読書嫌いの子供だった大島美幸がドハマリしたエッセイ集

芸能

更新日:2012/8/8

 読書嫌いの子供だった大島さんが初めて自分で選んで読んだ本、それがさくらももこのエッセイ集『もものかんづめ』だ。
「中学校の課題で本を一冊読まなきゃいけなくて、手に取ったのがこの本でした。『ちびまる子ちゃん』のファンだったから、その作者の書いた本なら読めるかも、くらいの弱気な動機で」

 ところが、読み始めるとあまりのおもしろさにすっかりハマり、『さるのこしかけ』や『たいのおかしら』など続くエッセイ集もほとんど読破した。
「だから、私に読書の楽しさを教えてくれたのはさくら先生なんです。この話を6年ほど前にテレビでしたところ、当のさくら先生がご覧になっていて、なんとお礼の手紙をくださった。『そんなふうに言ってもらえて、本当にうれしいです』って」

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 それ以来、一年に一度はお家にお邪魔して食事をご一緒するようになったとか。
「さくら先生って、とても優しくて気さくな方なのに、時々びっくりするぐらい辛口で(笑)。でも的を射た言葉だから観察眼の鋭さに『なるほど』と感心してしまう。以前、エッセイ本を出した時に目指したのはそんなさくら先生のスタイルでした」

 とはいえ、文章を書くのは苦行でしかなかったという大島さん。そんなわけで今回チャレンジしたのはレシピ本だ。
「この1~2年ですっかり料理に対しての認識が変わったんです。以前はおいしくてお腹いっぱいになれば、それでいいじゃん、と思っていたのですが」

 きっかけは、昨年番組でトライしたダイエット企画。
「タニタの社員食堂メニューを1カ月毎日3食たべるだけでどれだけ痩せられるかという内容だったんですが、夫婦合わせてなんと約15kgも体重が減った。しかも体調もすごく良くて。バランスのとれた食事をすると、ここまで違うのかとしみじみ実感したんですよね。それまでの食生活を大いに反省しました」

 昨年の震災も、大島さんに料理の大事な側面を思い出させた。
「家族の大切さに改めて気づくと同時に、母から〝大島家の味〞をきちんと教えてもらっていないことに思い至ったんです。これを引き継いでいくのも娘の務めなんじゃないかなって」

 結婚するまで料理が苦手だった大島さんが、愛するダーリンに喜んでもらいたいがために各種のレシピ本と格闘した成果と、食に対するさまざまな想いを詰め込んだ本は、彼女が嫁として過ごした10年間の集大成であり、そのお披露目の書である。
「“大島家のお煮しめ”が一番のお気に入りかな。定番から旬の素材のメニューまで揃えました。この本で家族のお腹を満たしていただけたら嬉しいです」

大島美幸(森三中)さんが選んだ1冊
もものかんづめ』 さくらももこ 集英社文庫 410円
お茶っ葉を使った水虫治療法、短大時代に体験した、売れない健康食品売場の奇妙なアルバイト、短いOL時代に遭遇した恐怖の歓迎会など、『ちびまる子ちゃん』の作者・さくらももこならではの抱腹絶倒のエピソードが軽妙な語り口で綴られる。1991年に刊行された単行本がミリオンセラーになった名エッセイ集。

取材・文=門賀美央子
(ダ・ヴィンチ9月号「あの人と本の話」より)