人気のない教室、薬品の匂いが漂う理科室……。学校への“恐怖感”が蘇る名作『学校怪談』

マンガ・アニメ

2018/10/31

『学校怪談』(高橋葉介/秋田書店)

 学校と怖い話の相性は、バツグンだ。人気のない教室、薬品の匂いが漂う理科室、真っ白なベッドが並ぶ保健室に、学校の隅にある仄暗いトイレ……。生徒たちがあふれる日中はなんでもないのに、放課後、誰もいなくなる頃を境に、それらは表情を変える。こんなことを書いていて、学生時代が懐かしくなると同時に、どことなく感じていた学校への恐怖感が蘇ってきた。

 そんな学校を舞台にしたホラーマンガが、往年の名作でもある『学校怪談』(高橋葉介/秋田書店)だ。本作は中学生の山岸涼一を主人公にしつつ、多様な登場人物たちが怪異に遭遇するさまを描いたオムニバス形式のマンガである。

 そこで描かれるのは、誰もが一度は耳にしたことがあるような怪談をモチーフにしたエピソード。教室や廊下、自宅までの帰路など、さまざまな場所で恐怖が生徒たちを襲う。登場する怪異は、幽霊、妖怪、ときには殺人鬼などバリエーション豊か。山岸ら、登場人物が死んでしまう展開もあるが、次のエピソードでは復活しているため、各話に明確なつながりはない。ただひたすらに怖い展開が描かれているのだ。

 また、途中からもうひとりの主人公格である女教師・九段九鬼子も登場する。魔女である彼女は、いわば本作におけるヒーロー。生徒たちの異変を嗅ぎつけるとすぐにやって来て、妖怪たちをなぎ倒す活躍ぶりを見せるのだ。その爽快感あふれる展開も、見どころのひとつなのだろう。

 大人になり、なにかに怖がることがなくなったという人。本作はぜひそんな人たちに読んでもらいたい。そこにいるのは、些細なことに怖がっていた、過ぎ去りし日の自分の姿だ。

文=五十嵐 大