TVアニメも大好評、人気マンガ『夏目友人帳』の魅力とは?

マンガ

更新日:2012/7/16

 今注目の“妖”(あやかし)ストーリー『夏目友人帳』を、もう読んだだろうか? いわゆる“妖怪もの”とは一味も二味も違う。そこに描かれているのは、妖とひとの“心”。心と心の出会いの物語だ。『LaLa』での連載は絶好調で、7月5日に最新14巻が発売されたばかり。TVアニメも大好評のうちに第4期まで放映され、栗山千明も熱心なファンの一人。『ダ・ヴィンチ』8月号では、切なくて愛しい、作品世界の魅力を徹底紹介。作者である緑川ゆきへのインタビューも掲載している。

 「子どものころ聞いたり空想したりした妖怪話や怪談を、そのまま絵にしている感じなんです。近所の田んぼや山をウロウロしていそうな妖。お話を作るときは、まずストーリーを決めると何となく妖の輪郭が見えてきます。夏目(主人公)が“見た”と言っている妖の特徴を聞いて、似顔絵を描いているイメージです」(緑川)

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 夏目と妖をつないでいるのが「友人帳」だ。しかしそもそも祖母レイコが妖を子分にした「契約書」なのに、なぜ「友人帳」なのか。
「負かした相手の名の束を、“友人帳”と呼ぶのはとても哀しいことではないかと思ったんですね。自分は勝っていい気分だけど、相手を傷つけたかもしれない。自分はなぜ“友人帳”なんて高慢な呼び方をしてしまったのか? レイコは、そう思っていたかもしれない。その気持ちが相手に伝われば、何か変わっていたかもしれません。そんな心のすれ違いを哀しいと感じ、それを哀しいと認めることができる、“硬くなった心が解けるような出会い”を描きたいですね」(緑川)

 など、繊細な物語の創作に込める想いを語っている。

取材・文=松井美緒
(『ダ・ヴィンチ』8月号「コミック ダ・ヴィンチ 『夏目友人帳』の世界」より)