猫が人の邪魔をするのはなぜ? 飼い猫の子ネコ気質を理解する

科学

公開日:2014/4/29

 パソコンでの作業中、トイレから戻ってくると画面上には謎の文字列が…。犯人は飼い猫で、どうやらキーボードの上に座っていたらしい。猫の飼い主ならばきっと、幾度となく似たような経験を味わっているだろう。パソコンだけではなく、新聞や本を読んでいるときにもついつい邪魔をしてきても、憎らしいようで憎めない猫ならではのかわいさであるが、そもそもなぜ猫が人を邪魔するのか。猫の心理を紐解く書籍『図解雑学 ネコの心理』(今泉忠明/ナツメ社)<にもとづき、謎を解明していこう。

 そもそも猫が飼い主の邪魔をするのは、好奇心と不安からくる行動である。飼い主が関心を向けていることに対していっしょに何かをしてみたいという気持ちと、自分に注目してくれないという気持ちが主な理由とされている。そして、通常は年を取るにつれてこのような行動は薄れていくはずなのだが、幼い頃よりたった一匹で飼われている猫は、高齢になってもこのような行動を繰り返すという。

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子ネコ

 それは、猫の“子ネコ気質”が原因とされる。本書では「幼仔化(幼形成熟)」といわれているが、これは、親からの愛情を受けたいという本能に由来している。本来、猫は好奇心旺盛な動物であり、成長の過程で親猫や兄弟との生活により、まわりのものについてひとつひとつ学習を重ねていく。

 一方、人間に飼い慣らされた猫は、子猫と同様の好奇心を持ったまま成長しているものも少なくない。また、特に室内で飼われている猫の場合は自分で獲物を狩る必要がないことから、飼い主への依存心が強く、独立心や自立心が薄い傾向がある。

 そのため先述のパソコンの例でいえば、キーボードへ乗っかったことで飼い主が自分にかまってくれるということを学習しており、また、そうすれば飼い主がかまってくれるということから安心感を抱くのである。

 ちなみに、猫は人間の感情からも不安を抱くことがあるそうだ。例えば、飼い主が泣いているときに「涙をなめてくれた」という話もあり、いつもと違う飼い主の様子を敏感に感じとってくれるそうである。飼い主の不安は猫にも伝わり、いつもと違う様子が気になって足元をウロウロしたり、飼い主が落ち込んでじっと動かなければ、生きているかどうか確かめるために体の一部をなめたりして、自分の存在感もアピールするためにけなげに人間へすり寄っていくようである。

 人なつこい性格のように見える一方、気まぐれな場面にも時折出くわすのが猫の魅力である。邪魔をされたとしても「まあ、しょうがないか」と思ってしまうのが、飼い主の親心だろう。本書では、たくさんの場面に応じた猫の感情やシチュエーションと、その理由が紹介されている。言葉は通じずとも人間に対してさまざま感情を抱いている猫の気持ちを知り、よりいっそう楽しいペットライフを送ってほしい。

文=カネコシュウヘイ