猫好きたちを悶絶させる究極の猫絵本『せかいいちのねこ』登場!

文芸・カルチャー

更新日:2021/8/3

 肌寒い日々が続くなか、身体も心もあたためたいならば、毛布でもコートでもなく、猫が一番。かのレオナルド・ダヴィンチも「猫科の一番小さな動物は最高傑作!」といってはばからなかった通り、猫ほど、人間を癒してくれる愛らしい生き物はいません。空前の猫ブーム、そんな猫の魅力がぎっしり詰まった作品は数多く登場していますが、その中でも、もっとも読む人の心に温かさを与えてくれる作品といっても過言ではない絵本が発売されました。

 その作品とは、ヒグチユウコさん著『せかいいちのねこ』(白泉社)。元々、『月刊MOE』で連載されていましたが、雑誌掲載当初から、「可愛すぎる!」と多くの読者を悶絶させた罪深い作品なのです! そんな連載絵本が、このたび1冊の本として発売。手にとっただけでこんなにぜいたくな気分が味わえる絵本、なかなかありません。擬人化された猫や魚、ウサギやキノコなど、愛らしい独自の世界観が多くの女性に支持されているヒグチユウコさんの繊細な絵のタッチにグッと惹き込まれます。

ねこの目からこぼれたなみだをやさしくふくニャンコ

 持ち主の男の子に永遠に愛されたいと毎日考える、ぬいぐるみのニャンコ。ニャンコは“本物の猫”になればその願いが叶うと信じ、“ヒゲを探す”旅にでかけた先でさまざまな猫たちに出会います。“ぼうしねこ”や“旅のねこ”“おねえさんねこ”……彼らの優しさにふれて、ニャンコは少しずつ成長していきます。各シーンでみせるニャンコの表情の変化にも注目です。そして、この本は、絵だけではなく、物語の内容も、感動必至。クライマックスに近づけば近づくほど、心がじんわりとあたたまる物語なのです。

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 小さい頃、毎日一緒にいた大切な“仲間”。両親、兄弟姉妹、友達と同じくらい大好きだったぬいぐるみ。あのぬいぐるみがこんなにも自分のことを愛してくれていたとしたら。そして、大切な“飼い猫”たちも、私たちと過ごせる時間をこんな風にかけがえのないものと思ってくれているとしたら……。ニャンコの冒険を見ていると、嬉しさと切なさで、胸が締め付けられそうになります。はたして、ニャンコは“本物の猫”になることができるのでしょうか。

 ヒグチさんが描く個性豊かな猫たちの繊細で上品な絵と物語は、大人も満足できる贅沢さがあります。猫好きのあの人や子どもへのプレゼントにもオススメ。猫を愛してやまない私たちにとって癒やしの1冊をぜひ手にとってみてください。

文=アサトーミナミ