東京五輪に向けて2020年の東京予想本が続々登場! 今知っておきたい首都の近未来

社会

更新日:2016/11/7

 品川区では、今年度から商店街で働く人々向けの簡単な英会話講習会を始める。その名も「英語少し通じます商店街」プロジェクト。“少し”というのがポイントで、「今さら完璧に英語をマスターするのは難しいけど、観光客と少しでも話したい」という地元の人々の気持ちをくみ取って名付けられたのだそうだ。それ以外にも、インターネットで英会話を学ぶ人も少なくない。今年の注目キーワードは「語もてなし」らしい。

 東京五輪が2020年に決まり、早くも人々が動き出した。しかし、今後6年で最も大きく変化するのは街並だろう。東京五輪は、世界に日本の技術力を見せつける格好の舞台でもある。2020年までの完成に向け、五輪施設のみならず、東京では数々のプロジェクトが急速に動いている。

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 最近、この変わりゆく東京にフューチャーした本が、続々と出版されている。昨年12月には『オリンピック・レガシー:2020年東京をこう変える!』(間野義之/ポプラ社)、今年1月に『2020東京・首都圏未来予想図』(宝島社)、2月に『東京大改造マップ2020』(日経BP社)、『東京2020計画地図』(東京都市計画研究会/かんき出版)が登場。さらに4月下旬には『東京・首都圏がこう変わる! 未来計画2020』(野村総合研究所/日本経済新聞出版社)が発売予定だ。

 1月に発売された『2020東京・首都圏未来予想図』(宝島社)では、CGや架空未来MAPで東京の未来を再現して紹介している。CGにはお台場にカジノリゾートやビーチバレー会場施設が立ち並び、その後ろには大型客船が悠然と通り過ぎていく様子が描かれている。いま取り沙汰されているカジノ事業を認める法案が通れば、早くて2018年に日本にもカジノリゾートが誕生するとの予測だ。また、レインボーブリッジをくぐれず、東京港に停泊できない大型客船も、2019年度までに新埠頭とターミナルを造る計画があり、通行可能になる。実現すれば観光客が急増し、東京のグローバル化は一気に加速するだろう。

 2月に登場した『東京大改造マップ2020』(日経BP社)も話題の1冊。これは、日経PB社が発刊する建築、土木、不動産、経済・経営各誌の記者がそれぞれ取材し、東京の変化を詳細な地図を交えて解説したもの。五輪競技施設、選手村、豊洲新市場の建設が進む湾岸部をはじめ、虎ノ門・六本木、大丸有・日本橋・銀座、品川、渋谷、新宿と、エリアごとの計画が網羅されている。同書に付録しているのが、天地540mm、左右740mmの大型地図「東京改造でかマップ」。23区内に建設予定の延べ面積1万平方メートル以上のプロジェクト325件をプロット化したもので、交通網がどう拡張するのか、どんな商業ビルができるのか、どのエリアの利便性が上がるのか、どこに五輪施設が新設されるのかなどが一目瞭然だ。マップを片手に、東京の街を散策するのもいいかもしれない。いつもなんとなく通り過ぎていた工事現場を見るだけで夢が膨らみそうだ。

 さらに、新たなビジネスの需要に言及している点もおもしろい。外国人が増え、ホテルや商業施設が大きく成長することが予想される中、注目を集めそうなのが、一般の人々が自宅をホテルとして提供できるサービス「Airbnb(エアビーアンドビー)」。同サイトは米国を拠点に世界192カ国、34000都市で事業を展開しており、空き部屋を活用したい人と泊まる場所を探す人を結びつける役割を果たすもの。

 街並が整い次第、外国人観光客が一気に増えて人の流れが変わるだろう。これらの本を読み、未来型都市に思いを馳せる一方、遅ればせながら強く感じたのが英語力の必要性。『東京大改造マップ2020』の観光客へのアンケート調査でも、日本の不便なところ1位に「英語が通じないこと」が挙げられている。建物が完成してからにわかに勉強しても、習得は難しい。今年のキーワード「語もてなし」にも納得だ。私も今から、“少し”通じる人間を目指そうと思う。

文=廣野順子(Office Ti+)