殺人という「罪」で結ばれた、5人の少年少女たち。彼らの逃避行の行方は――

マンガ

更新日:2018/11/5

『骨が腐るまで』(内海八重/講談社)

 ひとつの「罪」によって結ばれた、幼馴染5人組。そのいびつな関係が迎えるのは、天国か地獄か――。『骨が腐るまで』(内海八重/講談社)は、とある人物を殺害し、その死体を山奥に埋めた5人の男女の日々を描いた、暗黒青春譚である。

 物語は、山奥で5人の少年少女が「大罪の秘密を守り抜くことを誓います」と宣誓するシーンから始まる。彼らの目の前にあるのは、白骨化した遺体。そう、これは彼らが殺害をした人物のものだ。その罪の意識を忘れないように。そして、裏切り者が出ないように。彼らは互いに互いを監視し、その結びつきが綻びないように、遺体を掘り起こしては誓いを立てているのである。

 ところが、ある日、埋めていたはずの骨が何者かによって盗み取られてしまったことから、物語は急展開を迎える。5人の罪を知る者からの脅迫。それに従い、謎の遺体の解体処理をさせられる主人公たち。罪が新しい罪を呼び、彼らはどんどん地獄へと突き進んでいくことになる。

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 そして、徐々に明らかになっていく、5人の幼馴染が抱える秘密。血塗られた友情で結ばれていた5人は、その関係を少しずつ狂わせていくことになるのだ。

 本作は非常に上質なサスペンス・ホラーである。罪を犯した5人に迫る謎の影。メンバーそれぞれが抱える闇。そして、少しずつ暴かれる意外な真実。そのストーリーラインは、まるで破滅へと向かうロードムービーを観ているかのような印象を持つ。

 そして、繊細な筆致で描かれているため、どのシーンも非常にリアル。特に主人公たちが遺体を解体するシーンは、直接的な描写こそ伏せられているものの、生臭い鉄の匂いが鼻につくようなインパクトでもって、読者に迫りくるだろう。

 単行本は7巻で完結。5人は罪を償うのか、あるいはどこまでも逃げ切るのか。その詳細は実際に読んで確かめてもらいたいが、個人的にはラストシーンに光を感じることができた。本作は震えるようなホラーではないが、人間の心の闇を丁寧に描ききった良作だ。罪を背負った少年少女の顛末を、その目に焼き付けてもらいたい。

文=五十嵐 大