『子育てハッピーアドバイス』の著者・明橋先生が選ぶ、子どもが思春期をむかえる前に読んでおきたい本
更新日:2013/11/7
子どもが思春期をむかえる前に読んでおきたい本 5選
『ママ弁護士の子どもを守る相談室』(浮田美穂/1万年堂出版)
明橋さんが推薦する1冊目、『ママ弁護士の子どもを守る相談室』は、子どものいじめや非行、学校とのトラブルなどの問題を抱える親子に、真っ先に読んで欲しい。
いじめの問題は深刻で、今まで多くの子どもたちが自ら命を落としているにもかかわらず、学校も家庭も適切な対処ができないまま悲劇は繰り返されている。ではどうすれば子どもを守ることができるのか? この本を読むと、弁護士に相談するのが非常に有効な手段であることがよくわかる。なぜなら、思春期のいじめによくある中傷メール、恐喝、脅し、傷害、暴行、悪口の吹聴、ストーカーなどはすべて犯罪だから。金銭や持ち物の被害を受けた場合、弁護士を通じて警察に被害届や告訴状を提出したり、被害弁償を請求することができる。インターネット上に悪口を書き込まれた場合は、法的な手続きで書き込みを削除することも可能。不特定多数に向けての悪口メールのばらまきなどは、名誉毀損で訴えたり損害賠償を請求することで解決する場合もある。ストーカーなど男女間トラブルの場合は、弁護士を代理人につけて警告書を送ると効果的だという。
これはつまり、自分の子どもが加害者になった場合、訴えられる可能性もあるということだ。最終章の「親と子の法律相談室Q&A」では、子どものトラブルに関する相談から、「相談費用はいくら?」といった気になる疑問まで具体的に回答。
いざというときに慌てないために、そして何より自分の大切な子どもを守るためにも本書を一読して、困ったときは弁護士という心強い味方に頼れることを覚えておこう。
子どもがいじめや何らかの被害を受けた時、弁護士という選択肢はなかなか浮かばないかも知れません。しかしこの本を読むと、弁護士の存在がより身近に、心強く感じられると思います。困難な時代を生きる子と親に、ぜひ読んでおいてほしい一冊です。
『自己肯定感って、なんやろう?』(高垣忠一郎/かもがわ出版)
2冊目は、臨床心理学者の高垣忠一郎さんと版画家の山田喜代春さんの共著による『自己肯定感って、なんやろう?』。関西弁が親近感を誘う子どもも読みやすい絵本だ。人間はいろんな「弱点」や「ダメなところ」を背負って生きていて、それを「借金」に例えている発想が面白い。みんな「借金」を返そうとがんばって生きているから、お互い「そういうあんたでエエねんで」と共感する気持ち。それが「自分が自分であって大丈夫」という自己肯定感を支えているという考え……。そんなやさしさあふれるエッセイと、一行詩入りの温かみのある版画が、読む者の気持ちをスーッと楽にしてくれる。
自己肯定感という言葉を、おそらく最初に世に広めた高垣忠一郎氏が、自己肯定感について、分かりやすくコンパクトに説いた一冊。思春期に限りませんが、多くの親や教師に読んでほしい本です。
『西の魔女が死んだ』(梨木香歩/新潮社)
3冊目の『西の魔女が死んだ』は、特に思春期の女の子に人気が高いロングセラーだ。シャーリー・マクレーンが西の魔女のおばあちゃんを演じた映画も公開されたからご存じの人も多いだろう。登校拒否になった主人公のまいが、思春期特有の素直な気持ちや素朴な疑問を打ち明けるシーン。そのひとつひとつに真摯に向き合いこたえるおばあちゃん。二人のやりとりには大人が読んでも考えさせられるほど深いものもあり、何度も読み返したくなる。
数々の賞を受賞し、映画化もされた名作。いじめを受け、不登校になった中学生の女の子が、「魔女」と言われる祖母のもとで、「魔女修行」をするうちに、人間として大切なことを学んでいくプロセスを、みずみずしい文体で鮮やかに描かれています。
『いまどきの女の子を育てる100のヒント』(杉山由美子/婦人生活社)
4冊目、思春期の女の子の考えや価値観、趣味、流行、友人関係、異性関係について知るなら、『いまどきの女の子を育てる100のヒント』に詳しい。
習い事、塾、部活、メール、友だち付き合いなどに追われる忙しい生活。メークやプチ整形も珍しくない美容とおしゃれ事情。メンタル的な問題も関係しているダイエット。口や態度は反抗的でも、いざほったらかしにされると寂しい少女たち……。他にも父親との関係、母と娘の葛藤、性教育、進学・進路、自立までの道のりについてなど、本人や親、専門家などへの取材をもとにまとめた女の子の実情は、知識として知っておくだけでも心構えができる。10年以上前に出された本のため、古さを感じさせるところもなかにはあるが、いつの時代も変わらず“娘の扱い方に戸惑っている”、“娘との距離のとり方がわからない”と嘆くお母さんお父さんに有用な情報が盛りだくさんだ。
著者の杉山由美子さんは、塾や習い事、就活など子育てや教育問題をテーマに活動しているジャーナリスト。この本を執筆した当時は、二人の娘さんが高1と中2だったようで、自分自身や友人知人の子育て体験談なども交えた内容に親近感もわく。
この本でもポイントになっているのは、子どもの甘えをしっかり受けとめ、自立を辛抱強く見守る親の在り方だ。言葉にすると簡単だが、過保護でもなく放任でもないバランスのとりかたは、誰もが頭を悩ませるところ。今まさに思春期の子どもを育てている人は「私だけじゃなかったんだ!」とホッとしたり、「自分がしたことは間違っていたの?」と反省したり、身につまされる話も多いだろう。
10年ほど前の本ですが、思春期を迎える女の子への対応について、きわめて具体的に説得力を持って書かれています。自己評価についても、数章を割いてきちんと書かれています。