ハーレムマンガ的にも楽しめる!? 霊感体質の少年×美少女幽霊の怪奇譚『死人の声をきくがよい』

アニメ・マンガ

2018/8/28

『死人の声をきくがよい』(ひよどり祥子/秋田書店)

 ホラーと女の子は相性がいいと思う。“恐怖”は女の子の表情を魅力的にするスパイス的な効果を持ち、それだけで作品世界が華やかになる。それでいて、その状況がいかに恐ろしいものかがひと目でわかる。

 そんな女の子が大勢登場するホラーマンガが、『死人の声をきくがよい』(ひよどり祥子/秋田書店)だ。本作は紛れもないホラーであると同時に、ハーレムマンガ的な要素も持ち合わせているという、非常に稀有な魅力にあふれている。

 主人公となるのは、霊感体質の少年・岸田 純(きしだ・じゅん)。いつもぼんやりとしており、気がつけば怪事件に巻き込まれてしまうという、なんとも可哀相な体質の持ち主だ。作中に登場する怪異は、実にさまざま。人間が起こす猟奇殺人事件もあれば、幽霊や妖怪による説明不可能な出来事やエイリアンが登場するSFタッチなエピソードもある。しかも、随所に過去の名作ホラーを想起させるような描写が加えられており、本作はホラー好きにはたまらないマンガに仕上がっている。

 で、今回力を入れて解説したいのが、冒頭でも触れた女の子について。岸田の周囲には魅力的な女の子が次々に現れるのだ。

 メインヒロインとなるのは、早川涼子(はやかわ・りょうこ)。彼女は第1話で死んでいることが明らかになるのだが、それ以降、なぜか岸田に取り憑いてしまう。しかし、悪さをするわけではなく、それどころかたびたび岸田を救う。言葉を発することはできないものの、ジェスチャーで岸田に異変を伝えようとする姿は、非常に健気でかわいらしい。

 また、岸田が所属するオカルト研究会の会長である式野(しきの)も、強烈なキャラクター。見た目は清楚なメガネっ娘だが、その内面は真っ黒。事件に巻き込まれれば一目散に逃げ出し、ときには岸田をも犠牲にしようとするほど。その好奇心と逞しさによって、いつも岸田を振り回す存在だ。

 他にも、“ダーク系アイドル”を名乗る魔子(まこ)や、岸谷に想いを寄せる殺人鬼・ゴースト、おませなちびっこ・あいか、不幸体質の同級生・江口(えぐち)など、あらゆる属性の女の子たちが岸田を取り囲む。もはや、恋愛ゲーム顔負けの設定だ。

 ここまで解説していて、なんだか岸田がうらやましくなってきた……。けれど、忘れちゃいけない。あくまでも本作はホラーマンガ。ハーレム的な展開の裏では、常に怪異がうごめいているのだから。

文=五十嵐 大