2013年度の“電子書籍”年間ベストセラーランキング発表! 『進撃の巨人』がぶっちぎりで1位に

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更新日:2014/3/31

kindle
写真は「Kindle」。電子書籍ではどんな作品が読まれているのか?

 

 スマートフォンをはじめ、iPadなど電子書籍リーダーとして利用可能な端末が多数発売され、電子書籍ストアも相次いで開設されたことから“電子書籍元年”と呼ばれた2010年。あれからはや4年が経ち、ようやく街中でも利用者を見かけるようになってきたとはいえ、どんな作品が電子化されていて、人気があるのか知らない人もまだまだ多いのではないだろうか?

 そこで、複数の電子書籍ストアの年間売上データから独自のベストセラーランキングを集計し、その年、最も人気のあった作品を「電子書籍大賞」として発表するイベント「電子書籍アワード2014」の結果から、いま電子書籍では、どんな作品が読まれているのか紹介してみたい。

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話題のメディアタイアップ作品に人気が集中

 昨年の「電子書籍アワード」では、テレビアニメや実写映画化でファン層を拡げた『宇宙兄弟』(小山宙哉)が電子書籍大賞に輝き、いわゆる“大人向けコミック”がランキングを席捲したが、2013年に配信された作品が対象となる今年のランキングは、2つの作品が圧倒的な強さを見せる結果となった。

進撃の巨人

2014年度 電子書籍大賞
『進撃の巨人』

 ひとつは、今年の「電子書籍大賞」に見事輝いた『進撃の巨人』(諫山創)。2位にダブルスコア以上の差をつけた。

 同作は、2009年の連載開始より高い評価を受けていたが、昨年のテレビアニメ化で大ブレイク、いまや単行本の発行部数が累計3000万部を突破するモンスター作品に。電子版も変わらぬ人気で、来年公開予定の実写映画により、さらなる人気拡大が見込めそうだ。「売り切れ」がない電子書籍で買うのにはもってこいの作品なのかもしれない。

 ちなみに、著者の諫山創氏も、最近、電子書籍を読むようになったとのこと。

オレたちバブル入行組

小説部門 第1位
『オレたちバブル入行組』

 もうひとつは、池井戸潤氏の小説「半沢直樹」シリーズ。ランキングには『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』(2作合計)、『ロスジェネの逆襲』のシリーズ全作品がTOP10にランクイン。

 「電子書籍アワード」では、作品別に集計するため、コミックのように巻数が多い方が上位にくる傾向があるが(例えば『進撃の巨人』は1~12巻までが集計対象)、同シリーズは3冊しかない。いかにたくさんの人に読まれたかがよく分かる結果だ。テレビドラマの大ヒットはもちろんあるが、電子書籍のメイン読者層であるビジネスマン世代の良質なエンターテイメント作品を求めるニーズとうまく合致した。

 電子書籍では、テレビアニメやドラマ、映画などのメディアタイアップ作品が、より売上を伸ばす傾向にあり、そういった背景から、シリーズもののコミックやエンターテイメント小説、ライトノベルなどが強いが、amazonの運営する「Kindle Store」の伸長により、ビジネス・自己啓発書など、比較的硬い内容のものも読まれるようになってきた。

 中でも、紙の本でもベストセラーとなった西内啓氏の『統計学が最強の学問である』や、企画段階から制作過程まで、すべてをインターネットで公開し話題となった堀江貴文氏の『ゼロ なにもない自分に小さなイチを足していく』は、単行本にもかかわらず、ランキングTOP30に入り、異彩を放った。これらは、それぞれ紙の本より1日早く(しかも安く)発売されるなど、出版社(いずれもダイヤモンド社)が積極的に電子書籍を販売しようとした結果が現れた形だ。話題の本を人より早く、安価に手に入れたいという、感度の高い読者のニーズをうまくすくいあげたと言える。

  • 統計学が最強の学問である

    教養・雑学部門 第1位
    『統計学が最強の学問である』
  • ゼロ なにもない自分に小さなイチを足していく

    ビジネス・自己啓発部門 第1位
    『ゼロ なにもない自分に小さなイチを足していく』

 

 その他、昨年のTOP50位圏外から、今年2位にまでジャンプアップした歴史コミック『キングダム』(原泰久)や、8位のライトノベル『はたらく魔王さま!』(和ケ原聡司)など、テレビアニメの影響が大きいと考えられるもののあれば、『テラフォーマーズ』(作:貴家悠 画:橘賢一)、『セフレの品格』(湊よりこ)、『監獄学園』(平本アキラ)など、まだメディアタイアップしていない話題作も上位に入っていることを考えると、“人気作品を手軽に読みたい”層だけでなく、自ら情報収集し、“早めにトレンドを押さえておきたい”層が増加してきたのではないか。

 そろそろ電子書籍に切り替えようかなと考えている人や、興味はあるけど、どんな作品が電子化されているか分からないという人は、こういったベストセラーランキングを見て、読みたい作品を探してみるのもよいだろう。

  • キングダム

    総合ランキング 第2位
    『キングダム』
  • はたらく魔王さま!

    ライトノベル部門 第1位
    『はたらく魔王さま!』
  • テラフォーマーズ

    総合ランキング 第9位
    『テラフォーマーズ』

 

電子書籍アワード2014:総合ランキングTOP50を見る

 

電子書籍アワード2014 各賞受賞作品

●電子書籍大賞 & コミック部門 第1位
『進撃の巨人』(諫山創/講談社)

コミック部門TOP20を見る

●小説部門 第1位
『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』(池井戸潤/文藝春秋)

小説部門TOP20を見る

●ライトノベル部門 第1位
『はたらく魔王さま!』(和ケ原聡司/KADOKAWA アスキー・メディアワークス)

ライトノベル部門TOP10を見る

●教養・雑学部門 第1位
『統計学が最強の学問である』(西内啓/ダイヤモンド社)

教養・雑学部門TOP10を見る

●趣味・実用部門 第1位
『人生がときめく片づけの魔法』(近藤麻理恵/サンマーク出版)

趣味・実用部門TOP10を見る

●ビジネス・自己啓発部門 第1位
『ゼロ なにもない自分に小さなイチを足していく』(堀江貴文/ダイヤモンド社)

ビジネス・自己啓発部門TOP10を見る

●特別賞
マンガボックス(株式会社DeNA)


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