相手が仮に自分の思った通りに動かなくても、「そういう時もあるよね」「大丈夫、大丈夫」という気持ちで相手に接することができますし、次のステップにも踏み出せると思います。

 他人に期待しすぎてしまうと、その分現実とのギャップがストレスになり、自分を苦しめます。

他人の評価は受け流す

 たとえば海外に行く前のサントリー時代の僕は、自分がどうスパイクを打つのかにフォーカスできていませんでした。それなのにトスを上げる選手には「こういうトスが欲しい」と伝えもせず「うまくいくよ」とばかり言っていたのです。表面上はうまくいっていましたが、実際のプレーでは結果につながらず、そのことは僕にとって悩みのタネでした。

 要するに、自分のプレーにフォーカスしていなかったのです。

 その心のクセに気づいて修正して以降は決定率も上がり、いいトスをもらったら「ありがとう」と言うようになりました。

 何かに挑戦する時に「失敗したらまわりに笑われるのでは?」と怖くなったら、それは自分にフォーカスできていないのかもしれません。

 僕自身、海外に挑戦する時は不安も当然あったのですが、

「つらくて帰ってきたらまわりはどう評価するかわからないけれど、評価されることを求めて海外に行くわけではない」

「自分なりに頑張ればいいだけで、他人からの評価は、それはそれで別の話」

 と、ある人から言われて心が軽くなったのを覚えています。

「帰ってきても逃げているわけではないんだ」と思えたことで、肩の力が抜けた状態で海外にチャレンジすることができました。「自分がどうするのか」ということだけに集中すれば、余計なストレスは感じにくくなります。

「切り替える」ための6文字の言葉

一人で抱え込まない

 僕は仲間に苦しんでいるところを見せたくありません。練習中に「きつーい」くらいは言ったりしますが、本質的にきつい時は言わない。「本当にもうダメ」なんて絶対に口にしません。

 チームが勝てない状況が続くと、苦しくてみんなが下を向いてしまいますよね。大事なのはそこで一緒になって下を向かないこと。ネガティブな気持ちをみんなで共有したところで、状況がよくなるわけではありません。

 試合に負けてしまって、「もうバレーボールのことなんて考えたくない」という日こそ、人と話をする機会を作っています。

 日本人は悪いことを引きずる傾向がありますよね。

「負けたから自粛します」
「今日は部屋でおとなしくしておきます」

 考え方は人それぞれですが、僕としては、どんちゃん騒ぎをするわけではありませんし、少しでも話して次のことを考えやすくしたい。

 負けた時は自分のせいだと思っている選手が多くて、僕自身もそう思ってしまいます。

 だからこそ、一人にならず、誰かと話せる環境を作る。コミュニケーションを取る機会があれば、それだけでメンタル的にプラスに持っていけるのです。

苦しいことは「消化」できる

 苦しい姿を見せないと言いつつ、よく考えてみると僕自身の苦しみはたいしたことはないかもしれません。

 福澤選手をはじめとする先輩たちとごはんに行った時に相談することもありますが、「苦しいんです」と吐露するのは気恥ずかしいので自分で消化することも多いです。

 逆に他の人の話を聞くことで、自分の考えを整理できたり、消化できたりすることもあります。なぜか、人の話が自分のつらさを紛らわしてくれることもあるのです。

 基本的には、つらいことがあっても「しかたがない」の6文字で終わってしまいます。

 怪我をした時もそうでした。ポーランドで足首を骨折、だったら日本に帰ろうとすぐに切り替えられました。

 怪我をした直後に日本代表のドクターにかけ合って、データを診てもらう手はずを整えて、MRIをとったらすぐにデータを送りました。ドクターの診断は全治2ヶ月。2ヶ月後にはシーズンが終わってしまうので帰国して治療できるようクラブを説得、日本に帰る手はずを整えました。

 怪我をしてからここまでで1週間弱。苦しさに身を任せて沈み込むのではなく、「怪我はしかたがないから次」とすぐに心を切り替えることができたからこそ、スピード感を持って決断や交渉ができたのだと思います。

<続きは本書でお楽しみください>

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