営業力&コミュ力をアップしたければ、ナンパをしまくれ!の理由

ビジネス

公開日:2014/12/12

   

 勉学に励む真面目な学生生活を送ってきたというのに、どうも内定が出ない。どうにか社会人になれても、充実した学生時代を送っていた者の方が、営業成績が良いのを目の当たりにして、何だか絶望的な気分を味わっている…という者も決して少なくはないだろう。結局のところ、世の中、コミュニケーション能力がモノを言うのではないだろうか。仕事でもプライベートでもどこであっても、大切なのは人とのリアルでのコミュニケーション能力。この能力がうまく発揮できないがために、損するのはもったいない。どうにか鍛えられないものか。社会に出たら、もうそれは伸ばすことはできないのだろうか。

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 『口ベタ営業マンが渋谷ギャルをナンパし続け半年後に1億の契約をとった件』は、ナンパによって営業力をアップさせたという著者・なべおつ氏のナンパ実録。ナンパから学んだことを、ナンパ初心者にもわかりやすいように、先輩や女の子たちの会話とともに解き明かしている。新入社員の彼は、地味で口ベタ。「32歳・独身・ナンパ好き」の先輩社員・パプリカ氏に「山手線一周ナンパの旅」に誘われたことから、彼の仕事人生は、始まって早々大きく変貌させられることになったという。

 ナンパは、低俗で下らない行為であることは否定できないが、初対面の相手との距離を縮めるコミュニケーションメソッドがたっぷりと詰まっていることは間違いない。それは、まさに、営業に求められる能力にも似ているとして、実際に会得し営業に通じるナンパ術を披露している。

 たとえば、ナンパをしたことがないという者には「断られた時の精神的ダメージ」を挙げる者が多いが、ナンパのハードルを高く持ち過ぎていることに問題があるという。「声をかけたら、会話を盛り上げて連絡先まで聞かなければ!」と最初からハードルを高く設定し過ぎると、萎縮して一歩が踏み出せない。「まずは笑顔で挨拶する」というように、自分が踏み出せる最低レベルまでステップを分割すると、取り組みやすくなる。これは、営業にも通じることではないだろうか。営業もナンパと同様、必ずしも相手に良い顔をされるものではない。まずは、「当たって砕けろ」。明るく、自然に、良い印象を残すことを心がければ良いのだ。

 挨拶することができ、相手が反応を返してきたら、会話を楽しもう。その際、相手の発言、行動から何を考えているのかを探ることが大切。相手の意表をつく言葉を返すと良い。例えば、「スッピンだから今日はダメ」「これから友達と遊ぶからダメ」などと言われたら、すぐに「スッピンじゃない日なら良いの?」「友達と待ち合わせの時間までならOK?」と全て、ポジティブに解釈して、聞いてみよう。無理にでもこじつけて、すぐにあきらめずに相手に反応するクセをつけると、次の一言がスムーズに出てくるようになる。

 初対面の人と打ち解けるための必須要素は「会話をつなぐ」ことと「笑いを生む」ことである。その両方を満たすために、一番シンプルな方法は、「ボケとツッコミ」を意識することだ。特に、相手がツッコミたくなるようなボケをしかける必要があるとなべおつ氏は語る。とはいえ、芸人のような高度なボケではなく、「クスッ」と笑いが引き出せれば十分。たとえば、以下のような会話をなべおつ氏は例として挙げている。

「せっかくなので、ご帰宅前にスタバでグイッと一杯いっときませんか?」
「なんでスタバなんですか?笑」
「その様子は…スタバより居酒屋の方がお好みということですか?」

 少し強引なように思えるが、このように、相手にツッコミを入れさせる力は、大切だ。他人と異なる誘い方で自分の個性を演出しよう。大抵の場合、相手の特徴を大げさに表現して、オーバーに褒めることでも、笑いは生み出せる。コツを掴めば、誰にでもできるようになる。より良いボケのために大切なのは、洞察力と表現力。相手の特徴を楽しく表現してみよう。

「新大久保は昼間から若い女の子が多い」などのマーケティング調査も行いつつ、ナンパをする中で、なべおつ氏はコミュニケーション能力を磨き、仕事上でも成功をおさめることができたという。契約を結ぶ際、相手の目を引くように手紙を書いたこと、相手が喜ぶような提案、反応を心がけたこと、相手が断る理由をつぶしていったこと、が勝因といえるようだ。

 とはいえ、人生、そんな風に上手くいくのだろうか。なべおつ氏とその先輩パプリカ氏が勤めているのは広告会社。「中堅の」と強調しているが、なべおつ氏も元々、広告会社に入れる程度にはコミュニケーション能力は潜在的に持ち合わせていたわけである。

 だが、それを鑑みても、コミュニケーション能力を高める実践的な方法として、ナンパは効果的かもしれない。こちらに聞く耳を持ちそうにない相手に対して、瞬時に反応しなくてはならないという点では営業にも通じる。「初心者はまず、練習として、店の店員と会話を楽しむことから」というのだから、少しずつ初対面の人とコミュニケーションを学ぶのもありかもしれない。この本を片手に街を歩けば、恋も仕事も成功間違いなし! だと信じたい。

文=アサトーミナミ